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実家SIDE テオドールの活躍

 テオドールの修行から1週間経過。

 サイエンス家の地下実験室。サイエンス家の長男、ルーズ・サイエンスが上機嫌で魔術の研究に没頭している。


 何をやらせてもそつなくこなすテオドール・サイエンスが追放された様を反芻する。

 クックックッ、あれは傑作だったな。あのお利口さんが戸惑う様を初めて見たぜ。

 これでやっと俺様の研究も日の目を見るってもんだ。


「まだ籠もってたのか」


 親父バニティ・サイエンスが扉を開けて研究室に入ってきた。


「よう、親父。どうしたんだ?アンタがここに来るなんて珍しい」

「テオドールの活躍を聞いているか?」

「アイツが活躍?ハハ、冗談は大概にしてくれよ。外れスキルを引いたテオドールに一体どこに活躍の余地があるってんだ」

「ロストワールドで新しい遺跡の発見や山賊対峙を行ったらしい。どちらも学会の公式発表だ」

「嘘だろ・・・」


 学会───ロストワールドに眠る古代遺跡の特別チームの総称。

 学会はジョーンズ家が取り仕切っている。当代当主インディ・ジョーンズが頭領だ。

 第三機関での発表であるから公表そのものは疑う余地はないのだが───感情的に納得出来ない。


「何かの間違えじゃないのか?もう一度言うが、アイツは外れスキル持ちの約立たずだぜ?」

「外れスキルをテオドールが引いた。その一点に関しては間違えないだろう。私もルーズもその場にいたのだからな。しかし、ロストワールドで活躍したというのも事実だ」


 実際に確かめてみなければ真実は分からないな。


「でっ、そんな親父殿は俺に何をさせたいんだ?」

「ルーズ、お前がテオドールの様子を見てくるんだ。何かアーティファクトを入手して活躍している可能性がある。可能なら奪ってこい。力を失えば咎めることなど出来ないからな」


 予想通りの胸くそ悪くなる答え。肉親すらもコイツにとってはただの道具なのだろう。


「いいぜ。俺様が確認してきてやる。・・・馬鹿な弟だぜ。大人しく痛い目を見ずにすんだのにな」

「後もう一つ、キュリーが行方不明だ。見かけたら回収してこい」

「なんだと?」


 キュリーは生意気ではなるが可愛げのある妹だ。俺様の研究にも理解を示そうとしているからな。


「キュリーには利用価値がある。第2王子との婚約の話も持ち上がっている。みすみす家の権力を拡大させる機会を逃すわけにはいかない」

「あんた最低だな」


 親父は眉一つ動かない。


「では任せたぞ」


 何事もなかったかのように研究室から親父は退出する。


「ほんと、キュリー意外にまともな人間がいない家だな」


 俺も大概だと思うが親父の強欲さは更に上だ。乗せられているで癪だがテオドールには身の程を分からせる必要がある。テメェは一生地べたを這いずり回ってりゃいいんだよ。────痛めつけるついでに研究結果も試してみるか。そうすれば誰もが俺の功績を認めざるえななくなるってもんだ。一石二鳥じゃなねぇか。クックックッ、首を洗って待ってろよテオドール。


◇ ◇ ◇ ◇


 山賊がいた古代遺跡。現在はもぬけの殻でゴーレムの残骸だけが残されている。

 そんな場所に浅黒い肌をした男が一人いる。

 背丈は220cm程あり筋肉質で平均的な人間よりも立派な体格をしている。細長い特徴的な耳が魔族であることを示す。

 

「やはり人間は使えんな。遺跡とゴーレムを貸し与えてこのザマか」


 男の表情には侮蔑嫌悪がアリアリと浮かんでいる。


「ふん、だったら俺が手を下してやろう。まとめて人を攫える催しが開催されておればよいが」


 魔族の男はロストワールドへと向かうのであった。

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