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模擬戦

 翌朝。

 『ソーラー式外付け魔力ブースター』の効能を確かめるために街の外、草原に向かおうとしている。

 途中で商店街も通ったわけだが、どういうわけか町の人々が僕達に対してとても優しい。

 

「遺跡巡り頑張れよ!」

「冒険者なのに謙虚だよね」

「お宝よりも人命を優先したらしいぜ」


 山賊退治の一件のことを言ってるのかな?みんなの役に立てたなら幸いだ。


「お兄ちゃん!」


 昨日救出した女の子が駆け寄ってきて、転びそうになった所を慌てて僕は受け止めた。

 女の子は頭にピンクの頭巾。子供用のエプロンをつけている。


「そんなに走ると危ないよ。こんにちわ」

「昨日はありがとう。あのね、お礼がしたいからこっちに来て!」


 女の子に引っ張られて肉屋の前に連れられる。


「パパ、お兄ちゃんとお姉ちゃんが助けてくれたの!」

「あんたが娘を・・・。ありがとう。恩にきる!」


 30歳位のガタイのいい亭主が、両手を合わせて深々と僕を拝みだす。


「当たり前のことしただけですから、気にしないで下さい」

「なんて謙虚なんだ。折角だから当店自慢の串焼きを食べてってくれ」


 炭火焼していた串焼きを二本差し出してくる。食欲を刺激するスパイシーな香りと湯気が肉から漂ってくる。

 亭主は『黙って食べるんだ』というよな表情をしている。

 串焼きを2本受け取ると、1本をアイラに渡す。


「「いただきます」」


 肉の旨味が口の中一杯に広がる。美味しい!


「おじ様、すっごく美味しいです!」


 やや興奮ぎみにアイラが亭主に伝える。僕も同意見だ。


アイラの反応に満足げ、我が意を得たりといった表情をした亭主が、鮮度抜群だから味は保証出来るという。ドヤ顔。


 そんな僕達を街の人々が眺めている。誰もが好意的に笑っている。


「呼び止めて悪かったな。また遊びに来てくれ」

「お兄ちゃん、約束だよ!」


 女の子と肉屋の亭主に見送られながら草原に向かった。


◇ ◇ ◇ ◇


 ロストワールドから少し離れた空き地───草原に到着する。

 この場にいるのは僕とアイラだけであり、ここなら気兼ねなく魔法やスキルを放つことが出来る。


「稽古始めよっか。『ソーラー式外付け魔力ブースター』がどれ程のものか見せてもらうわ」

「うん、よろしくね」


 僕から見て右斜め前にアイラが移動する。ちょうど視界の端にギリギリ映るよう形だ。

 アイラがニコッと笑いかけた後真剣な表情に変わった。僕に向かって5個石ツブテを投げつけてくる。石の大きさは2cm程度あり命中したら負傷は免れられないだろう。


『ライトニングボルト!』


 石つぶてが僕から見て正面に入ってきた所で、無詠唱魔法で迎撃する。魔法と衝突し石つぶては粉々に砕ける。


「お見事!じゃあこれはどうかしら」


 アイラが僕の上空に向かって30個近い石を放り投げる。1個ずつ撃ち落とすのは不可能だ───だったら!


『ファイアボール!』


 ゴォォォォ!!!

 上空の石を2mサイズの火球で全て飲み込んだ。


「テオ流石ね。今度は私が相手よ!」


 上位スキル『ソードマスター(剣の達人)』持ちのアイラが、木剣片手に突っ込んでくる。今度は近接戦だ。

 木剣とはいえ叩きつけられたらタダでは済まないだろう。僕がとるべき行動は────。


『フィジカルエンチャント!(身体強化魔法)』


 全身が軽く、五感が鋭くなる。周りのスピードが緩やかになる。

 僕も木剣を構えアイラを迎撃する。

 カァアン!

 硬木がぶつかり合う音が響き渡る。

 打ち合いから鍔迫り合いになる。腕力は前衛職ソードマスターのアイラに負けていない。

 しかし鍔迫り合いの力点をズラされて僕はバランスを崩しかける。追い込まれそうになった所で、体ごとぶつけてアイラを数メートル吹き飛ばす。距離が出来た!すかさずライトボール(照明魔法)を生み出し───着弾した。

 アイラが木剣を手放し両手を上げる。


「キャッ!?───私の負けね。まさか私が負けるなんて・・・」

「ギリギリだったよ」


 アイラが驚きの表情を向けてくる。

 模擬戦のルールは先に攻撃を当てた方が勝ちだから、ライトボールを当てた僕の勝利だ。

 勝ちは勝ちだけど、まぐれ勝ち。もう一度勝てるかといったら怪しい所だ。接近戦での駆け引きは、圧倒的にアイラの方が上手い。ソードマスターのスキルは使わず、純粋な剣技のみで互角の勝負だった。

 そもそも今回の模擬戦は勝敗が目的ではない。<ロストテクノロジー>の新スキルを得た結果、どこまで魔法を有効活用出来るかの確認が目的だ。


「ねぇ、ソーラー式────名前が長いから『魔力ブースター』と呼ぶわ。『魔力ブースター』って<賢者>より強力スキルだったりしないかしら?」

「いやいや、流石にそれはないと思うな」


 『魔力ブースター』を使ってみての所感だけど、魔法を唱えるのが物凄く簡単だった。具体的に言うと精神力の消費が少ない。魔法を唱えるためには、魔力以外にも術式を構成する必要がある。『魔力ブースター』のお陰で術式の展開もスムーズに行えるし、魔法の威力も激増している。

 1つ撃ち落とすつもりで唱えた『ライトニングボルト』は5つ全てを撃ち落とした。『ファイアボール』は巨大サイズにも関わらず無詠唱だった。そして極めつけは『フィジカルエンチャント』である。後衛職の僕が、前衛職のアイラと近接戦で互角の戦いが出来た。アイラと良い勝負が出来るということは、いざとなったら僕自身で自衛出来るということだ。アイラと僕の戦い方の幅が広がる。


「そうかしら?どちらにしても『魔力ブースター』が有益なのは間違いないわ。どんどん稽古して使いこなしましょう!」

「うん!」

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