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第十三話 結界防御

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 魔物が一時的に引いてから少しして冒険者たちが里に戻ってきた。

 誰もが疲弊していて、酷い怪我を負っている者もいる。

 帰ってこない者もいた。


「はぁ……はぁ……くそッ!」


 中でもラインは荒れている。

 怒りの捌け口として物に当たるくらいだ。


「群れの長に向かったあと、なにがあった?」


 戦地にも同行していた戦士長がラインに問う。


「どうもこうもねぇ。群れの頭がデカすぎた、それだけだ」

「敵わなかったのか」

「あぁ……そうだ。手も足も出なかった」

「僕のせいだ」


 その隣で座り込んでいるセインがぽつりと呟く。


「僕が攻撃を防ぎ切れなかったから、兄さんたちに負担を」

「気にするな。誰にだって失敗はある。次にいかせ」

「うん……」


 ラインがセインの頭を撫でる様子を見て、戦士長が踵を返した。

 その足で向かう先は俺たちの前。


「聞いた通りだ。群れを止めたキミの力がいる」

「えぇ、もちろん」


 現状、群れの頭を止められるのは俺しかいない。


「俺が奴を仕留めます」

「はっ!」


 反応したのは、ラインだった。


「防御しか出来ないお前になにが出来るってんだ」

「もうそうじゃないんだ」


 結界で刀を作り、剣を作り、獣を作る。

 それを見たラインは目を見開いていた。


「やるなら群れが戻ってくる前に蹴りをつけたい」


 群れがまた里に向かえば、俺はそれを止めるのに手一杯になる。

 そうなる前に群れの頭を討伐しなければ。


「マドカ」

「オッケー。付き合ったげる」

「助かる。戦士長、何人か兵士を貸してくれますか?」

「もちろんだ。精鋭を付けよう」


 戦士長が合図を送り、何名かがこちらにくる。


「群れの頭を潰して里を救う。行こう」


 中型の結果狼を二体作り、マドカと共に里を出た。

 エルフの兵士もエルフの道を通って付いてきている。

 木の幹を躱して颯爽と森を駆け抜け、群れの頭を潰しに掛かった。


§


「見えた」


 魔物を率いる巨大な影が見え、進路をそちらへと向ける。

 木々の隙間から覗く群れの頭は、前にみた時よりも大きく見えた。

 二本のうねる牙を口から生やし、背中には植物が茂っている。

 まるで山が動いているみたいだ。


「まずは雑魚からだ! 道を開く」

「りょうかーい! 派手に行っくよー!」


 五枚のディスクを宙に浮かべ、マドカは幾つもの光の結晶を展開する。

 それらを同時に魔物の群れへと放ち、それに追従するようにエルフの兵士たちが矢を放つ。

 開戦はマドカの言う通り派手に始まり、数多の魔物の屍の上を結界狼が駆ける。

 その後に次々と亡骸が魔石になっていく。


「うひー、数が多い!」

「でも、近づいてる」


 周囲の魔物は五枚のディスクと光の結晶が処理をし、時折それを飛び越えてくる魔物は直接結界刀で斬り伏せる。

 そうして暴れ回っていると、ついに群れの頭の注意を引いた。


「オォオオォオオオォオオオオオッ!」


 世界を震動させるような大咆哮が轟き、群れの頭は二本のうねった牙を振るう。

 それは群れの頭にとっては羽虫を払う程度のこと。

 牙で地表を撫でただけ。

 だが、こちらからしてみればそれは地上で波が立ったかのような大災害だ。

 迫り来る牙と、巻き上げられた土砂。

 群れの一部が巻き込まれてもお構いなし。


「俺が止める!」


 大迫力な牙の一撃を、特大の結界で防御を敷く。

 結界と牙が衝突した瞬間、音と衝撃が森中を駆け巡っていった。

 直撃していれば死は免れなかった。でも、今回は違う。

 結界は見事に、群れの頭の一撃を受け止めてみせた。


「反撃だ!」

「オッケー!」


 結界狼を駆けさせ、受け止めた牙から本体へと駆け上る。

 図体が大きい分、振り払う動作までは幾分かかかるはず。

 その間に駆け上って、頭上からデカい一撃を見舞ってやる。

 その腹積もりだったが、そう簡単にはいかなそうだ。


「ギャギャギャ!」


 牙を駆け上ると共に、群れの頭の体毛から魔物が無数に現れる。

 奴は群れを率いているだけじゃなく、体毛にも飼っていた。

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