第九話 猛特訓と急成長 その1
特訓回第1回目、すでにヤバさの片鱗を見せております。
さぁ、今日から特訓の始まりだ!ということで、次にフィリアと会ったときに話の種になるよう、家にあった手帳に特訓の成果を書き記すことにした。
特訓一日目
今日は投擲スキルのレベルアップを図った。ギルドで聞いてみたところ、どうやらノーマルスキルをレベルアップさせるには、レベルが最大レベルの半分になるまでは前のレベルの2倍の作業量が必要らしい。
だが僕には『武芸百般』がある! ……ということで、ただただ無心でひたすらに石を投げまくった。
四時間後。疲れた。流石に『武芸百般』があっても、『投擲』レベルを4に上げるのが限界だった。
ちなみに、レベルアップした時も体の中から何か変な感じがする。それが3回あったから、レベル4になった、ということだ。
試しにスキルを使って木に向かって石を投げると、木の幹が粉々になって弾け飛んだ。人に使っちゃダメな奴だこれ。
休憩がてら、僕はもう一つの目星をつけていたスキル『渾身の一撃』を取得しようと試みた。
このスキルの詳細は、
スキル『渾身の一撃』最大レベル10
取得条件 本気で力を込めた武器を用いない攻撃を500回行う
効果
発動時に力のステータスに50%の補正がかかり、一時的に身体が強化される
スキル適正ジョブ 拳闘士 戦士 格闘家 etc.
というものだ。
中々に使い道がありそうなので、是非とも取っておきたい。ということで目の前の木に、ずた袋の中に干し草を詰めた物を麻縄で固定して…
「ふぅ……せいっ!! せいっっ!! せいっっ!!」
全力で殴り始めた。
二十分後。
体の中に変な感じが起こった。試しに目の前の木からずた袋を外し、スキルの発動を意識しながら……殴る。すると、木の表面が凹み、皮が吹き飛んだ。
投擲と比べるとまだ弱いが、それでも十分過ぎる威力である。これもレベル2にしたところで、今日は特訓を終わった。
2日目
痛い。全身が痛い。筋肉痛だ。でも特訓しないと強くなれないので……今日はお母さんに手伝ってもらうことにした。
ついでに、僕の『武芸百般』についても話しておいた。それを聞いたお母さんは、そのスキルの効果に大きく口を開けて驚いていた。
まぁそれはおいといて、今日手に入れるスキルは『魔力操作』。その名の通り、体内、もしくは触れているものの魔力を操作するスキルだ。
詳細は、
スキル『魔力操作』最大レベル15
取得条件 他の魔力操作を持つ人に魔力を動かされるのに5分耐える
効果
体内もしくは触れているものの魔力の操作が可能になる。さらにレベルを上げると操作の自由度・魔力量が上昇する(常時発動)。魔力量の上昇は、1レベルあたり20%。
スキル適正ジョブ 魔法使い 魔法剣士 etc.
という感じだ。
この場合、適正ジョブの人たちは魔力量にかかる補正が上がるらしい。取得条件は一見簡単なため、大体の人がこのスキルを持っている。……のだが、実はこの取得条件、相当キツいのだ。
というのも、他の人に体内の魔力を動かされるというのは物凄く…気持ち悪いそうだ。お母さん曰く、素手で体内を弄られている感じらしい。いやそんな感覚分かんないよ。でも、本当にそんな感じらしいのだ。
そう忠告したあと、お母さんが僕に触れ、魔力を動かし始めた……
一分後。
やばかった。素手で体内を弄られている感じがした。もの凄い気持ち悪かった。僕は1分で済んだけど、他の人とか5分もよく耐えられるなこれ。
お母さんは、
「ひどい人だと周りの人に押さえつけられながら5分耐えるのよ☆」
と言っていた。怖い。
そして、このスキルをレベルアップさせる方法はただ一つ。これを「使う」ことだ。ただ使い続ける。これが案外難しくて、慣れるのに20分くらい時間がかかった。
しかし慣れれば結構簡単で、家の手伝いをしながら五時間ほどでレベル8まで上がった。
体感的に、魔力量が60倍くらいになった気がする…なんてな。そんな増えるわけないか。
やることがなくなったので、今日は早めに寝ることにした。
魔力操作について補足。
このようなステータスに直接補正がかかるスキルは、
(レベルあたりの上昇量×スキルやジョブによる補正)
という感じでステータスの上昇量が決まります。
つまりこの場合魔力の上昇量は、1レベル上がるごとに20%なので、適正ジョブで2倍になると40%の上昇ということになります。
また、この20%や40%というのはレベルアップごとにかけられるので、例えば20%の時はレベル2で1.2倍、レベル3では1.44倍…となります。…あれ?
改稿:最大レベルを15にしました。ぶっ壊れになるので。