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第八十一話 ドキドキお泊まり会・中編

第八十二話! ほのぼの回はまだ続きます。


スキル『気絶耐性』について

このスキルは、自分が『気絶すべき時』……例えば大量の出血をしている時や3日徹夜したあとなどには発動しません!

あくまで、『気絶してはいけない状態』で意識を保つためのスキルです!

「ふぅ……美味しかった」


「お米は焦げてたけどね……」


「聞いたことあるにゃ! 『おこげ』っていう奴にゃ!」


「ちょっと違うかな」


 僕たちは苦労(?)して作ったカレーを食べ終え、洗い物を終わらせた後に3人で喋っていた。僕とフォンセは初対面だったし、フィリアともまだまだ話すことがあったから話題は尽きず、喋っているうちにみるみる時間が経っていき……


「もう外が暗いにゃ……」


「あ、ほんとだ」


 気づいたら窓の外は暗くなっており、時計を見たらもう7時頃になっていた。あれ、ちょっと待てよ……


「フィリア、そう言えば湯浴みは……」


「近くに公衆浴場があるんだよ。私はそこに通ってるから、ラルクとフォンセも行こう?」


「にゃあ! 今日は沢山冷や汗かいたからにゃ〜。早く行こうにゃ!」


 そんなやりとりをして僕らは公衆浴場に向かい、僕はささっと湯浴みを済ませたのだった……その後、30分ほどフィリアたちを待つことになるとも知らずに。やっぱり女の子の湯浴みは長いんだなぁ……




「ふー。さっぱりした。ラルク、待たせてごめんね?」


「ごめんにゃ、ラルク。つい長くなったにゃ」


 うん、仕方ないね。女の子の湯浴みは長い。これはもう仕方ないことだ。僕は湯冷めしたけど。


「大丈夫だよ、早く帰ろっか……うう、寒っ」


 それなりに厚着しているはずなのだが、それでも寒い。……いや、なんだこれ? 寒気がする……?


「ほんと? でも顔赤いよ……あれ? 大丈夫……!?」


 体が寒い。それなのに熱い。怠い。しんどい……これは熱だな。そう思っているとフォンセが顔を近づけてきた。


「おでこ失礼するにゃ……結構熱いにゃあ。多分、体の怪我とそれによる体力の消耗……それに加えて、私たちが待たせて湯冷めしたからだろうにゃ。とりあえず家まで運ぶにゃ」


 それはありがたい、今は多分上手く歩けないからな……ん? ()()……?


「分かった! ラルク、乗って!」


 そう言って、僕を担ぐ準備をするフィリア。いや、この体の状態であれをされるのは無理だって!


「フィリア、ラルクを殺す気にゃ? あんなの病人にやったら寿命が縮むにゃよ……普通におんぶで運ぶにゃ」


 ありがとうフォンセ! 僕は密かに安堵する。もうあんな体験は懲り懲りなんだ……


「あ、そっか! じゃあ……こっち。ラルク、乗って」


 少し恥ずかしいけど、今はそんなこと言ってる場合じゃないな。僕はフィリアに促されるままその背中におぶさる形で乗る。その髪の毛から女の子らしいいい匂いがして、少しドキッとしたが……同時に懐かしい守られているような感覚もして、僕の意識は途切れた。


 ◆◆◆◆◆◆


 ────起きて……起きて……


 誰かが僕を呼んでいる。この声は……どこかで聞いたような……? その声は少しずつ近づいてきて、聞き取れる量も増えてくる。


 ────……ス、君に……力を……


 僕のことを『君』と呼んでいる……? この声の主は、一体……? その声はどんどん近づいてきて、僕にこんなことを告げる。


 ────いい加減……目を開けたらどうだい?


 そうだな……そうしよう、()()()()()()()。僕は重い瞼を開き、その声の主を見る。すると、そこにいたのは────


 ◆◆◆◆◆◆


 ……体がだるくて、寒気がする。頭も痛い。何か夢を見ていた気がするが、思い出せない。目を開けようとするが、瞼が重くて上がらない。まだ僕の体は眠いみたいだ。


 そんなわけで、僕は今の状況を目をつぶったまま考える。まず、僕の体の下にあるふかふかした感触……これは多分ベッドだろう。きっとフィリアが寝かせてくれたんだ。


 あと、おでこに当たっている冷たいもの……氷嚢(ひょうのう)だな。どうやら僕は、相当手厚い看病を受けているらしい……ありがたいことだ。


 ……そして、問題は僕の体の()……厳密に言うと両腕に感じる2つの柔らかい感触。特に左腕。これは一体……? というか、両隣から落ち着いた寝息が聞こえてくる。……つまり、これは……


(添い寝!?)


 僕は強引に瞼を押し上げ、顔の両隣を見る。


 すると、右には見慣れた……しかし、ここまで近いとドキッとしてしまうフィリアの寝顔があった。左には耳をヒクヒクさせながらすやすやと寝ているフォンセの寝顔が……


(顔が近い!)


 近い! 僕はフィリア以外の女の子とはあまり喋ったことがない。だから、フィリア以外の子と添い寝なんて初めてなわけで……体温がみるみるうちに上がっていくのを感じる。


(落ち着け……落ち着け僕……!)


 多分、看病している途中に寝落ち……というか眠くなったんだろう。それだけなのは分かっている。わかっているが……僕の心臓の鼓動はさらに速くなっていき、頭の中が『恥ずかしい』という気持ちで支配されて……


(……もう……いっか)


 僕は考えることをやめ、もう一度眠りについた。何も考えないように、何も感じないように……僕の意識はまた、今度は僕自身の意思によって切られた。

なんとこの小説の総合ポイントが1500ポイントを達成いたしました!!

正直、作者もここまで早く増えるとは思っておらず驚いております! 

読んでいただいた方々、本当にありがとうございました! これからもよろしくお願いします!!

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