第七話 冒険者ギルドにて
七話目、「『武芸百般』の冒険者」編、開幕ですっ!ガンガン主人公を成長させていきます!
冒険者ランク
最低がFランクから、
Eランク
Dランク
Cランク
Bランク
Aランク
そして最高のSランク
となっています。
フィリアが王都に行ってから、一週間が経った。あの後、フィリアはこっぴどく騎士団の人に叱られたらしい。次会った時に謝らないとな。
そして、その翌日に僕は、冒険者になった。この世界において、職業は教会で選択でき、それぞれの職業でステータス────自らの強さを数値で表したもので、こちらも教会で確認できる────に、補正がかかる。
このステータスが高いと、たとえ筋肉ゼロのガリガリな人でも筋肉ムキムキのマッチョに勝てる……というわけではない。
例えば、力のステータスが高くても元の身体能力が高くなければその人の力はステータスが低くてもムキムキの人と変わらない。つまり、自身の能力+ステータスで強さは決まる。足し算みたいなものだ。
これが適正ジョブでないと、この補正が減ってしまう。ちなみに、今の僕の補正なしのステータスはというと、
ラルク LV.1
職業:冒険者
HP 20
魔力 20
力 25
器用 15
敏捷 30
運 35
固有スキル 『武芸百般』
こんな感じだ。
HPというのは簡単に言えばあとどれだけ攻撃を喰らえるか表した数値。ちなみにここで出ているのは最大値、つまり無傷の時の数値だ。ちなみにHPが残っていても大量出血したり体を3等分されたら普通に死ぬので注意が必要だ。
運は最大100で、その時その時で変わる。補正も関係ない。あと、補正有りのステータスは表示されないので、自分で計算しなければならない。
レベル5の大人の男の人だと、補正なしで
HP 50
魔力 50
力 60
器用 40
敏捷 45
運 50
くらいだ。
そして、この職業、冒険者。『全ステータスが10%上昇』という効果で一見強そうに見えるが、他の職業────例えば騎士は、HPと力、器用が25%ずつ上がり、さらに無条件でノーマルスキル『剣術』が獲得できる。
要するにこの職業、ただの器用貧乏である。こっちもハズレかよ。
閑話休題。
冒険者になった僕は、村から少し離れた町へと向かった。冒険者ギルド──そこで依頼などを受けることができる──に登録するためだ。
ここでいっている『冒険者』とはジョブのことでなく、この世界にある魔物を倒したり、ダンジョンに挑んだりする人のことを指している。
冒険者ギルドのある僕の住む村の近くの町は活気に満ちていた。歩きやすく整えられた道には沢山の人々が行き交い、さまざまな店が立ち並んでいる。
そんな活気に溢れた町の中心にそびえ立つ二階建ての冒険者ギルドの中に僕は入った。中は一つの大きなフロアとなっており、綺麗に掃除されている。
椅子とテーブルが中には備え付けられており飲食ができるようになっていて、そこで冒険者たちがお酒を飲んでくつろいでいるのが見える。冒険者ギルドはもう少し騒がしいイメージがあったのだが、比較的中は静かだった。
僕は受付へと向かい、必要事項を書いて冒険者登録を行った……
そして、5日間ほどの冒険者専用講習を経て今日に至り、初めての依頼を受けようとしている。勿論、ソロである……ぼっちとか思ったやつ、怒らないから出てきなさい。
手始めに僕は、薬草採取の依頼を受けることにした。この依頼の薬草が採取出来る場所があの、村はずれの森……約束の森とでも呼ぼうか……だったからである。
あそこでは色々とあったが、まぁ何度か行ったこともあるし大丈夫だろう。ということで、僕はそこに向かった。
side:ギルドの受付嬢
「すみません!ギルドに登録したいのですが!」
そう私に言ってくるのは、10歳ほどの少年。これは、よくあることだ。そこそこ強い固有スキルを得た子供が『鑑定の儀』が終わった後、ある程度してからギルドに登録し、冒険者となる。そして、冒険者のトップ……Sランクを目指すのだ。
「了解しました。それでは、こちらの書類に必要事項をお書きください」
この書類に書くことはたった3つ。名前と、職業と、そして固有スキルの詳細だ。
この子の身なり……比較的安価な皮の鎧に短剣という風貌から察するに、職業は盗賊か、剣士といったところかな?
「……はい。できました」
確認のために、書類を見る。そこにはこう書いていた。
名前:ラルク
職業:冒険者
固有スキル『武芸百般』 ノーマルスキルに対する資質を得る。
……うん?何か色々と変ねこの子。
まず、職業。冒険者?あの器用貧乏っていわれてる、あの? 適正ジョブがこれになることなんて、固有スキルに特徴がないっていうことだから、『絶対にあり得ない』はずなのに……
そもそも、冒険者というのは非戦闘系のスキルの人々が、最低限の防衛力を得るためだけの職業のはず。だから、適正ジョブでないので10%にも満たない低い補正しか入らない。
そして、固有スキル『武芸百般』…?聞いたことがない。さらにその効果はノーマルスキルに対する補正?ノーマルスキルのみに対して効果を発揮する固有スキルなんて、聞いたことがない。
本当にこの子を冒険者にして、大丈夫だろうか?私の中に少しの不安が生まれた。
「あの……どうかしましたか?」
目の前の少年……ラルクくんが聞いてくる。
「いえ、大丈夫です。ただ、冒険者というのは危険なものです。それでも、このギルドに登録されますか?」
確認のため、もう一度聞く。
「はい。勿論です」
彼は、決意に満ちた声でそう言ってくる。
「分かりました。それでは少々お待ち下さい……はい、こちらがギルドカードになります」
「ありがとうございます!」
「初めて冒険者になる方に対し、講習会を無料で開いていますので、そちらにも是非ご参加ください」
「分かりました!ありがとうございました!」
そう言って、彼はどこかに去っていった。そして、私は密かに、ちょっと……いや、かなり不思議な彼を見守ることに決めたのだった。
はい。何個か見え見えの伏線を仕込んでおります。彼の成長に乞うご期待!
ちなみにHPは実質バッドステータスですね。たとえ致命傷を負ってなくても無くなったら死ぬわけですから……
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