第六十五話 VSファフニール
第六十五話! 『物情騒乱』の王都編、クライマックスです!!
年末年始、更新祭り開催中!
「師匠! 私も加勢します!」
「グレア様! 僕も加勢します!」
2体の敵に囲まれている『剣聖』グレア・グロウハートを見つけて、僕らはすぐに『剣聖』グレアの加勢に入ろうとする。しかし……
「見つけました……! 聞いていた通りの『魂』……まさに、我が『王』の魂! 強欲なる金龍! あの子供を殺せ!!」
『クルォォォォォン!!』
どうやら、僕たちの相手はこの巨大な金色の龍のようだ。辺りに甲高い咆哮が響き渡ると同時に、その龍……ファフニールの周りに、大量の魔法陣が形成される。
そしてそこから氷の槍が発射され、僕たちに襲いかかる!!
「【ブレイズウォール】!」
僕は上級火魔法【ブレイズウォール】でその氷を溶かして対処する。フィリアも飛んできた氷の槍を、剣を振った衝撃で全て吹き飛ばす。『剣聖』のスキルだろうか……。
「フィリア! このまま仕掛ける!」
「了解。ラルクに合わせるよ!」
目の前の魔物が魔法を放ち終えた今がチャンス! 僕は無詠唱で土魔法【ビッグロック】を発動し、大きめの岩を生成する。そして……
「スキル複合発動! 『投擲』『衝撃』『渾身の一撃』……『隕石砲』!」
それを目の前のファフニールに向かって投げつける! しかし……
『我に楯突くというのか? ニンゲン。【龍鱗強化】』
その岩はファフニールの鱗に当たり、粉々に砕けてしまった。というより……魔物が喋った!? いや、聞いたことがある。知能の高いドラゴンや、キングオーガなどの魔物は喋る……と。
しかし、それら全ての魔物は強力な力『種族スキル』を持っており、少なくともSランク上位以上の実力はあるらしい……ということは、この魔物も……
僕はその事実に気づき、フィリアに警戒を呼びかける。
「フィリア、こいつ多分、相当強いよ」
「分かってる……ラルクも油断しないで」
そう話しながら一旦2人とも地面に着地し、戦闘態勢をすぐに整える。フィリアは既に剣を構えており、僕も『身体強化』と『思考加速』をフルで発動する。
本当はフィリアをこんな戦いに巻き込みたくはない……しかし、僕と同じように彼女も覚悟を決めている。なら、2人でこの魔物をやるしかない。
『先手をやろう、ニンゲン。格の違いを思い知れ』
ファフニールが余裕綽々といった声色で僕たちにそう語りかけてくる。ならば、遠慮なく……
「フィリア! 一気に行くよ! 『魔法強化』からの……【フレイムランス】×40!!」
「了解! 『剣聖技・一閃』!!」
フィリアがファフニールに向かって、剣を構えて突撃する。僕もその後ろから援護するような形で【フレイムランス】を大量に発射する。
これなら痛手を与えられる筈だ……そう思った直後。ファフニールの口角が、ニヤリと吊り上がるのが見えた。
その瞬間、僕の中に言い表し難い悪寒が走る。このままでは……何か……まずい!!
「『電光石火』!! フィリア! 危ない!!」
「えっ!? ラルク……きゃあ!」
僕は咄嗟に『電光石火』を発動し、ファフニールに向かっていくフィリアを追い越しざまに抱えてその場から離脱する。
すると、さっきまでフィリアがいた所に、大量の氷槍が撃ち込まれた。それを見て、もしフィリアがあのまま突っ込んでいっていたら……と、最悪の想像をしてしまう。
着地の反動が来ないように『受け身』『受け流し』『縮地』を複合発動してしっかりと着地し、抱きかかえていたフィリアを下に降ろす。よかった、怪我は無いみたいだ……
「あ、ありがとう……危なかった……!」
フィリアも顔面蒼白とした表情で僕にお礼を言ってくる。元はと言えば僕が攻撃を何も考えずにしたから悪いのだが……
『チッ……外したか。決まったと思ったのだがなぁ』
そう不機嫌そうに言うファフニールを見て、やっと僕は自覚する。喋っていても、相手は魔物……僕らが蠅を叩いて殺すように、鳥を撃って殺すように……僕らを、当たり前のように殺そうとする。
そりゃあそうだ。今しているのは、命の取り合い。殺し合いなのだ。それなのに、相手の言うことを鵜呑みにして攻撃してしまった……そう気づき、僕は気を引き締める。
「フィリア、ごめん。僕が攻撃しようって言っちゃったから……」
「ラルクのせいじゃないよ。それに、私を助けてくれたでしょ? 謝るのは私の方だよ……今からはちゃんと、気を引き締めていくから」
そう話しながら、今度こそ僕らはファフニールとの戦い……いや、殺し合いの準備を整える。
『厄介な……あの攻撃で死んでおけばよかったものを。全身を引き裂いてくれるわ! 【百花龍鱗】!!』
ファフニールがそう言ったとともに、奴の体表にある金色の鱗が僕らに発射される。しかしフィリアは、それに向かって行って……
「『剣聖技・一刀百閃』!!」
自身に当たるはずの全ての鱗を、目にも止まらぬ速度で切り裂く! これが『剣聖』だけの能力、『剣聖技』の力か……! 僕も負けてられないな。
(『無詠唱』……【フレイムランス】【アクアランス】【アースランス】10連!!)
大量の中級魔法をやつに向けて打ち込み……
「『分身』ッ! 一斉にかかれ!!」
さらに僕は分身60体を全て再出現させ、一緒に突撃させる。何体かは鱗に貫かれて消えてしまったが、分身達はどんどんファフニールに近づいていき……
「そこだ!!」
至近距離から『終幕の輝き』を発動させる! それにあわせるように、フィリアも……
「これで決めるよ! 『剣聖技・一刀両断』!!」
剣聖技を発動し、ファフニールにたたみかける!!
『ニンゲンごときに……我が、この我がぁぁぁあ!!』
その叫び声と共に、全員の攻撃が奴に炸裂する。衝撃で地面は揺れ、石畳が砕ける。轟音と共に石畳の下から土埃が舞う。これなら、どうだ……!?
やがて土埃は消え、視界が晴れる。すると、そこに広がっていた光景は……
「あ、あ……」
体に無数の切り傷をつけられ、痛みを噛み殺しながら地面に伏しているフィリアがいた。
「ラル、ク……」
ファフニールには、傷一つついていない。まるで虫を見るような目でフィリアを見おろした後、僕の方に向き直りこう言った。
『…………なんてな。所詮、ニンゲン。我を倒すなど不可能だと……圧倒的な格の違いがあると、これで分かっただろう。安心しろ、貴様も後から後を追わせてやろう』
その言葉で、僕の中の何かがキレた。
「…………おい、やめろ」
『ほう、まだやる気か?」
こいつは、今ここで……
「その人に、触れるな……」
『ならば……やってみろ。貴様に絶望を与えてやろう』
────殺す。
次回、ラルクVSファフニール。フィリアを救うことは出来るのか……!




