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第六十四話 VSロックゴーレム

第六十四話! その頃ラルク達は……

 side:ラルク


 ブラックオーガをフィリアと協力して倒した後のこと。住宅街の中で敵を探していた僕の耳に、重い足音が聞こえてきた。


 僕たちは建物の間の路地に入って、何がきているのか様子を伺う。


「……フィリア。何か来てる、構えて」


「大丈夫、いつでも行けるよ


 ズシン、ズシン……とその足音はどんどんこちらに近づいてくる。そして、その足音の正体が曲がり角から現れる。その正体とは……


「「ロックゴーレム……!!」」


 ロックゴーレム。高難易度ダンジョン内では、ボス部屋の前に配置されていることが多いAランクモンスターだ……とギルドの研修で教わった。


 動きが遅く、攻撃も単調。その分攻撃力も防御力も高く魔法攻撃もほとんど受け付けないのだが、ダンジョン内ではすぐ振り切れるため、相手にする意味が無いので放って置かれる場合が多い。


 しかし、ここは王都の住宅街の一角。このままコイツを野放しにしているのは危険すぎる。いくら動きが遅いとはいえ冒険者じゃない人からしたら十分速いし、建物を壊す可能性も極めて高い。


「フィリア、あいつはここで倒そう」


「分かった。でも、どうしよう……?」


 そう。問題はそこなのだ。ロックゴーレムの厄介な所は、その耐久性。話に聞いた限りでは、普通の剣では傷一つつけることができず折られ、ミスリルの剣でようやくダメージが通るかどうか……といったところらしい。


 ただの石塊がここまで固くなっている理由は、ロックゴーレムの『核』にある。そこから絶えず全身に強化魔法を流し続けているのだ。これにより、魔法は打ち消され、直接攻撃は弾かれてしまう。


 一応フィリアの持っている剣はミスリル製なのだが、ここでもし折れてしまったら戦闘が続けられなくなる。一体どうしたものか……とりあえず、ここは念の為僕が戦うことにしよう。


「フィリア、ちょっと待ってて。色々試してくる」


「気をつけてね……万が一何かあったら、すぐ行くから」


 そう言うと、フィリアはその場から離れ、別の魔物を探しに行った。さて、あいつをどう倒そうか……僕は様子見で、『分身』を一体向かわせる。


 その分身はまず【フレイムランス】をロックゴーレムに放つが……


「…………」


 ロックゴーレムにダメージはない。というか、全然効いてない。むしろ、分身の存在を気づかせてしまった。


「ゴォォォォォ」


 ロックゴーレムは唸り声のようなものを出しながら、分身に殴りかかる……が、それは分身に避けられてしまう。分身もそれに合わせて『一撃必殺(ザ・ワンショット)』を入れるが、傷一つつけられない。


 殴る。避ける。殴る。効かない。殴る。避ける…………これ、いつ終わるんだ……? そう思った僕は、自分も攻撃に参加することにする。このままではただ長引くだけだ。


(スキル複合発動! 『一撃必殺(ザ・ワンショット)』!!)


 まずは小手調べの一撃だ……どのくらい入るかな? 僕が不意打ちで背後から放った拳はロックゴーレムに防がれることなく、その岩でできた体に直撃した。したのだが……


「ゴォォォォォ!?」


 流石、ロックゴーレム。物凄く硬い。ほんの少し傷ついた程度で、あまりダメージは通っていない。やはり、ちょっとやそっとの攻撃では倒せないみたいだ。


「ゴォォォォォン!!!!」


 そう唸り声にも似た叫び声を上げながら、ロックゴーレムは僕に向かって思い切り拳を振りかざす。これを避けるのは簡単だ。しかし僕は、()()()()()()()()()()()()()!!


「ここっ! 『ダブルアップ・カウンター』!!」


 防御力が高くて攻撃が通らない……? なら、相手の攻撃力を利用するまで。僕は攻撃をしっかり受け流しつつ、その勢いを……()()()()()()()()()()!!


 僕の分身にはすでに、もう一度『ダブルアップ・カウンター』を撃つよう指示してある! 分身はおそらくダメージを受け流しきれず消えてしまうが……それでも、攻撃を返してくれれば十分!!


 分身はなんとか僕の一撃を受けきり、『ダブルアップ・カウンター』を成功させ……そのさらに倍以上の威力を、もう一度僕に放ってくる。


「これで倒れろ!! 『ダブルアップ・カウンター』!!」


 その威力、元の攻撃の約10倍。それほどの威力を持った一撃が、奴の胴体にクリーンヒットする! そこからロックゴーレムの体に亀裂が走り……


「ゴォォォォォォォォォォン!!!!」


 激しい断末魔と共に、ついに砕けた……それと同時に、何かの声が()()()()()()


(コレデ……オワレル……)


 その声が聞こえた瞬間、その体の中から青白い炎のようなものが浮き出てくる。


(なんだこれは……?)


 彷徨うように空中を動き回るその炎は、少しずつ上に上昇していく……まるで、何かを探しているように。


「ラルク、終わったみたいだね。……これ、何?」


 それを見ているうちに、フィリアも戻ってきたようだ。


「分からない。でも、何かを探してるみたいだ」


 2人でその炎を見つめていると、急にそれは加速して、王都の反対側に向かっていく。


「フィリア! 追ってみよう!」


「分かった!」


 僕たちはまだ壊れていない建物の屋根の上を飛び乗りながら、その炎を追跡する。この先に一体何があるんだろうか……


 そして追跡し始めて間もなく、()()は見えてきた。そこには、金色に光る巨大な龍と、禍々しい姿をした黒紫色の巨体。そして……


「師匠! 私も加勢します!」

「グレア様! 僕も加勢します!」


 苦戦気味の『剣聖』グレア・グロウハートがいた。

集結する戦力! 果たしてファフニールと覚醒ドーヴァに勝てるのか……!?

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