第五十九話 魔物達の襲来
第五十九話! 話を終えたラルクとシュヴァルツですが……
side:ラルク
「……ただそれだけの、臆病者の話だ」
僕はシュヴァルツさんから今までのことを聞いていた。シュヴァルツさんは自分のことを臆病者だなんて言うけど、僕はそうは思わない。だって……
「シュヴァルツさん」
「どうした? ラルク」
「僕はまだ話を聞いただけで、あくまで感じたことに過ぎませんが……僕は、シュヴァルツさんを臆病者だとは思いません。だって……」
「きゃぁぁぁぁあ!」
そう、僕がその続きを言おうとした時。突如、宿の外から悲鳴が聞こえてくる。何があったんだ? 外の様子を見ようと窓を開けると、そこには……
(大量の魔物……!?)
僕は一瞬、自分の目を疑う。そこには、尋常じゃない数の魔物達が街を徘徊し、そこらじゅうの物を破壊してまわっているのが遠くに見えた。これは、一体……!?
「何があったんだ? 盗みか?」
「魔物の大群がこっちに来ています! このままじゃ王都に住んでる人達が危ない!」
「何だって!? ラルク! 話は後だ、外へ向かうぞ!」
「はいっ!」
僕たちは自分たちの装備を持って、急いで外へと向かった。するとそこには、同じように向かいの宿から出てきたマールとリールの姿があった。よかった、2人は無事みたいだ。
「ラルク! シュヴァルツ! これ何なの!?」
「ラルク! シュヴァルツ! これまずいよ!」
2人も僕たちを見つけ、こちらに駆け寄ってくる。
「分からない! だが、とりあえず応戦するぞ! この奥には住宅街がある!」
嘘だろ!? なら、ここで絶対に食い止めないと……!
「「「はいっ!!」」」
その返事とともに、僕たちは魔物との戦闘を開始した。
「「行くよ! 『殺戮高揚』!!」」
マールとリールが『殺戮高揚』を使って魔物の群れに突っ込んでいく。僕も行くか!
「『分身』! シュヴァルツさん、後ろから援護お願いします!」
「了解だ! 暴れてこい!」
僕は『分身』発動とともに『身体強化』を使い、戦闘態勢にうつる。
分身は最大の60体作り出しておいた。その内の10体と一緒にまずはスケルトンの群れに攻撃を仕掛ける。ちなみに残り20体は王都の別のところに、30体は住宅街の避難誘導と護衛に向かわせた。
「「「「カタカタカタカタ!!!」」」」
骨を鳴らしながら近づいてきたスケルトン達を……
「スキル複合発動! 『覚醒』『縮地』『衝撃』『渾身の一撃』」
そう言って短剣の柄を持つ。そして勢いを乗せたままスケルトンの群れに突っ込み……
「────『居合斬り・衝』」
複合技『居合斬り・衝』を発動する。この複合スキルはすれ違いざまに敵を斬る複合技『居合斬り』の派生技だ。
その効果は、すれ違った敵の軍団を全員『衝撃』を使って斬る。ただそれだけ。しかし、それでも……
「「「「キァァァァァ!!」」」」
その威力は絶大。スケルトン達を一撃で葬り去ることができた。他の分身達も同じように『居合斬り・衝』を発動し、スケルトン達を斬り伏せていた。これなら……っ!? 痛い!
(分身が一気にやられた!?)
周りの分身は生きている……ってことは、住宅街に護衛に向かわせた分身がやられたのか!? それはまずい! 僕は急いでそっちへ向かう。するとそこには……
「ブラックオーガ……! しかも、5体も……!?」
5体のブラックオーガがいた。これは……まずい。あんなに苦戦したのに、それが5体なんて……
「いやぁぁぁ!」
攻撃を躊躇っていると、ふと悲鳴が聞こえる。その声の主は小さな女の子。逃げ遅れたのか! ブラックオーガが手を振り上げているのが見える……!
(間に合え! スキル複合発動、『電光石火』+『突進』『当身』……『肉弾特攻』!!)
僕は一瞬で接近して……
「やめろっ!」
「グォォォ!?」
ブラックオーガを吹き飛ばす! ……って、反動が来る! まずい……
(『受け流し』『受け身』『縮地』『反撃』!)
僕は無意識にその4つを発動する。すると、着地時の隙が無くなったどころか……
(勢いが衰えてない!? この勢いならもう一回いけるぞ……『肉弾特攻』!)
『反撃』のおかげで勢いが戻り、壁を蹴って再度『肉弾特攻』を放つ。僕は勢いのままブラックオーガにぶつかり……
「グゴォォォォォ!」
ブラックオーガをダウンさせることができた!これは……もしかして、『武芸百般』LV3の能力か! これは強いな……って、まずい! 他のブラックオーガ達に僕の存在を気づかれてしまった。
「「「「グォォォォォン!!」」」」
まずい! こっちに向かってきている! このまま正面から相手をしても勝てるわけがない!
「きゃあ!」
「ごめん! 怖いかもだけど我慢して!」
僕は女の子を抱えて、咄嗟に後ろに飛び退く。よし。とりあえず距離は取れたので、まず分身を一体出現させる。
「いいかい? 今出てきたほうの僕について行って、安全なところまで避難するんだ。わかった?」
「……う、うん! わかった! ありがとう!」
「ほら、早く!」
そうやって女の子をブラックオーガの近くから避難させる。これで戦いやすくはなったが、どうしようか……? 5体のブラックオーガ相手に勝つ算段が見えない。しかし、逃がしてもくれないだろうしな……
「「グォォォォォ!!」」
って、もうここまできたのか!2体のブラックオーガが僕に向かって突進してきた!
「今考え事してるから来るなっ!」
だめだ。考える暇がない。ここはとりあえず応戦するしかないか……? そう思った直後のことだった。ブラックオーガの腕が、突如なくなったのだ。
一瞬、光の道筋が通るのが見えたかと思うと、目の前のブラックオーガ2体の腕が片方ずつ斬り飛ばされていた。これは……?
「「グォォォォォ!?」」
ブラックオーガは驚いたように後ろを振り向く。そこにいたのは……
「ラルク、遅くなってごめんね? あと……久しぶり!」
全身に鎧を纏い、剣を構えている───まさに、『剣聖』の姿をしたフィリアだった。
次回、フィリアとラルクが共闘……!?




