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第四十九話 王都へ

第四十九話です!!!

「『第六感』と能力が…被りました…」


「あぁ…なるほどね…。確かにそれは被っても、能力が強くなるビジョンが見えないねえ…」


 能力被り。スキルの能力が被っても、基本は足し算式でそれに対応する能力はさらに強化される。しかしそれでも…『第六感』の強化って何?

 

 今のままのスピードでも困ることはないし…正直、『第六感』が強化されても別にあまり恩恵はない…


「まあ、別に気にしすぎない方がいいよ。こういうのは案外使えたりするし…自分が望むように強くなるとは限らないしね」


 まぁ…そう考えれば、別にあまり問題にも感じないな…全く強くなっていないというわけでもないし、そもそも鑑定されるまではレベルアップしていることさえ知らなかったわけだし…別にいいか。


 そんなやりとりの後、少し他愛無い話をして『鑑定屋シルク』を後にしたのだった。




 side:シルク


「スキル『武芸百般』…かぁ…」


 ラルクくんが出ていった後の、静かになった店の中。私は一人、考え事をしながら呟いていた。


 普通とはかけ離れたスピードで成長し、そしてさまざまな状況に対応するように進化していく…そんなの、まるで『彼』と同じじゃないか…。


(本当に『彼』のスキル…いや、『彼自身』なのかい?ルキア様……)


 誰にも届かない思いを胸に秘めながら、一人……




 side:ラルク


 それから数日。王都に行くまでの間、僕は家で手伝いをしたり家族と話したりしながら、ゆったりとした生活を過ごした。あったことといえば一度ウォードさんに呼び出され、日程をもう一度伝えられたことくらいだった。


 そして、ついに今日は王都に向かう日。


「ラルク…必要なものは持った?怪我とかしないように気をつけるのよ?いつでも帰ってきていいからね?」


「うん…大丈夫だよ」


「ラルク…王都にいくんだ、楽しんでこいよ!」


「うん…分かった!いってきます!」


「「いってらっしゃい」」


 僕は父さんと母さんにいつものように「いってきます」といい、家を出たのだった。もしかしたら、しばらく会えないかもしれない。それでも、別れ際はいつものようにあっさりと。


 …きっとまだ話していたら、寂しくて涙が溢れてしまうから。僕はいつもの道を、ゆっくりと歩いて行くのだった。いつもより風が冷たく感じた。




 マールやリール、シュヴァルツさんとやけに人の少ないギルドの中で合流した後、僕たちはフィリアが王都に行く時に馬車に乗った広場に向かった。


 するとそこには、多くの人……といっても大体は見送りに来てくれた先輩冒険者の人たちだが……が、集まっていた。その中心で、僕たち四人は木製の馬車に乗る。


「お前らーー!王都でも元気でやれよーー!」

「楽しんでくるのよー!」「精一杯頑張ってこいよーー!」


 それは、周りからしたら騒音にしか聞こえないほど多くて、雑多で、大きな声。しかし、それら全てが僕たちを応援してくれている。すごく…嬉しい。僕たちはそれに応えるように、先輩冒険者たちに向かって叫ぶ。


「「「「いってきまぁぁぁぁす!!!! 」」」」


 そして、王都へと向かう馬車は、最初はゆっくりと…そして、少しずつ加速しながら、動き出したのだった。




 side:ウォード


「行ったか…」


 あいつらを送り出す人混みの中、俺は小声でそう呟く。マールにリール、ラルクが王都に行くのは予想できたが…


(まさか、本当にヴァ……シュヴァルツが王都に行くとはな…)


 あいつが王都に行くとは思わなかった…いや、奴の事情を知っているなら、誰も行くだなんて思わないだろう。


「マール、リール、ラルク…頼んだぞ?あいつとは…まぁ、色々有るだろうからな」


 また、そう小声で呟きながら俺はギルドに戻るのだった。この後も仕事が待っている……いつも通りに。




 side:ラルク一行


「チェックメイト!私の勝ちだよ!」


「あぁ、また負けたぁ!もう一回!もう一回だよマール!」


「いや…ここの魔力の動かし方を少し変えれば…これなら行ける!行けるぞ!名前は…【漆黒断ち(ダークネスティアー)】だ!」


「固有スキルの魔法って、弄ることができるんですね…すごいな…」


 僕たちは出発した後、馬車の中で各々楽しい時間を過ごしていた。


 マールとリールは馬車の中でボードゲームなんてして大丈夫かと思ったが…この馬車、乗合馬車と違ってなんと魔道具が使われており、少し地面から浮いているらしいのだ!(シュヴァルツさん談)


 定期的に魔力を補給すればずっと快適だし、自分達で魔力を補給することは前提だが、魔法使いが一人いれば賄えるくらいの量なので問題ない!(シュヴァルツさん談)


 シュヴァルツさんと僕で交互に補給すれば、盗賊などがきても魔力が切れて遠距離で戦えない…なんてこともないから安心だ!馬への負担も少なくなるから、いいことずくめだな!(シュヴァルツさん談)


 ということで快適な馬車の中、僕たちはゆったりとくつろぎながら、王都への道のりを行くのだった……

シルクさん!?シュヴァルツくん!?何やらさまざまなことが起こりそうな予感…!!


第二章、『『物情騒乱』の王都編』本格始動です。


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