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第三十五話 ウォードVSミファレス その4

第三十五話!ウォードVSミファレス、最終局面です!

「本当の『理不尽』を思い知れ!ミィィファァレェェス!」


 砂埃と血の匂いがあたりに充満する中、自身を奮い立たせるようそう叫び、俺は『身体強化』と『覚醒』、そして、左腕を持たせるために『鋼の肉体』を使用する。こうすれば5分くらいならば、左腕が破裂するのは(・・・・・・)防げるだろう。

 左腕から少し…というか結構血が出て来て、ジクジクと痛むが…そんなもんは関係ねぇ。


「掻き消せッ!『筋肉は裏切らないパワー・イズ・ザ・ベスト』ッ!『衝撃』ィィ!」


 全力を込めた『衝撃』を奴に放ち、俺は跳ね返されてもいいようすぐその場を動く。その衝撃波は奴の生み出す風の刃を全てかき消し、そのまま奴の元へと向かっていく。


「嘘!?『吹き飛びなさい』!」


 驚いたように奴は声を上げる。どうやら奴もこれは完全に想定外だったようだな…なら、対応が遅れている今がチャンスだ!

 

 衝撃波が跳ね返ってくるが、すでに俺はそこにいない。なぁ、ミファレス…お前、この光景を──不意を突かれ俺を見失った光景を──見たことあるだろ!?


「どこっ…って、まさか後ろか!」


 ああ、やっぱりな(・・・・・)。お前なら振り向くと思った!俺の予想通りに後ろに振り向いた奴の背中を(・・・・・)見て、俺はニヤリと笑う。


「嘘!?後ろじゃ…ない!?」


 そう。俺は振り向くことを予想していたため、一旦後ろに回り込んだ後、全力で跳躍し奴の真下を通過して、『筋肉は裏切らないパワー・イズ・ザ・ベスト』を使い空中で方向転換して奴の正面…今は背後だが…に、既に回り込んでいた!


「トドメだ!打ち砕け!『筋肉は裏切らないパワー・イズ・ザ・ベストォォォォ!!」


 俺は奴の顔面に向けて、思い切り拳を振り抜く!


「そっち!?まぁいいわ!『砕け散りなさい』ッ!!」


 奴もそれに対抗せんとスキルを発動する!だが…


「捻じ伏せろ!!『筋肉は裏切らないパワー・イズ・ザ・ベスト』!!」


 俺もそれに対抗し、スキルの発動自体を無かったことにしようとする。しかし奴の力の方が強い…だが!


(この10年、何もしてこなかったわけじゃねぇぞ!!)


「スキル『当身』ッ!喰らえやぁ、ミファレス!」


 10年前まで戦場を駆け巡ることしか考えず、最低限のノーマルスキルだけで戦って来た。案外、それでなんとかなっていた。しかし奴との戦いを経て、ノーマルスキルの取得にも俺は乗り出したのだ。今の俺の強さは、全盛期と同じかそれ以上だ!


「今度は全身を消しとばして上げるわよ!!」


 奴は必死の形相でスキルの威力を引き上げる。俺の左腕がミシミシと音を鳴らし、今にも壊れそうだ…血が大量に噴き出しており、少し意識が揺らいでくる…が、しかし!俺はもう負けねえ!


「なめんなぁぁぁぁ!俺は!『理不尽』ウォードだぁぁぁ!!!」


 左腕が砕けそうになろうとも。二度と、戦いが出来ないとしても。俺は俺自身の誇りを守るために、『理不尽』ウォードとしてこいつをぶっ飛ばす!!! 

 そんな誇りを、覚悟を、想いを乗せた拳が──10年前に届かなかった拳が──そして、使えずにいた利き手から放たれた、まさに俺史上最高の拳が、奴を、奴のスキルごと穿つ!!!


「終わりだ!ミィィファァレェェス!!」


 奴のスキルを乗り越え、俺の拳はついに奴を捕らえた!!そして奴の体は、思い切り吹き飛ばされる!

 これで、俺の勝ちだ…『受け身』を使って地面に着地しながら、そんなことを考える。左腕からはとめどなく血が流れ出し、今にも意識が飛びそうだ…が、まだ俺には色々とやらないといけないことが…


『支配魔法【ハザードオーバー】』


 どこからともなく、低い男の声が聞こえてくる。なん…だ、この声は…そう思い、ミファレスの方を見ると、そこには…


「グァァァ!ギィ!ガ、あぁぁ!い、や!いだぁぁぁ!!!」


 黒い瘴気に蝕まれ、身を悶え苦しみながら、すこしずつオーガのような巨躯になっていっている!何が起こってるんだ!?俺はすぐさまトドメを刺そうとするが…


(駄目だ…体に、力が…)


 体が、もう動かねえ。ああ、こんなに消耗してたのか、俺。俺は奴が変身していくさまを、ただただ見つめることしかできない。


(クソッ…!動けよ…動けよ!)


 もう…体に力が入らない。意識が少しずつ薄れていく。そんな中見た奴の姿は…


「グォォォォォ!!!」


 轟くような咆哮。大人3人分はあろうかという漆黒の巨躯。赤く鋭い眼光に、獰猛な笑みを浮かべた顔。まさか、こいつは…


「ブラック…オーガ…!!」


 Aランク冒険者が相手にしなければならないほどの強さを持つ、Sランクの魔物。もしもこいつがここから離れ、街へ向かえば…いくらこいつがミファレスだった(・・・)時に消耗させたとはいえ、対処できる奴がいねえ…!


 俺は俺自身の無力さを恨む。もう、あいつを止めることはできないのか…?そう思いながら、俺の意識がどんどん薄れていく…そして、意識を失った俺が最後に聞いたのは…


「スキル…『投擲』!!!」


 どこかで聞いた子供の叫び声と、尋常ではない轟音だった。

【作者からのお願いです!】


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