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第三十三話 ウォードVSミファレス その2

第三十三話です!更新遅れました!本当に申し訳ございません!

「あらぁ!?避けてばっかりじゃ私を倒せないわよ!Sランク冒険者なんてこの程度なのかしらぁ!『吹き飛びなさい』!」


 また衝撃波が飛んできた!俺はそれを間一髪で躱す。躱した衝撃波はそのまま地面に着弾し、大きく地面を凹ませた。

 1発でも当たれば恐らくそのまま負ける…という緊張感の下、俺は攻撃を避けつつ相手の観察を続ける。

 周りの地面には既に沢山の大きな窪みができており、奴の攻撃の手数の多さと激しさを物語っている。

 

 目の前の魔族…ミファレスが攻撃に移った後から、ずっとこんな調子で防戦一方である。

 というか毎回毎回敵を力で捩じ伏せてきた俺にとって、こんな嫌な緊張感の漂う闘いは初めてだ。楽しくもねえ。

 しかし、少しずつどんなスキルかは分かってきた。


 奴のスキル『数量操作』は、恐らく

1.発動時に宣言のようなものが必要

2.自身の攻撃・防御における数値を増減させられる


 みたいな効果だと思う。


 つまり、さっきの超威力の反撃は俺の攻撃で受けるダメージを『数量操作』で減らし、そして攻撃時にこちらに向かう反動を『数量操作』で何倍にも引き上げたのだろう。


 ……だとしたら俺、これ相性悪過ぎねえか!?直接攻撃する度に死の危険と隣り合わせとか、やってらんねえな!でも逃がしてはくれねぇだろうしな。仕方ない…なら、俺は俺なりのやり方であいつを倒すまでだ。


「そうか、だったら俺も攻撃させてもらうぞ!『衝撃』!」


 そう言って俺は横に移動しながら連続で衝撃波を飛ばす。


「芸がないわね。これ、さっきも見たわよ…『弾けなさい』」


 やはり、俺が放った衝撃波はさっきのように全てとてつもない威力で跳ね返され、地面を抉り取る。やっぱりやべぇよあの反撃…食らったら終わりじゃねえか。だが…


「なんとでも言え!『衝撃』!『衝撃』!!」


 俺はどんどん撃つ間隔を短くしながら衝撃波を放ち続ける。


「煩わしいわね…『弾けなさい』!こんなことをして何の意味があるの?…『弾けなさい』!」


 ああ、ちゃんと意味があるさ。1発1発に対してスキル発動の宣言を行っているお前のその様子を見て…ようやく見つけた(・・・・・・・・)

 対俺に関してはほぼ無敵とも思えるお前のスキル…『数量操作』の弱点をなぁ!返ってきた衝撃波に当たるんじゃねえかとヒヤヒヤしながら撃ち続けた甲斐があったってもんだ!

 俺はその弱点を突くために、さらに撃つ間隔をはやめる。


「鬱陶しい!!『弾けなさい』!何がしたいのよ!『弾けなさい』!『弾けなさい』!…」


 今だ!衝撃波の対応に追われて焦っている奴の意識が俺から逸れた瞬間、俺は魔力量の関係から弱めにしていた『身体強化』と『覚醒』を全力で発動し、時計回りで奴の後ろに回り込み跳躍する!


「何がしたい…って聞かれたら、まぁこれだよなぁ!」


 そう言うと、奴は驚いたように後ろを振り返る。

 考えた上手く作戦が決まり、自分の口角が少し上がるのを感じる。俺が見つけた奴の『数量操作』の弱点。それは、

「同じ効果は一回の宣言で一度しか使えない」

というものだ。


 つまり、ひとつの攻撃に対してダメージの軽減と超威力の反撃は一度の宣言で同時に行えるが、二つ以上の攻撃に対して同時にダメージを軽減したり、反撃したりと言うのは不可能ということだ。

 さっきからお前が衝撃波が来るごとに宣言を繰り返しているのがその証拠だ!だから…


「挟み撃ちにすれば、どっちかは受け切れねぇよなぁ!?」


 2方向からの同時攻撃を行う!これが俺の作戦…名付けて『挟み撃ちでぶっ飛ばす』作戦だ!


「頭壊れてるんじゃないの!?ワタシがあなたを迎撃すれば、あなたは粉々になるのよ!?」


 驚いた…というか信じられないと言った様子で、目を大きく見開きながらそう言う。たしかに、お前の言う通りだよ。だがな…


「心配してくれてありがとよ!だがな…筋肉は裏切らないんだぜ!?」


「何言ってんのか訳わからないわね!もういいわ!お望み通り粉々にしてあげる…『弾けなさい』!!」


 やはり衝撃波は無視して俺をやりに来たか…このままでは、あの反撃をもろに喰らって俺は粉々に砕け散ってしまう。だが!俺は『理不尽』のウォードだ!だったら俺は俺らしくただ力に任せて、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!!


「そんなもん関係ねぇ!捻じ曲げろ!『筋肉は裏切らないパワー・イズ・ザ・ベスト』ッ!!」


 俺は『反撃される』という事実に対して『筋肉は裏切らないパワー・イズ・ザ・ベスト・』を発動し、それ自体を無かったことにしようとする!


「何なのよこれ…スキルが、消されてる!?ぐっ…でも消し切れてはいないようね!」


 そう。ここまでしても、完全に反撃される事実を消すことは出来ない!俺はじりじりとダメージを受け、突き出した腕から血が噴き出してくる!物凄く痛え!だがここで退いたらもう勝機はねえ!耐えろ俺の腕!


「さっさと砕けなさいよ!もうあんたに勝ち目は…がはっ!?」


 やっと来た!さっき放った衝撃波が、奴にヒットする。するとその瞬間、一瞬…ほんの一瞬だが、奴の意識が逸れる!


「ここだ!喰らえやぁぁぁぁ!!!」


「ごえっ!!」


 傷だらけでズキズキと痛む腕を、思い切り奴の腹に叩きつける!『筋肉は裏切らないパワー・イズ・ザ・ベスト・』に力を割いているため威力は下がっているが、それでも威力は十分!奴は吹き飛ばされ、思い切り地面へと向かって行く!


 勝敗は決したかと思われた…が、


「ゲボッ…まだよぉ…『受け止めなさい』!!」


 驚くべきことに、奴はまだ意識を保っている!俺の拳を喰らってなお、何とか意識を保っているのだ!完全に意識は刈り取れたと思っていたんだが!

 そんな状態で奴が、恐らくスキルの宣言を行った直後、奴の体は地面に叩きつけられ、砂埃が辺りに舞う。しかし…その中から、まだ声が聞こえてくる。


「ゲボッ…ハァ…死ぬかと…思ったじゃ、ないの…」


 あいつ、スキルの効果で着地の衝撃を軽減しやがった!!まだ続くってのか?しかしこれ以上は、俺の体がもたねえ…相打ちできるかどうかだな…そう考える俺の前で、奴は…


「駄目…意識がっ…!悔しいけど……今日は…引くとするわ…でもこの恨みは…絶対にいつか晴らしてやる…!!覚えてなさい、『理不尽』ウォード!!!」


 そう言って、気絶しそうになりながら、奴はどこからともなく黒い玉を取り出し、闇に包まれてその場から消え去ったのであった。


(なんかしまらねえが…まぁ、上出来、だ…ろ…)


 そう思った後、俺の意識は糸が切れたように途絶えた。

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