第三十一話 決着……?
第三十一話!ラルクが無双しております!
その時は突然に訪れた。分身の魔力が尽きたので、一人で火属性中級魔法を詠唱しまくっていると突然、体の中が熱くなる。大量の魔法詠唱中にこの感覚…まさか!
(スキル『無詠唱:【フレイムランス】』……発動!)
もしかしたら獲得したんじゃないかと思いそう念じると…なんと【フレイムランス】が発動した!
(よーし!これなら大量に撃てる!)
スキル『無詠唱』。『同じ魔法を1日に1000回放つ』ことで、その魔法を無詠唱で放てるというもの。
魔法一つ一つを1000回使わねばならず、あまり習得されていないスキルだ。しかしその効果は絶大で、なんとこれを持っていると『念じるだけで』『無詠唱で』『一度に10発まで』同じ魔法を放てる。
まさに殲滅戦にもってこいのスキルだ!
(これならいける!【フレイムランス】!【フレイムランス】!【フレイムランス】!…)
僕は【フレイムランス】を撃ちつつ、それに耐えた奴を直接殴る…ということを繰り返し、やられた分身も随時補充して魔法をさらにぶっ放しながら、どんどんモンスターを殲滅していった。
side:シュヴァルツ
ラルクが突撃した直後。かなり遠くにとてつもない量の【ファイアボール】が上空から降り注いでいるのが見えた。
(まさかあれはラルクがやったのか!?あれは恐らく【フレイムメテオ】…やつの魔力量はどうなっているのだ!?また撃ってるし!)
何なんだあいつは!その身に宿したとてつもない魔力量。尋常じゃない身体能力。そしておよそ10歳とは思えないほどの勇気と判断力!あれはもしや『勇者』ではないのか!?
そしてさらに10分ほど経った時、我はさらに驚くべきに気づいた。
(魔物の量があからさまに減っている…!)
そう、今までよりも魔物の数が圧倒的に減っていた。
まさか…ラルクが減らしたとでもいうのか。たった1人で、来る魔物の数が目に見えるほど減るくらいの数を、奴が倒したとでも言うのか。
(ラルク…お前は、本当に何者なんだ…!)
その圧倒的な強さに戦慄しながら、我は足手まといにならぬようモンスターを殲滅し続けるのだった。
side:ラルク
『無詠唱』を獲得して5分ほど経ったころ。この戦闘が始まって30分ほど経った時、ふいにモンスターの進軍が途切れた。
「まさか!」
僕はダンジョンの方を見る。するとそこからは、もう何も出て来ていなかった。迫ってくるモンスターの数も、もう50体ほどしかいない。
ダンジョンから溢れるモンスターが途切れた…つまり、迷宮氾濫が終わったのだ!しかしまだ気を抜いてはいけない。
(よーし、ラストスパートだ!一気に殲滅しよう!)
「喰らえ…【フレイムランス】50連!」
僕は『無詠唱』を使い、心の中で【フレイムランス】×10を5回連続で放つ!
そして…僕の目の前からは、もうモンスターがいなくなっていた。
(終わった、か…)
これで一応、僕の役目は終わりだ。あとは4人に任せて大丈夫だろう。そう思うと、一気に疲れが押し寄せて来て…
(って!ダメだ!こんなとこで倒れちゃいけない!)
そう思って僕は疲労回復のシルクさん製ポーションを飲む…
(@々2<→♪0&//&_/&_@G@!?)
その瞬間、僕は地獄を見た。
自身の『気絶耐性』のレベルが上がり、シルクさんポーションで気絶しなくなったことであの地獄のような不味さを今までより長く耐えなければならなかったのだ。僕は身悶えしながら、声にならない声で叫び続けた…
1分後。疲労は回復した。精神的に死にそうだけど。でもこれでまだ動ける。とりあえず皆のところに戻ろう…そう思っていた時だった。ふと、町の分身からの『共感覚』が発動し、右腕に痛みが走る。
(町で何かあったのか!?)
恐らく、僕の分身の右腕が斬り飛ばされた。いくら分身とはいえ、その一つ一つがDランク冒険者の下層程度の実力は持っているはず…それの右腕が斬り飛ばされるなんて、確実に町の中で何かが起こっている。
そう思った僕は────
町で一体何が起こったのか…次回、明らかになります。




