第二十九話 無双の時間と襲いくる大群
第二十九話です!視点移動が多いです……
「マール!リール!突撃するよ!」
「「了解!いっくよぉぉぉ!」」
その掛け声とともに、僕たち5人(+分身47体)VS迷宮氾濫の戦いの火蓋は切って落とされた。
side:マール
「「よーし!いっぱい殺るよ!『殺戮高揚』!!」」
いつもの掛け声とともに、私たちは私たち2人の固有スキル『殺戮高揚』を発動し、戦闘態勢に移る。そしてさらに、
「いくよ!リール!」
「了解!マール!」
「「スキル『共振』!!」」
私たちはスキル『共振』を発動する。このスキルは、双子にのみ発現するスキルで、ステータス上昇をその双子内で共有できるスキルだ。
これにより、さらにモンスターを倒した時のステータス上昇が多くなる!
このスキル…『殺戮高揚』を使う時、私はいつも思い出す。モンスターに襲われ、焼かれた私達の村のことを。無惨な姿で見つかった、私達の家族のことを。
そして…ただ逃げることしかできなかった、私達の弱さを。その悲しみを、憎しみを、後悔を原動力に変えて。私たちは今日もモンスターを虐殺するのだ。
side:シュヴァルツ
「我が身に宿りし漆黒の焔よ…闇より生まれし獄炎よ…我が敵を討ち滅ぼせ!暗黒魔法【黒キ獄炎】!」
我がスキル『暗黒魔法』の内、殲滅を得意とする【黒キ獄炎】で敵を焼く。
さらにこの魔法の詠唱時、スキル『詠唱強化』を使っておいた。これで我が魔法の威力は3倍…モンスターは跡形もなく消え去った。
(我は……盟友の助けになれているだろうか?)
苦い過去を思い出しながら、『僕』はまた暗黒魔法を放つのだった。
side:クレイ
怖いぃぃ!嫌だぁぁぁ!強そうなモンスター達…恐らくファングウルフの群れ…がこちらに迫ってくるぅぅ!
「やめてぇぇ!お願いだからこないでぇぇ!『投擲』『投擲』『投擲』ぃぃ!」
僕は全力で持ってきた石を投げまくる。来るな来るな来るなぁぁぁぁあ!
「「「「グルゥゥウォォン!」」」」
あれ…なんか全員吹き飛んでる!よかった襲われてない!でも…
「まだまだ来てるぅぅ!『投擲』『投擲』『投擲』…………」
襲われたくない!怖いから!痛いから!そんな自分の恐怖を紛らわせながら、僕は全力で石を投げ続けた。
side:ラルク
僕の分身達とマール&リールがモンスターの群れに突っ込んでいき、そして…
「グギャァァァ!」「ゴブェ!」「グルゥフ…」
モンスター達の断末魔が戦場に響き渡る。
マール&リールの『殺戮高揚』によりどんどん加速していく強さによりモンスター達は蹂躙され、なすすべなくやられていく。
そしてその2人に出会わなかったモンスター達は、僕の分身達によって至近距離からの『投擲』や『当身』『渾身の一撃』などによりぶっ飛ばされている。
また、さらにそれ以外の倒し損ねたモンスター達は、シュヴァルツさんの暗黒魔法【黒キ獄炎】で焼き払われ、クレイくんの『窮鼠猫を噛む』により強化された『投擲』によって吹き飛ばされていく。
(僕も頑張らないとな…いくぞ)
「中級魔法【フレイムランス】!【アクアボルテックス】!【アーススパイク】!【ホーリーシャイン】!【ダークボール】!」
計50発もの中級魔法をモンスターの群れに向かって放つ!すると、およそ200体のゴブリンやウルフ達が吹き飛んだ。
「ラルク!?職業は『冒険者』では無いのか!?」
「ララララララ、ラルクくん!?なにそれぇぇ!?」
シュヴァルツさんとクレイくんが驚いて聞いてくる。
「まあ、こういうことが出来る固有スキルなので!」
「「反則だろ!」」
うん、最近僕もそう思い始めたところだ。よくよく考えたら強すぎるよこのスキル。
「しかしながら…やはりゴブリンやウルフ系のモンスターはすぐに倒せていいな」
「そうですね…」
全員が殲滅戦に向いているのもあるが、ダンジョンから溢れてくるのが比較的弱いゴブリンやウルフ達を倒しまくるだけなので、分身もほとんどやられていない。結構楽だな……ん?
ゴブリンやウルフ達?何かがおかしくないか?10階層以降のモンスターはどこに行ったんだ?
……まさか、今いる2000体のモンスター達は序の口にすぎないのか…!?
(だとしたら……!)
「クレイくん!シュヴァルツさん!少しここを離れます!」
「あること」に気づいた僕は『縮地』を使って全速力で前線に向かう。そして、そこで見た光景に僕は絶句した。
およそ3000体の15〜30階層クラスのモンスターが、とてつもない量の群れをなしてこちらに向かって来ていたのだ。
追加入りまーーーす!




