第二十七話 騒乱の予感
第二十七話です!朝投稿できなくてすみません…通っている学校にスマホ忘れてました…
〜『鑑定屋シルク』にて〜
「やぁラルクくんっ!私の研究に付き合ってくれるんだね!」
「違います。お金を払うので鑑定して下さい」
「タダでいいよ!代わりにけんきゅ…」
「そろそろ別の鑑定屋探すかな…」
「ごめんって!鑑定するから!見捨てないで!」
だんだんこの人の扱い方がわかってきた気がする。
「じゃあさっさとしちゃおうか。さぁ、さっさと出して出して」
「その言い方やめません?」
何か危ない言い回しの匂いがする…!何でかわからないけど。
とりあえずそう促されたので、僕は水晶に手をかざす。すると、そこには驚きの内容が書かれていた。
ラルク LV.32
職業:冒険者
HP 5760
魔力 33500
力 7200
器用 4320
敏捷 29754
運 62
固有スキル 『武芸百般』
ノーマルスキル
基礎スキル
『剛力』LV5『頑丈』LV5『精密動作』LV5
『神速』LV8『魔力操作』LV10
通常スキル
『当身』LV1『ステータス鑑定耐性』LV1
『粉砕』LV3『縮地』LV3『影分身』LV3
『跳躍』LV3『受け身』LV3『受け流し』LV4
『鋼の心』LV4『鋼の肉体』LV4『魔力回復』LV4
『不屈の精神』LV4『剣術』LV4『体術』LV4
『見切り』LV4『フェイント』LV4『思考加速』LV5
『覚醒』LV5『身体強化』LV5『威圧』LV5
『索敵』LV5『魔法強化』LV5 『投擲』LV5
『体力回復』LV5 『気絶耐性』LV6『渾身の一撃』LV6
派生スキル
『陽炎』『第六感』『応用』『刺突』『反撃』『防御の型』
『一本投げ』『足払い』『袈裟固め』
統合スキル
『初級魔法・全属性』LV-
『中級魔法・全属性』LV-
ちょっと…というか結構信じられないステータスになってないかっ!?
とりあえずLV32なのはなんとなく理由がわかるから置いておくとして…
敏捷おかしくない?29754っておかしくない?一瞬で街ひとつ通り抜けられるレベルだよ?疲れて倒れるけど。
魔力もおかしくない?何?33500って。僕はまだ中級魔法(消費魔力50)しか使えないよ?補正あるから消費魔力35だよ?940回も中級魔法使って何する気なの僕?
そしてしれっとスキル『当身』獲得してるし。僕はそのスキルに意識を向ける。すると、水晶に詳細が表示される。便利だなこれ。
スキル『当身』最大レベル5
獲得条件 当身で100回攻撃する
効果 発動後5秒間、敏捷が150%上昇
さらに被ダメージを50%減少
レベルアップで強化倍率が25%、
軽減ダメージ率が10%加算される
スキル適正ジョブ 盗賊 戦士 拳闘士 etc.
…強くね?いや、強くね?5秒っていう制限はあるけど。
つまりLV5にしたら5秒間無敵ってことだよね?最優先で強化しよう。
そして『ステータス鑑定耐性』ってなんだ…?
スキル『ステータス鑑定耐性』最大レベル5
取得条件 2ヶ月連続でスキル『鑑定』を受け続ける
効果 スキル『簡易鑑定』LV1を無効化する。
レベルアップで無効化レベル上昇。
スキル適正ジョブ 鑑定士 勇者
ある程度の内容はスキル『簡易鑑定』?なんだそれ?
説明文に出てきただけなので目を凝らしても詳細は見れない。仕方ない、シルクさんに詳細を聞こう。
「シルクさん、この『簡易鑑定』って……っ!?」
「デメリットなし…なんて。なんだこの能力は?こんな成長速度のスキル…勇者のスキルみたいだ…しかし、いやまさか?ありえない…アルス、君は本当に…なら、ホープも?君たちは本当にまだ諦めていないって言うのかい?なら私は…君たちに、どう償いを…」
…!?シルクさんが、下を向いて小声で何か言っている。小声すぎて、何を言っているのか分からないが…その顔は、酷く追い詰められたような表情をしていた。
「シルク…さん?」
「アルス…!ホープは!?ホープはどこに行ったんだい!?私は2人に…!」
「シルクさん!落ち着いて!」
「っ…、ラルクくん…?ごめんよ…少し取り乱してしまったね…」
「今日はもう帰りますので、ゆっくりして…」
「待って!」
シルクさんが今までにない必死な表情でそう言ってくる。
「え?」
「行かないで…一緒にいて、くれないかい…?」
シルクさんが、酷く辛そうな顔でそう懇願する。理由は分からないが…
「…はい。わかりました」
僕は何も聞かず、シルクさんが落ち着くまでそばにいたのだった。
「ラルクくん、今日はごめんよ?いやぁ、トラウマっていうのはいけないね!ついつい古い友達と君を重ねてしまってね…もう私は大丈夫さ!お礼にお代はタダにしておくよ!」
「ありがとうございます…本当に大丈夫ですか?」
「ああ!大丈夫じゃないと思うなら一緒に泊まって行って既成事じ…」
「あ、大丈夫そうですねさようなら」
「ハハハ…相変わらず辛辣だねぇ?気をつけて帰るんだよ!」
そんなやりとりをして、いつも通りに戻ったシルクさんと別れて、僕は帰路につくのだった。
そして、翌日。僕は冒険者ギルドにいつも通り向っていたのだが…
(何か、いつもよりも騒がしい…?)
少し…いや、結構ギルドの周りが騒がしかった。どうしたんだろう…?そう思い、中に入って何があったのか聞こうとすると、入った瞬間にウォードさんを見つけた。
奥の部屋からギルドマスターであるウォードさんが出てきている?本当に何かあったようだ。
「ウォードさん!何かあったんですか!?」
そう聞くと、周りの雰囲気とは裏腹に、やけに落ち着いた声でウォードさんは僕に驚くべき事実を告げる。
「ラルク、ダンジョン『アークトゥルス』が急に迷宮氾濫を起こした……恐らくこのギルド内で、今動ける奴で一番強えのはお前だ。ウチで用意した4人と臨時のパーティを組んで抑えてきてくれ。時間を稼ぐだけでいい」
迷宮氾濫。迷宮内の魔力が十数年に一度大幅に膨れ上がり、迷宮内のモンスターが大量に地上へと溢れ出してくるという現象だ。しかし…
「前の迷宮氾濫は3年前に起こったはずでは?」
「……あぁ、そのことなら大丈夫だ。俺に心当たりがある。そっちは俺がなんとかしておくから大丈夫だ。だから気にせず行ってこい」
…ん?心なしかウォードさんの表情が…まあ、そういうのなら大丈夫だろう。
「わかりました…で、僕は誰と組むのでしょうか?」
「…ああ、それは今から紹介する。付いてこい」
そして僕は奥の部屋に案内されると、その中には…
「あはは!いっぱいモンスター殺せる?殺せる!」
「えへへ!いっぱいモンスター殺そう?殺そう!」
「我が右腕が疼く…さあ、闇の宴を始めようか…」
「怖いぃ…なんで僕が…?死にたくないよぉ…」
僕はそっと扉を閉める。
「ウォードさん、部屋間違えてません?
「いいや、こいつらと組んでもらうぞ」
やばい、行く前から不安になってきた……!
補足:迷宮氾濫
通常の場合、およそ階層の数×30体のモンスターが地上に大量発生する。『アークトゥルス』は小さいダンジョンであるため、Aランクの冒険者なら数人で制圧可能なレベルである。