第二十三話 ギルドマスターとの対面
第二十三話です。
だんだんキャラを出していきたい….
〜冒険者ギルドにて〜
僕は「アークトゥルス」攻略のあと、冒険者ギルドに向かい、魔石買取の受付に向かった。
いつも通り冒険者ギルドの中は沢山の冒険者でそれなりに賑わっており、魔石買取の受付も列をなしていた。
僕は前に対応してもらった受付嬢さんの列に並ぶ。
そして少しの間待っていると、僕の順番となった。
「買取お願いします」
倒したボスモンスターたち…ジェネラルゴブリン、シュヴァルツウルフ、ボルケーノリザード、レッドオーガ、マウンテンボスゴリラ、そしてブラックミノタウロスの魔石の入った袋を取り出し、この前の買取の受付嬢さんに渡した。
「はー…ぇぇぇぇぇえ!?」
受付嬢さんは驚いたようにそう叫ぶ。何があったんだ?中に虫でも入っていたのか?袋の中を見た瞬間、一瞬フリーズした後に急に大声で叫び始めて…
「大丈夫ですか…?」
僕が何かしたんだろうか…と心配になる。
「そんな憐れむような目で見ないで!?おかしくなったわけじゃないから!」
「じゃあなんd」
「袋の中身!これ何なの!?絶対に新米冒険者が狩れそうにない大きさの魔石がいっぱい入ってるんだけど!?」
ああ、そういうことか。僕はようやく納得する。地獄の特訓をしたから、他の人よりも少し成長速度が速いんだった。
「あ…そうですか…。アークトゥルスを攻略してきたので…」
「はぃぃぃい!?『アークトゥルス』を冒険者始めてたった1ヶ月で攻略したの!?でもそれにしては荷物とか少ない気が…」
「半日で攻略してきたので」
「…ハンニチ?アアソウ、ハンニチネー!アハハ!アハハハハ!」
そう壊れたように彼女は言うと、椅子ごとぶっ倒れた。大丈夫だろうか…?
side:魔石買取の受付嬢・リーシャ
「買取お願いします」
そう言って魔石を売りにきたのは、前に一度来たラルクくん。今日はどんな凄い魔石を取ってきたのか…と少し期待する。もしかして、シュヴァルツウルフとか?
なーんてね。いくら彼でも、冒険者を始めて1ヶ月で第十層まで行くのは無理だろう。
そんなことを考えていると、彼が取り出した袋から出てきたのは…「アークトゥルス」の全ボスモンスターの魔石と思われるものだった。
「はー…ぇぇぇぇぇえ!」
私は驚きのあまり、思わずそう叫ぶ。
「大丈夫ですか…?」
大丈夫じゃねーよ!なんだこれ!異常でしょ!何で冒険者始めて1ヶ月の奴がアークトゥルスの全ボスモンスターの魔石持ってんの!?幻覚!?
「そんな憐れむような目で見ないで!?おかしくなったわけじゃないから!」
「じゃあなんd」
「袋の中身!これ何なの!?絶対に新米冒険者が狩れそうにない大きさの魔石がいっぱい入ってるんだけど!?」
「あ…そうですか…。アークトゥルスを攻略してきたので…」
「はぃぃぃい!?『アークトゥルス』を冒険者始めてたった1ヶ月で攻略したの!?」
なんで私おかしい人扱いされてるの!?私より君の方がよっぽど壊れてるよ!
ここ2週間くらい買取に来てないなと思ったらこれだよ!なんだよ「攻略してきた」って!ずっとダンジョンの攻略してたの!?
ダンジョン内で無茶なレベリングをし続けたのだろうか?いや、そうだろう。じゃないとこんな早く攻略できない。
あれ?でも、そうだとしたら…
「でもそれにしては荷物とか少ない気が…」
そう。荷物が少ない。まさか彼…本当はこの魔石を誰かから盗んだんじゃ…!と、私は不安になる。そんなことはしていないと私の勘が言っているが、客観的的に見て、そうとしか考えられない…
そんな疑いをかけている私に、目の前の少年は当たり前のように私にこう言い放つ。
「半日で攻略してきたので」
あ、この子嘘ついてない顔してる。あー良かった…じゃなくて!てことは、本当に半日で攻略を!?そんなことあり得るの?ありえない!でも実際起こっている。でも、あり得るわけがない。
そんな思考のパラドックスに飲まれた私の頭は….
「…ハンニチ?アアソウ、ハンニチネー!アハハ!アハハハハ!」
限界を超え、考えることをやめた。
そして私の意識は途絶えた。
side:ラルク
あの受付嬢さんが倒れてすぐ他の人が駆けつけて、彼女を介抱した後のこと。
どうも、ここのギルドマスターが僕のことを呼んでいるらしい。何かやらかしただろうか…?
僕は他の受付嬢さんの案内により、ギルドマスターの部屋へ行くため、ギルドの奥に呼ばれた。ちなみにその間、魔石は買取の鑑定のため預かられるそうだ。
ギルドの奥の方…普段は立ち入ることのないギルド職員さんたちがいる所はとても静かで、普段いるところの賑わいが嘘のようだった。そして廊下を進み、突き当たりの部屋に着く。
「ここですね…マスター!お連れしましたよ!」
「おーう!入ってきてくれ!」
野太い男の人の声が、冒険者ギルドの中でも一際大きな扉の中から聞こえてくる。
「それではお入り下さい」
少し緊張するな…怖い人じゃなかったらいいけど。そんなことを考えながら、僕は扉をあける。
「失礼しま….は?」
中は簡素な部屋で、執務机と一対のソファ…そして、ダンベルと金属製の錘と懸垂ができそうな金属の棒と…って筋トレの道具多くね!?
そしてさらにその中には…上半身裸、下半身もパンツ一丁の状態で重りをつけながら人間とは思えない速度で懸垂している、筋骨隆々の男の人がいた。
それを見て、僕はそっと扉を閉める。
「部屋、間違ってませんか?」
間違っていてくれという願望を込めてそう尋ねる。
「いいえ、ここであっていますよ。お恥ずかしながら」
「またまたご冗談を…面白い方なんですね!」
「ハハハ。私も冗談であって欲しいですよ。こんな変態野郎がここのギルドマスターなんてね」
何か『おもしろいひと』に変な意味が込められていた気もするが…それは置いといて、じゃあやっぱり…
「おーい、何で閉めたんだ?俺に会いにきたんだろ?」
このオークと同じくらいの身長で筋骨隆々の半裸の人が、ここのギルドマスターなのかよ!なんでか分からないけど悲しい…というか虚しいよ!緊張して損したわ!
「ん?どうしたんだ?中に入らないのか?」
そんなことを聞く半裸変態に、受付嬢さんはいつものことと言わんばかりに冷静に答える。
「それよりも早く服を着て下さい。訴えますよ」
「面白い冗談だな」
「冗談か試してみましょうか?」
「ごめんなさい勘弁してください」
テンションと声が低くて怖いよ受付嬢さん。半裸筋肉よりも一応地位下なんですよね?
そんな受付嬢さんに気圧されたように筋肉変態は扉の中に戻っていった。
その1分後くらいに中から、
「入ってきていいぞー!」
と声が聞こえてきたので、僕は扉を開ける。
「失礼しま…」
そこに立つギルドマスターを見て、僕は何も言えなくなる。たしかに服は着ている。きているのだが…
「何でそんなピチピチの服着てるんですか」
「ラルクさん、少々お待ちください。この変態をしょっぴいてきますので」
「違う違う!服がこれしかなかったんだ!決して意図的ではない!」
それはそれでどうかと思う。まぁ、服を着ただけまだよしとしよう。
と、こんなカオスな感じで、僕とこのおかしなギルドマスターとの話し合いは始まったのだった。
ギルドマスターは変態なだけで、実力は確かなものですので、ラルクとの戦闘とかもあり得るかも…?




