第二十話 シルクズブートキャンプ その1
第二十話、特訓回です!ラルクがどんどん壊れていきます(いろんな意味で)
今回の特訓も前のように手帳に詳細を記すにした。ただ、今回は少し…いや、かなり、ハイテンポな手帳になりそうだ。なんせ…特訓の密度が凄かったからな!
1日目
今日はまず『神速』を取得してレベルを上げることになった。取得方法は、一応簡単だ。ただ走るだけ。
ただし、『全力で』、『10キロメートル』、『フォームを意識して』という条件付きだ。
最後の『フォームを意識する』のが曲者で、ただ適当に走るだけではダメなのだ。
といっても、僕は2キロ走れば手に入るのであまり疲れないし問題ない。あまり疲れずにレベルをあげられる…そう、思ってました。
7分ほどで2キロ走り終わった僕に、シルクさんが近づいてきて…謎の液体の入った水筒を渡してくる。
「はいこれ飲んで」
「これは…?」
「いいからいいから…男ならぐびっといっちゃえ!」
少し不安だったが、そう言われたので飲んでみ
…はっ!あの不味さを思い出して気絶していた。
シルクさん曰く、飲まされたのはスタミナ回復と筋肉の疲労改善のポーションらしい。シルクさんが調合したらしく、とても安価(原材料銅貨1枚)で、効果は市販のものの何倍も高いらしい。
ただ、死ぬほどまずい。本当にまずい。2年間魚を放置したところにカラメルを混ぜて虫と一緒に炭化するまで焼いたみたいな味だ。
勿論、それを飲んだ僕は気絶した…が、すぐにシルクさんに起こされ、こう言われた。
「よし、まだ走れるね?じゃあ次は、レベルアップさせていこうか?」
シルクさん曰く、『神速』はレベルアップの方法が少し特殊で、
「『神速』を使い続けて気絶するまで走る…というのをレベルの3倍の回数分繰り返す」
というものらしい。
つまり僕なら、回数は2→3→5→6→8→9….となる。
「まだまだポーションはあるから、いっぱい走れるね!」
そう満面の笑みで告げるシルクさんをみて、僕は察した。シルクさんは、こういう時に鬼になるタイプの人だ…そして、これから始まるのは地獄だ、と。
結局、この日は13回気絶し、『神速』はレベル4になった。
ふつかめ
ぼくは きょう いっぱいはしりました!
とちゅうで なんじゅっかいか きをうしなったけど
がんばりました! はしるのは たのしいと おもいます!
たのしい たのしい たのしいな!あはは あははは! あはははははは!
あはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは………
3日目
昨日は辛過ぎて意識だけじゃなく正気も失っていたようだ。
流石にこの地獄にも少し慣れた。走って、気絶して、ポーション飲まされて、不味さで気絶して、走って…というのを繰り返しているうちに、『神速』のレベルが8になっていた!
…その時だったんだ。僕の体に異変が起きたのは。レベル8になった『神速』を使おうとした瞬間、全身に鋭い痛みが走って…
「…がはっ!」
そしてそんな声と共に僕は吐血し…意識を失った。
「…ここは?」
目を開けると、顔の真前にシルクさんの顔が横からひょっこりとでてきた。
「目が覚めた…!ラルクくん!私だよ!分かるかい?」
「ええ、見た目年齢8歳のシルクさんですね」
「ははは元気そうで何よりだ。明日から特訓二倍ね?」
やっちまった。シルクさんは笑顔を浮かべているが目が笑ってない。ついつい最近の特訓によるストレスで…
「そういえば僕…何があったんですか?急に意識を失って…」
「ああ、それは恐らく、『反動』だよ。君の体が強くなった君自身のスキルに耐えられなかったのさ。ごく稀に固有スキルで見られる現象だね」
え!?そんなことがあったのか。なら、僕は気絶していたということか。通りで寝転ばされているわけだ。
「もう、『神速』の特訓は出来ないんですか?」
「まあそうなるね。残念だけど。でも、もう分身は獲得できると思うし、別にいいよ」
ならまあ良しとしよう。
「じゃあいまかr「今日は絶対安静だからね?」…はい、わかりました」
この日の残りは魔力操作の練習をして過ごした。
そうそう、これはこの日の鑑定で知ったのだが…僕は特訓の副産物として、スキル『不屈の精神』と『体力回復』、そして『気絶耐性』を手に入れていた。
ラルクの補正つきステータス
ラルク LV.8
職業:冒険者(運以外のステータスが15%上昇し、あらゆるノーマルスキルに対する適正を得る)
HP 60
魔力 11867
力 75
器用 45
敏捷 9918
運 41
固有スキル『武芸百般』LV1
ノーマルスキル
「投擲」LV5 「渾身の一撃」LV6 「魔力操作」LV10
「初級魔法・全属性」LV- 「魔力回復」LV3
「神速」LV8(現在の限界値) 「不屈の精神」LV3
「体力回復」LV3 「気絶耐性」LV2
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