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第百八十二話 さっさと

「うっわ……やり過ぎた」


 やってしまった。前にエルフの森で実演した時のように地面ごと魔物や木などの遮蔽物を吹き飛ばしたが……どうやら、シェイラさんも子供の龍も無傷みたいだ。というか、さらにスピードを上げて逃げている。


「待て!!」


 だが、シェイラさんの所に向かいやすくなったのも事実。やってしまったことを考えるより、さっさとシェイラさんを捕まえることを考えよう。


「『縮地』!!」


 このまま『縮地』で一気に近づく!


「「「ブモォォォォォ!!」」」


「「「ガルルルル!!!!」」」


 無論、シェイラさんも即対応して、目の前からAランクのホワイトケンタウロスやキマイラを向かわせて来るが……


「スキル複合発動、『修羅』『アスレチック』『空中歩行』『見切り』『無重力』……『脱兎の如く』!」


 僕は上手く『空中歩行』と『アスレチック』、そして『無重力』を使い、迫り来る魔物達の間や上をすり抜けるようにしてシェイラさんに近づいていく。そして……


(この距離なら……一瞬で!!)


 シェイラさんを、僕の射程内……スキル複合発動を使えば、一緒で近づける範囲に捉えることができた。


(スキル複合発動『電光石火』『修羅』『縮地』『跳躍』『当身』『突撃』『突進』!!)


「行っけぇぇぇぇぇえ!!!!」


 『スキルバースト』を使わない場合、今出せる全速力での突撃。踏み込んだ衝撃で地面は抉れ、景色が線になって流れていく。そしてシェイラさんの反応が、もう目の前に! このまま捕まえて────


「クルゥ!!」


「ぐっ……!! 『空中歩行』『受け流し』『受け身』!!」


 そう甘くは行かないか! 僕がシェイラさんに突っ込もうとしたその寸前、僕に向かって横からリュートが突進してきた。そのままの勢いで大きく吹き飛ばされそうになったものの、スキルを使ってすぐに体勢を立て直す。


 やっぱり、シェイラさんをどうにかして守ろうとはして来るよな……でも!


「……ここまで近づいたらもう逃がしませんよ、シェイラさん」


 ここまで来たら、もう鬼ごっこは終わり。今からは正々堂々、対面での勝負だ。僕がそこにいるはずのシェイラさんに向かって話しかけると、今まで姿を消していたシェイラさんが能力を解いて……


「なんで私の名前を知ってるのか知らないけど〜、とりあえず、私とこの子のためにここで死んでもらうね」


 完全に虚ろな目で、僕を見つめながらそう告げてきた……これ、催眠というか完全に洗脳に近いな。僕を()()()()()()()()()()……多分、シェイラさんからしたら今の僕は彼女たちに害なす障害物にしか見えていないのだろう。だったら……


「さっさと……目を覚まして下さいっ!!」


 こういう時は、()()()のが1番手っ取り早いだろう。『縮地』と『修羅』を使い、シェイラさんに近づいて殴りかかる!


「か弱い女の子を殴るのは良くないよ? バチが当たるかも」


 だが、シェイラさんは子供の龍を抱えたまま素早く最小限の動きで躱して……


「召喚、『ポイズンビークイーン』『ダークネスリッチ』!!」


 猛毒を持つ魔物『ポイズンビークイーン』と、生命力を奪って即死させる能力を持つ『ダークネスリッチ』をそれぞれ5体ずつ召喚して応戦してきた。どちらもSランクの魔物、確実に僕の命を刈り取りに来ているし、その隙を伺ってリュートに乗り空を飛んで逃げ出している……だが!


「もう終わりだ、『分身』!!」


 残っている分身のうちほぼ全員を出して、その魔物達の相手を任せておく。そして……


「『空中歩行』『跳弾』……あとはお前だけだ、リュート!」


 あのまま畳み掛ければいいのに攻撃をやめたってことは多分、そう何度もSランクの魔物は召喚出来ないのだろう。僕はシェイラさんに追いついて、今度こそ勝負を決めにかかる!


「もう、しつこいなぁ……リュート、みんな、焼き払って!」


「クルルゥ!!」


「「グルルォォォォン!!」」


 って、もうさっきのヴァルキリードラゴンも追いついてきた! こんな空中じゃ、地上みたいにゴリ押しで突破するのは難しいな……だったら!


「「グルルォォォォォォ!!!!」」


「『魔法破壊(スペルバースト)』!!」


 まずは飛んできたファイアブレスを吹き飛ばして……


(スキル複合発動……『魔力操作』『索敵』『空中歩行』『突っ張り』『衝撃』)


「『不可視の衝撃(ブラインドインパクト)』!!」


 『不可視の奇襲(ブラインドタッチ)』の応用版……相手を倒すのではなく、『突っ張り』と『衝撃』によって吹き飛ばすことに特化した『不可視の衝撃』で追ってきたヴァルキリードラゴンの体勢を崩す。


 正直、倒してしまった方が良いのかもしれないが……今の僕がやるべきことはそれじゃない!


「逃げられなさそうだね〜、じゃあっ……」


 そうやって、シェイラさんが次の手を取ろうとした瞬間……


「『不可視の奇襲(ブラインドタッチ)』!!」


「嘘っ!? このままじゃリュートが……」


 僕は、シェイラさんの持っている子供の龍を、強引に『不可視の奇襲』で奪い取ろうとする!!


「このっ……離せっ!! リュート、突っ込んで!!」


「クルゥ!」


 しかし、シェイラさんも必死で抵抗しながら僕をさっさと倒そうとリュートに乗ったまま突撃してくる!


 音を置き去りにするほどの加速。しかし、僕はそれを真正面から受け止めて……


(スキル複合発動、『鋼の肉体』『ダブルアップ・カウンター』……)


「そんなこと言ってないでさっさと……目を覚まして下さいっ!!!!」


 リュートを思いっきり、地面に向かって殴りつけた!!

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