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第百六十三話 DIEジェスト

第百六十三話! ラルクがいっぱい死にます!

「……えっ、ちょっと待っ────」


『死ぬ気で死ぬのに慣れろ、って言ったんだ』


 やばい、このままだと死ぬ……!


『あ、ちなみに避けれないようにしといたから』


 そんなわけ……って、動けない!! なんで!?


「えっ……うわぁぁぁぁぁぁ!!!!」


 その直後、僕は勇者アルスの炎によって全身を焼かれた……



 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



『おう、起きたか』


「何で目が覚めてないんだ!?」


 この世界で死んだら目が覚めるはずなのに……


『だから死なないように回復しながら焼いたんだよ。お前はショックで即気絶したけどな』


「悪魔だっ!!」


 なるほど、死ぬことも許されないのか……確かに現実では危険すぎてとても出来ないトレーニングだが……


『まあ、痛みは現実で死ぬ時と遜色ないからな。安心して死んでいいぞ』


「それを笑って言うあたり、相当狂ってますね」


 安心して死んでいい、って……全身を炎で焼かれるのは、本当に痛いんだからな。しかも、何故か『気絶耐性』が発動してないし……


『俺が発動を()()()()んだ。お前と俺は一心同体だからな』


 プライバシーもクソもないな。


『で、一回死んでみてどうだった? まあ、実際には死んでないが……普通に死ぬよりは痛かったはずだぞ?』


「死ぬほど痛かったです」


『そうか、なら良かった』


 何も良くないよ。スキルバーストほどではないけど、今まで感じた痛みのうち5本の指には入ってたよ。


「……で、これが何に繋がるんですか?」


『知らんな』


「はぁ!?」


 何で!? 痛みに慣れたら『痛覚耐性』みたいなスキルが得られるとか、だんだん痛みを感じなくなってくるとかそんなのはないのか……?


『じゃあ逆に聞くけど、こんなイかれたことやった奴がいると思うのか?』


「自覚はあるんですね、良かった」


 つまり、前例は無いけど体感的に痛みに慣れたらもしかしたら精神的に耐えられるようになるかもしれない、ってことか……


『そういうことだ! やらないよりはマシだろ?』


「それで何も得られなかったらそれこそ心壊れますよ」


『その時は俺が励ましてやるから安心しろ』


「フィリアに励まされたいです」


『惚気るなよ、俺はそんなにホープと会う機会ねえんだから』


 そりゃあ、自分を殺しにかかってくる人に励まされるよりも好きな幼馴染に励まされる方が絶対にいいだろう。


『…………お前も変わったなぁ』


「色々ありましたからね、はい」


『そうか。じゃあ、そういうことで……じゃ、次行くぞ?』


「どういうことですか……って待って待って待って!?」


 今度は僕の周りに大量の光の剣が出てきて……それが、僕を一斉に貫いた。


「うわぁぁぁぁぁぁあ!!!!」


 それから、僕の地獄は始まったのだ……



 1日目


 勇者アルスから出された課題は、『気絶耐性』なしで死ぬほどの痛みを受けても気絶しないようになること。そのために、僕は死に続けた。


 斬死、焼死、落下死、圧死が主な死に方だっただろうか……いや、一応ほぼ全部痛みによる気絶だがら、死んではいないか。とにかく何回死んだか覚えていない。あれはまさに地獄……うん、地獄だった。


 何度死んでも、何度泣いても、何度逃げようとしても終わらない地獄。ここの時の流れは遅いから、相当長い時間死に続けることができた……狂ってるな。


 この間に精神が崩壊でもしていれば楽だったのかもしれないが、それは勇者アルスが許さなかった。というのも、彼は僕の心をある程度読めるため狂う寸前で休憩を挟んできたのだ。大体3回に1回くらいだろうか?


 まあつまり、逃げれない、狂えない、死ねないという地獄の『死に慣れる』トレーニングが幕を開けたのだった。



 2日目


 今日は寝まいと思ったが、まだ続いている特訓による疲労と勇者アルスのせいで強制的に意識を落とされた。


『逃がさないぞ?』


 そういう彼の目はにこやかに笑っていた。今度から心の中で悪魔と呼ぼうと思ったが、そうしたら心なしか魔法の威力が上がったのでやめた。


 だが、2日目にして少しずつ成果は現れてきた。信じられないが、痛みに慣れてきたのだ。昨日は魔法を受けてから2秒で気絶していたが、今日は最大5秒くらい耐えられた。


 ただ、勇者アルス曰く、彼がセルフでやってみたところ1分耐えられたから、まずはそれまで頑張れと言われた……まだまだ道は長い。



 3日目


 ……信じられない。信じられないが、現実に影響が出始めた。いや、昨日もフィリアに


『ラルク、死んだ魚の目をしてるけど大丈夫?』


 と聞かれて、相当精神にきていたことは確かだったのだが……そういうことではない。現実でも少しずつ、痛み……というか、苦痛に対する耐性ができていたのだ。


 それは、昼の特訓でのこと。


 今の特訓は僕とケントとセイルのaグループ、ライアとフィリアのbグループに分かれ、片方はエルフの森で護衛と特訓(おにごっこ)を、もう片方はアルトさんに連れられて『フォーマルハウト』に行ってレベル上げ……というのを隔日交代でしている。


 そして、今日は僕たちaグループがエルフの森での特訓(おにごっこ)だった。その特訓中、シルクさん特製ポーションを飲んだのだが……なんと、『気絶耐性』無しで意識を保てるようになっていた。


 もしかしてこの特訓、意味があるのか……!?

次回で特訓回が終わり、本格的に最終章し始める予定です……日常(?)回をまだ書いていたい……終わらせたくねぇ……

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