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第百五十六話 地道で派手な努力は身を結ぶ

第百五十六話! メイドインヘブンします!

 10日目


 今日で特訓を始めてから1週間と少したった……が、特に内容に変わりはない。僕とフィリアはフィーズさんにボコボコにされているし、ライアは毎日山のように魔具を作っているし、ケントとセイルは死んだ目をしている。


 だが、少しずつ特訓の成果が出てきているのも事実だ。まず僕たちは、今までは一方的に蹂躙されるだけだったのが少しずつ攻撃が通るようになってきた。ただし100倍のおまけ付きで。


 ライアの作る魔具の量も明らかに多くなってきている。大体最初の1.2倍ってところだろうか? それだけとは言っても、元々家一つ分くらいの量を作っていたから結構な進歩だろう。


 ケントとセイルも、少しずつ目に光が灯ってきているような気がする。昨日だって、


『『今日は14回だけで済んだ!!』』


 と喜んでいた。14回だけと言っているあたり闇を感じるが、2人で飛び跳ねて喜んでいたことから相当マシになったのだろう、これでも。ちなみにその後、シェイラさんが


『じゃあ明日からちょっと火力あげるね〜』


 と言った瞬間、2人の目からまた光が消え去っていったのはまた別の話だ。


 とにかく、全員肉体的にも精神的にも死にそうになりながらも、少しずつ強くなっていっているのは明らかだ。僕も負けないようにしないとな……



 20日目


 ついに……ついに今日、フィーズさんに綺麗な一撃を叩き込めた。フィリアが『剣聖技・月輪』で隙を作った瞬間に(ちなみにフィリアが持っているのは刃引きしてあるので安全なのだ)、『一撃必殺』を鳩尾にぶち込むことが出来た。


 ダウンは取れなかったが、割とよろめいていたから畳みかけようとしたら……


『甘いわぁぁぁぁぁぁあ!!!!』


 何故か僕にだけ大量のラッシュを叩き込まれた。多分、『鋼の肉体』と『受け流し』を使ってなかったら少なくとも全身骨折は免れなかっただろう。


 まあその後……


『すまん、流石にやりすぎた』


 ということでその日は休みになった。しかもその後、フィリアに看病してもらえたから万々歳……だったはずなのだが……


『青春の波動を感じるっ!!!!』


 と、フィーズさんが謎の第六感を発揮したことによりその夢は潰えた。その後のフィリアのご機嫌を取るのに僕が四苦八苦したのは、言うまでもない話である……



 35日目


 今日は1週間に1度の休みの日だった……といっても、ケントとセイルはどこかに行ってしまったし、ライアはフィーズさんと遊びに行ってしまったので、特にすることがなかった僕は部屋でゆっくりすることに決めた……の、だが。


『ねぇ、ラルク! 遊ぼうよ!』


 と、急にフィリアが僕の部屋に押しかけてきた……窓から。うん、なんで?


 とまあ、何故窓から入ってきたのかは未だに謎のままだが、僕はフィリアと久しぶりに外で遊んだのだった……ちなみに、フィリアと話してる間にずっと勇者アルスが


『お前ら……夫婦漫才でもしてんのか?』


 とか何とか言って冷やかしてきたから、今度会った時は文句を言ってやろうと思う。




 60日目


 最近、フィーズさんに攻撃を与える回数がどんどん増えてきて、一日一回くらいはダウンを取れるようにはなってきた。といっても、その10倍以上やられてるからまだまだなんだけど。


 それに伴って、フィーズさんとの特訓に加えて僕たちの基礎能力を上げるトレーニングも始まった。つまり、いろんなノーマルスキルの取得である。


 基本的にノーマルスキルは固有スキルよりも弱いため『魔力操作』や『身体強化』などの戦闘に必須なスキル以外はあまり重視されないが、フィーズさんからすればそんなの言語道断らしい。


 レベルが高くなればなるほどスキルで増加されるステータスの数値も上がるのに、使わない手は無いだろうとのことだ。かく言うフィーズさんも、自力で『魔力操作』や『神速』、『頑丈』などのステータスに補正のかかるスキルはレベル12まで上げているらしい……


『ということで……まずは『神速』をレベル10まで上げてくれ。ラルクは14な』


 その後、いっぱい走った。そう、いっぱい…………たのしかった。





 〜最後のページ〜


 ……どうせ、このページは残らないと思うが……誰かに読まれることがあるならこれを心の中だけに留めてくれることを祈る。


 ラルクとフィリアは、本当はもっと普通の人生を送るはずだった。きっと同じ村で育ち、同じ時を過ごし、つつましく幸せな人生を送っただろう。


 まあつまり、何だ……俺たちは、その2人の人生を奪ってしまった、ってことだ。確かに、世界を守るためなんて大義名分はあるが、そんなのはどうでもいい。だって、そんなのあいつらには関係ないからな。


 …………だから、もしもあいつが最悪の選択を取ってしまった時……その時は、俺はその対価を同じもので払おうと思う。


 女神(ルキア)様にも頼んどくか……。

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