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第百五十三話 閑話・女神様のひとりごと

第百五十三話、何やらルキアさんが暇を持て余しているそうですよ……?

『本当に……ここまで、色々ありましたね……』


 今日はやけに色々なことがありましたが……それでも女神とは暇なもので、ほぼ何でも出来てしまう故に何もやることがないんですよ。


 アルスやホープがここにいた時は楽しかったですが、やっぱり1人になると暇なんですよね……もう慣れすぎて寂しくはないですが。だから、こんな時は……


『え〜き〜しょ〜う〜モ〜ニ〜タ〜……1人で何やってるんでしょうか私』


 とあるツテから入手した、これで時間を潰すに限りますね。別の世界の電波? とやらを受信して娯楽を享受できる優れものです。


 最初の方はドラ○もんやサザ○さんなどを好んで見ていましたが、最近はヒロ○カなど様々なジャンルを嗜むようになりました。ウ○娘2期の最終回をリアルタイムで見逃してしまった時は少々取り乱しましたが……


『今日はどんなアニメを見ましょうか』


 さてさて、今日放送されるアニメは……


『何ですか……これは……!?』


 私の好きなアニメが……全て終わっている!? 今季は全てのアニメが1クールで終わってしまったようです……これから私はどうすれば……


『仕方ありません……今日はアレを見ますか』


 最近、本当に色々ありましたからね。そろそろ頭を整理してもいい頃でしょう。


『◆◆◆……世界魔法:万物の記憶(アカシックレコード)


 そう唱えると、目の前に現れたのは一冊の本。この本……もとい、『万物の記憶(アカシックレコード)』は私のみたい物を見たい方法で何でも見せてくれます。


 便利なんですよね、この魔法。アニメを見逃した時とかは特に。マキアの干渉しているものは閲覧できないという制約はあるのですが……基本的には問題ないのでよしとしましょう。


『……さて、見返しましょうか。勇者の記憶を』


 人の人生を見るのも、結構楽しいものですからね。私が能力使って冒険なんてしようものなら世界が終わりますから、やはり人の記憶を見るに限ります。


『数ある歴史の人物の中でも、特にアルスは内容の濃い人生を送っていますからね……しかも、現在進行形で』


 エフィーが森を追放されたことに始まり、アルスの両親であるアランとルナと出会って……その後、アルスを産んだ2人は町の盗賊の逆恨みによって殺されたんですよね……割とありふれたことではありますが、子供にとってはさぞ辛かったでしょう。


 そして、両親のかつての友だったエフィーを頼ったアルスがエフィーの店『鑑定屋シルク』を訪れあの村で生活を送り、他所者としていじめられていたことをきっかけにエフィーと一緒に王都に戻ることとなって……そして、『勇者』の力を得ることができました。


 正直、私もこんな偶然が起こるとは思っていませんでしたよ。固有スキルは素質がある人にランダムで配られますからね……まあ、たまに固有スキルを弄ろうとする愚か者がいますが、それは【反則(チート)】として存在自体を消しているので問題ありません。


『その後、エフィーがゴネてなんとかアルスと『剣聖』ホープの教育係となり、数年の鍛錬の末『賢者』エフィロスとして彼らと共に勇者パーティーとしての活躍を始めた……そうそう、そんな感じでしたね』


『しかし……ホープとアルスが付き合っているのに最後まで気づかないなんて、エフィーはアホの子だったんでしょうか? 少しは対人関係も学ばせておくべきでしたね……』


 エフィー……彼女はまだあの頃、生まれてから特定の人物としか深く関わったことがなかったので人の感情に疎い所があったんですよね、特に恋とかそういう点では。


『まあ、それは置いておいて……ここからが本番ですね。エフィーが『賦与』を使ってアルスに力を継承してから……歴代の勇者の中でも最も強くなりましたからね、彼』


 そして、エフィーが『世界樹の巫女』の力の弱体化を危惧して、アルスに『賦与』を使って『世界樹の巫女』の力を継承させるという前代未聞のことを実行しました……あの時は驚きましたよ、(わたし)にかなり近いレベルの能力が生まれたんですから。


『そして、魔王討伐に向かって……この世界の真実を知ってしまったんですよね』


 まさか、マキアが魔王にこの世界のことを伝えているとは思ってもみませんでしたよ。話しても不利になるだけだというのに……何か思惑があるのでしょうか?


『そして、アルスが覚醒して魔王ディルボアを倒したところで……シェイドが出てきた、と』


 エルフの裏切り者、シェイド。彼だけはある時期から、万物の記憶(アカシックレコード)で確認できなくなったんですよね……まるで、魂そのものが改竄されたみたいに。しかし……何故か、彼の最期だけは見ることが出来るんですよ……魔法の欠陥でしょうか?


『とにかく……シェイドが魔法陣を用いて放った帝級魔法によってホープが殺され、アルスはホープに助けられなんとか一命を取り留めました……が、その悲しみによって彼の人格が分裂した、と』


 ごくごく稀に起こる現象です。激しい憎悪や悲しみによって、こころに……そして、魂にヒビが入って分裂する。それがよりによって、彼に起こってしまったのは……まさに最悪と言えるでしょう。


『その結果、彼の中に生まれたもう一つの人格……憎悪と復讐心に満ちた人格が、魔王の力に適合してしまった』


 そんな経緯で、今、私が『背信の勇者』と呼んでいる存在。アルスから生まれた、もう1人のアルス。『勇者』と『魔王』の力を持った、ディルボアよりも強いまさに地上最強と言える存在が、誕生してしまったわけです。


『その人格によって体を追い出された元の人格を含んだ魂……今はラルクに宿っている、主に『世界樹の巫女』の力を持った魂が私の元へ来て……そして、転生した。とある田舎町の、とある少年に』


 通常、魂というものは輪廻します。巡り巡って、何度も何度も生を経験し……そして、この世界を回す礎となる。しかし、半分に割れた不完全な魂は、その輪廻に耐えられない。


 だからこそ、彼はここに来た際に自分がこの世界から消えてしまうことも厭わず転生することを選んだのでしょう。


 『剣聖』ホープも、アルスがいずれ消えてしまうことは知りませんが、それでももう一度、彼とともに歩むことを選んだのは……人の心というのは、面白いものですね。


『そして、偶然……本当にたまたま、『剣聖』ホープの転生先であるフィリアの幼馴染かつ、前世では親代わりだったエフィーのいる村に生まれ、今に至る……と』


 これは私も全くもって予想していませんでした。仮にラルクとフィリアが別のところで生まれていようが、アルスの思いを引き継いでいるわけですからきっとラルクは似たような人生を歩んでいつかフィリアとは出会ったとは思いますが……転生の結果としては最高、といえるでしょう。


『さて、これからの戦い……さらに激しいものになりますよ』


 ラルクも、フィリアも、確かにこの世界において既にかなり上位の実力者と言えるでしょう。フィリアに関してはまだまだレベルを上げられますから伸びしろは十分ですし、ラルクも特訓次第でさらに強くなれるでしょう。


 しかし、『背信の勇者』アルスは……まさしく、世界最強の存在です。恐らく、あのフィーズという冒険者ですら逃げ延びるのがやっとというレベルでしょう。


 『背信の勇者』アルスが完全に魔王の力をその身に馴染ませ、世界を壊し始めるまで残り2年弱。もう、ほとんど時間は残されていません。しかし……彼らには、勝ってもらわないと困るのです。


『波乱と、秩序……この世界の行く末を決めるための、壮大なゲーム。あなた達は、その駒として……また、切り札として、終止符を打つ役目があるのですから』


 マキア、あなたに負けるつもりはありません。魔王の力を完全に消滅させて、最後に勝つのは私たちです。


『……さて。ところで……あなたは、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?』


 私は所詮、傍観者……『あなた』と、同じ存在なんですから、私を見ていても面白いことなどないでしょうし、そろそろ彼らのほうを覗いてみてはいかがです?


 ……さて、これからどんな物語が始まるのか。結果は、神のみぞ知る……と、いったところでしょう。




突然ですが!! なんと、総合評価ポイントが3000ポイントを突破致しました!!


朝起きて覗いてみたらポイントが増えてて驚きのあまり『えぇっ!?』と叫んで父親から変な目で見られました……ですが、そのくらい嬉しかったです!!


この物語を読んで頂いている皆様、そして評価やブックマーク、感想をして頂けた皆様、本当にありがとうございます!


このままの勢いで最終章も突っ走っていきたいと思っておりますので、ぜひ最後までお付き合い下さい!!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 過去編になってからここまでは読むのが苦痛だった。 今後に期待です。元に戻っていますように
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