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第一五話 閑話:魔石を売りに行こう side 受付嬢

第十五話。データが飛んで更新が遅れました。申し訳ございませんでした。

15話


side :魔石買取の受付嬢


 先1週間ほど前友人であり同じギルドの同僚の受付嬢、ロレーヌからこんなことを言われた。


「私、今日ちょっと変な子の冒険者登録したんだけど…もしよかったら、魔石買取のカウンターに来たら教えてくれない?」


 と。まあ一応承諾しておいたが、それからその「変な冒険者」だと思われる人は来ていない。ロレーヌに騙されたのだろうか?


 だとしたら文句を言ってやろうと思い、私が席を立とうとした瞬間、その子は来た。


「魔石を売りに来ました」


 その子は一見、普通の冒険者だった。まさか、この子が…?ないない。こんな普通そうな子に限って、そんなこと…



 「分かりました。それでは、ギルドカードをご提示下さい…ああ、Fランク冒険者のラルクさんですね?確認いたしました。魔石をお出しください」


 その子のギルドカードの登録日は、1週間前となっている。ちょうどロレーヌから変な冒険者の話を聞いた日だ。

 まさか、本当にこの子が?


 そんなことを考えていると、彼が魔石を取り出し始める。


 そして出てきたのは、およそ140個ものゴブリンの魔石と、20個ほどのホブゴブリンの魔石、そして手のひら大のさらに大きな魔石1つだった。


 それを見た私の頭は、驚きによって一瞬フリーズしたあとに、やっと目の前の光景を理解した。

 ……ん!?何かおかしくない?まだ登録してからたったの1週間しか経っていない冒険者が、ここまでの数の魔石を集めるなんて。


 そもそもモンスターの中では弱いと言われているゴブリンだが、一応レベル1の武装していない大人くらいの戦闘力はあるのだ。


 それをこの子は、140体も、1週間で倒したというのか。


 それよりも信じられないのは、その横にあるホブゴブリンの魔石。このモンスターの推奨レベルは5…レベル1の時に登録してたった1週間の、しかも子供の冒険者が倒せる相手ではない。


 そんなモンスターを、20体も。この子が倒したなんて、信じられるはずがない。




 そして、何よりも信じられないのは、一番端に置かれた大きな魔石…恐らく推奨レベル15くらいのモンスターのものだろうか?


 この子が持ってきた魔石から見るに、潜っていたのはダンジョン「アークトゥルス」の第1〜5層だろう。


 そこでポップする可能性がある強いモンスターは…


(…まさか、あの【初心者殺し】…ホブゴブリンファイター…!?)


 ホブゴブリンファイター。高い戦闘能力とそれなりの知能を併せ持つ、レアボスモンスター。


 このモンスターは、他のゴブリン種よりも段違いに強い。何故なら、このモンスターはその戦闘能力と併せ、知能も少し高いため、ごり押しでは勝てないのだ。

 

 そしてさらに、そんなのが第一層で出てくるという危険性…出会った駆け出しの冒険者たちが冷静さを失い、『確実に殺される』といわれる、あのモンスターを…


(この子が、たった1人で倒したっていうの?)


 たしかに、目の前の少年が誰かから魔石を奪ったり、盗んだりした可能性もある。

 

 しかし私には、この子がそんなことをするとは思えなかった。それに、あの「ホブゴブリンファイター」を倒せるほどの冒険者なら、魔石を盗む輩を取り押さえるなんて簡単なことだ。


 つまり、この魔石たちは、正真正銘、彼…ラルクくんが倒したモンスター達の魔石、ということだろう。


 「どうかしましたか?」


 「…!?し、少々お待ちください…」

 

 おっと、いけないいけない。驚いている場合ではない。仕事をしなくては。私はとりあえず代金を計算する。


 「…すみませんでした。少し多いなと驚いてしまい…えっと、買取ですね。ゴブリンの魔石が136個×鉄貨5枚、ホブゴブリンの魔石が20個×銅貨8枚、ホブゴブリンファイターの魔石が銀貨5枚で、金貨2枚と銀貨7枚、そして銅貨8枚となります」


 そう言って、彼に代金を渡した。


(変な冒険者、ねぇ…ロレーヌ、あんた、物凄い子を見つけたかもしれないわよ)


そんなことを考えながら、私は彼を見送るのだった。



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