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第百三十九話 とあるエルフの話 side:シェイド

第百三十九話! 思ったより話が長引いております!

 side:シェイド


 愚妹(エフィー)の気配を『魔力支配』を利用した『索敵』を発動して追って行った先にいた『剣聖』の子供ともう1人の謎の子供によって、脳天を殴られた直後。


 もう既に僕の意識は消えかけている……ここで、僕の望みは潰えるのか……?  そう思った瞬間、僕の頭の中には……走馬灯のようなものが浮かんで来た────



 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



 今から138年前。代々世界樹を守ってきたエルフの王族に、1人の子供が生まれた。それが僕……シェイドである。


 先代の『世界樹の巫女』である母と、普通のエルフである父から生まれた僕は、姉に続いて生まれた初めての男児だった。


 エルフの王族にのみ授けられるスキル、『世界樹の巫女』。名前の通り、そのスキルは……女にしか発現しない。


 つまり、姉に『世界樹の巫女』が発現せず焦っており、長命ゆえに中々子供を授からないエルフ族にとって……僕は()()()()()だった。


 誰からも期待されない。誰からも相手にされない……村の住人たちにも、実の親にも。


 ……いや、誰もってわけじゃない。1人だけ……1人だけ、僕に普通に接してくれる人がいた。それは……


「あら、シェイド。また拗ねているんですか?」


「姉上……なぜ僕はこれほど疎まれねばならないのでしょうか? 僕が……何をしたっていうんですか」


 それが、僕の姉……シルファだった。彼女も僕と同じで、女に生まれたのに『世界樹の巫女』の力を受け継ぐことができず……僕と同じ境遇にいた。


「いえいえ、シェイドは何も悪くありませんよ。私は知ってますから、シェイドはちゃんといい子だってこと」


「姉上、そこまで子供扱いしなくても……」


「仕方ないでしょう? 私の大切な弟なんですから。それに……あなたは私と違って、生まれた時から理不尽な扱いを受けていましたから……その分、私があなたの姉として……ね?」


「……もう、勝手にして下さい」


 でも、僕には……姉上がいるから。




 僕が生まれてから80年と少し後。僕らに妹ができた。名前はエフィスト、女の子だった。


 妹が出来てから、僕は姉上の気持ちがよく分かった。何故かわからないが……妹というものは、どうしてもかわいくて大事で仕方なかった。


 どうか、この子は僕と同じ道を歩まぬように……どうか『世界樹の巫女』を告げるように、いつしかそう願うようになっていた。




 エフィストが10歳になり、授かったスキルは『世界樹の巫女』だった。僕と姉上は、それを知った時、心の底から喜んだ。これで、妹はきっとみんなから愛されることができる。


 寿命で死んでしまった父上は、エフィストのことを何故か嫌っていたが……まあ、それ以外からは身内にも側近にも大事にされて育てられたから、きっとこの子は幸せになる。


 そう思っていたのだが……村の住人のうちの一部は、エフィストが『世界樹の巫女』を継ぐことに反対していた。そしてその中の過激派は、何人かエフィストの暗殺を企てる者まで……だから僕たちは、エフィストを守ることを決意した。


 母に相談し、エフィストが外に行かせないようにした。出来る限り姉上が近くにいるようにした。しかし、エフィーも遊びたい盛り……きっと外に行くなと言われたら、姉上が嫌われてしまうと思ったのだ。


 だから、僕は誰にもバレないように嫌われ役を引き受けた。結果、姉上には叱られ、父と母には呆れられ……散々なことになったが、僕はエフィストと姉上が幸せならそれでよかった。


 きっと、2人は知らないだろう。


「ええ、大好きですよ、エフィー……ほら、おいで」


「姉上……私も、大好きです!!」


 いつもは悪態ばかりついて、2人とも僕に嫌われていると思っているかもしれないが……そうやって幸せそうにしている2人を見ることが、1番幸せなんだよ。




 それからさらに5年後。母上は『世界樹の巫女』としての役割を全うした後に、女神様の力により新たな生を歩むことを選び輪廻転生した。つまり、名実ともにエフィストが『世界樹の巫女』となり、これからエルフたちを率いて行くことになった。


 最近、過激派の動きが激しくなってきており、僕は『魔力支配』と『索敵』、そして『利き耳』を活用してその諜報活動を行っていると……


「……何だと?」


 ある日、とんでもない言葉が聞こえてきた。それは……エフィストは、父の実の子供ではなかったらしいのだ。


 まあ、簡単に言えば母の不倫である。他の男と不倫関係になった末、生まれた子供がエフィストだったらしいのだ。にわかに信じられないが……だとしたら、父がエフィストを嫌っていた理由も分かる。


 そしてもうひとつ……どうやら誰かはわからないが、エフィストの側近に数人ほど刺客が紛れ込んでいるらしい。つまり……奴らは今、いつでもエフィストを殺せるということだ。


 それを聞いた時に、僕はまず後悔した。もし、僕が嫌われ役を買っていなければ……これを姉上に伝えればどうにかなっただろう。しかし、今の僕はお世辞にも信頼があるとは言えない。ただの虚言と思われるだろう。


 だったら、僕がすべきことは何だ? 過激派を全員潰す……だめだ、根本的な解決にならない。何度も何度も湧いてきて、きっといつかエフィストは殺される。


 エフィストを逃がす? 僕が姉上にそう助言しても……きっと受け付けてはくれない。


 だから、僕は……

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