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第百三十六話 久しぶりの

第百三十六話! 久しぶりにあの人が出てきます。

 もしアルスの魂が消えてしまっても、僕はフィリアをこの気持ちのまま好きでいられるのか……? そんな不安を抱いていると……


「あれ? 私は……」


 どうやら、フィリアが目覚めたようだ。


『どうやらフィリアも記憶を見終えたようですね。お疲れ様でした』


「おはよう、フィリア」


「おはよう……なんか変な感じ……」


『フィリア、何かあったのですか?』


「実は、夢の中で……」


 その後、フィリアにも僕と同じようなことが起こったことを聞き、ルキアさんと勇者アルスがフィリアにも僕達の過去のことを……もちろん、勇者アルスが消えるなどの一部のことは伝えていないが……教えていた。


「ってことは、私は……剣聖の、生まれ変わり?」


『そう、フィリアは私の生まれ変わりみたいなものだよ。だから 『剣聖の加護』 を持ってるんだからね』


『そう、ホープの言う通り……ん?』


 あれ? 今、誰かしれっと話に入ってきていたけど……


『ホープ、おはようございます。あなたが1番遅かったですよ?』


『えっ!? 早起きしたつもりだったのに……』


『余裕で遅刻ですよ』


『ごめんなさい……』


 うん、確かにこの声はホープさんだ……姿はないが。


「「あの夢の声だ!!」」


 ……あれ? フィリアも心当たりがあるのか?


「ラルクも何か言われたの?」


「うん、確か……今度こそはあの人をs」


『フィリアやめてぇぇぇ!! ストップ! ストップ!』


『フィリア、続けてくれ』


「え、えぇ……?」


 少し困ったような顔をするフィリア。勇者アルスからは続きを言えと言われ、ホープさんからは言うなと言われ……


『まぁ落ち着いてください。フィリアも困ってますし、ホープがなんと言ったかは後から教えますから』


『やめてっ!?』


 あ、ホープさんが姿を現した。記憶の中で見た時よりもその銀髪を伸ばしている……って、そうか。確か髪型を変えたとか言ってたな……


『ラルクくん、覚えてくれてたんだ? 嬉しいなぁ』


「さて、なんの話でしょうか」


『酷いっ!?』


 もうこの人はこういう扱い方をした方がいい気がする。いちいち対応してると永遠にツッコミ続けないといけないからな……


『いいぞもっとやれ』


『アルスも酷い!!』


『あの、そろそろ本題に……』


 ルキアさんが何かを話したそうにしている……がしかし、勇者アルスとホープさんの漫才(やりとり)は終わらない。


『というかそもそもお前、起きるの遅すぎるんだよ! もうほとんど話すことなんてないぞ……』


『私はちゃんとアルスが寝てる間に2人のこと見てたもんね! ただ今日は普通に寝坊しちゃっただけで』


『2人とも、そろそろ話してもいいでしょうか?』


 2人とも、そろそろ静かにした方が……


『なんだ、ただのアホか』


『言った! 今アホって言った!!』


『……話をしてもいいでしょうか?』


 早く静かにしてくれ! ルキアさんから圧が放たれてるから! さっさと黙れっていう圧が出てるから!!


『いいだろ別に、本当のことだし。重要な日に寝坊するなんてさ』


『言ったね? アルスも前に王様と謁見する時に……』


『お前、それは違うだろ!?』


『アルスが悪いんだよ〜!』


『……ふう。静かに()()()()()か』


『『えっ、ちょっと────』』


『はい、静かになりましたね』


 また強制的に黙らせたよこの女神(ひと)


『────! ────、────!?』

『───……────!! ────……?』


「ルキア様、怖いねぇ……」


『エフィー、何か言いましたか?』


「何でもございません」


 この女神(ひと)、本当は悪魔なんじゃ……フィリアもドン引きしている。


「ラルク、フィリア? どうかしました?」


「「ひいっ!?」」


 僕たちは全力で首を横に振る。あの2人みたいになるのはごめんだ……


『それでは、話をしましょうか……といっても、もうそんなに話すこともありませんが。とにかく、もう一度今の状況をおさらいしましょう』


 今の状況……そっか。色々ありすぎて少し薄れていたが、シェイドが森に攻め込んできてるんだ。


『そう、今、世界樹は過去最大のピンチを迎えています。恐らくですが、シェイドの大規模な奇襲が成功した理由は……森にある転移魔法陣の位置を知っていたからと考えられます』


 そうか。シェイドはエルフの王族……別の場所で魔物たちを集め、転移魔法陣で移動してきていた……としたらずっとどこから侵攻されていたのか分からなかったのも辻褄が合う。


『そして、今から私があなたたち3人に頼みたいのは、世界樹とエルフ達の護衛です。世界樹はもちろん……この里に住むエルフ達も、私が1番最初に生み出した種族ですから』


 思い入れがあるのか……


「ルキア様に言われずとも……私は私の役目を全うするつもりです。兄様にも聞かねばならないことがありますし」


 決意を固めた顔でそう言うシルクさん。家族と戦わなければいけないんだ、本当は辛いはずなのに……


「私だって、やっとエルフの人たちと仲良くなれたんです。救える命は、全部救いますよ」


 フィリアは僕より早くこの地に来ているから、エルフ達との交流も多かったのだろう。今の言葉は、本気だ。


 そしてもちろん……


「僕も、世界を救うって約束しましたから。必ず世界樹を守り抜きます」


 このままシェイド(あいつ)の好きにはさせない。それにシルクさんと同じで、僕だって色々とシェイドに聞かなきゃいけないことがあるしな。


『そうですか、それは頼もしいですね……それでは、そろそろ戻しましょうか』


 そうルキアさんが告げた瞬間、僕達の体が足元から少しずつ薄くなっていく。現実世界に戻っていってるんだ。


『アルス、ホープ。何か言っておくことはありますか?』


『────っと喋れた! ラルク、フィリア、あの野郎(クソエルフ)によろしく言っといてくれ。出来ればボコボコにして』


『エフィーさんも、無理だけはしないで下さいね。まだまだ話したいこともたくさんあるんですから』


 やっと話せるようになった2人から激励を受け、僕は言葉を返そうとするが……既にもう、顔の下半分は消えてしまっていた。


 そして最後、僕達に2人が言った言葉は……


『『頑張れ』』


 だった。




 そして、少しずつ意識も薄れていき────

ルキアさんは多分悪魔……おっと誰か来たようだ。

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