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第百三十五話 消える心

第百三十五話! ストックがどんどん溶けていく……

『まだ2人は起きませんね。フィリアはラルクと見ている記憶が違うのでまだ分かりますが、エフィーが起きるのが遅いような……全く、寝坊助ですね』


 僕が勇者の生まれ変わりでその記憶を見たから、フィリアはホープさんの生まれ変わり……つまり、ホープさん視点の記憶を見てるのか……


「誰が寝坊助ですか」


『あら、起きてましたか?』


 うわっ!? 急に声が聞こえたと思ったら、すぐ背後にシルクさんがいた!


「ちょっと驚いていただけですよ。まさか兄上があんなことをするなんて……」


 ……そっか。シェイドとエフィーさんは兄弟なんだよな。


『だから私はあまり見せたくなかったのですが……』


『あのクソ野郎(エルフ)とエフィーさん、兄妹だったんですか!?』


「うん、少し……というかかなり……いや、物凄く口うるさいけど、森から追放される時に私を生かしてくれたんだよ……って、アルスは知らないか」


『……なんの話です?』


『アルスはこれを見てなさい』


 このままだと話が進まないと判断したのか、ルキアさんは液晶モニターを勇者アルスの前に出現させて僕達に見せたシルクさんの記憶(えいぞう)を見せる。


『さて、アルスがこれを見ているうちに……ラルクには、言わなければならないことがあります』


 そうやって話を切り出すルキアさんの声は、さっきよりも真剣味を帯びていて……そう、まるで勇者アルスの魂が消えることを告げた時のような声だった。


「……なんですか?」


 何か、猛烈に嫌な予感がする。


『あなたが体験した記憶の通り……アルスは、いずれ消えます。それはつまり、あなたの魂の半分が消えることを意味しています』


 それは知っている。だけど、それが何か……


『フィリアもホープもいませんので、単刀直入に聞きます。あなた、フィリアのことが好きですよね?』


 ……急に何聞いてるんだこの女神様は?


「いや、まあそれは……妹みたいで……」


『はぁ、全く甲斐性のない』


「ラルクくん、男の子はもっとシャキッとしないと」


 何故か呆れられた!? いや、急にそんなこと聞かれて『はい! 大好きです!!』っていう方がおかしいよね?


『まあ、一応聞いてみただけです。元より心を読めば良い話なので』


 じゃあ聞かないでよ。僕が恥ずかしいだけじゃないか。


『しかし……はっきり言います。そのフィリアを好いている心のほとんどは、アルスから受け継いだものです』


 ……ルキアさん、なかなか面白いことを言ってくれるじゃないか。僕がフィリアを好きなのは、僕の気持ちじゃない……って?


『なんなら、フィリアがあなたを好いている気持ちのほとんどもホープから受け継いだものと思われます』


「ルキアさん、それは……」


『言い過ぎじゃありませんよ。第一、10歳の子供が他人のために命をかけられるほどの恋をできるのですか? まだ生まれて10年ちょっとしか経ってないないはずの子供が』


 でも、それは……


『確かに、あなたがあなた自身の意思でフィリアを好いているのは確かです。もちろん、その逆も……しかし、その気持ちのほとんどは、アルスとホープの魂に刻まれたものなのですよ』


 ……そこまではっきり言われると、ぐうの音も出ない。ルキアさんの言う通り、僕はフィリアに異常に執着している節がある。その自覚はある。


 僕がフィリアのことを、こんなに……それこそファフニールを相手した時のように、命を張れるほど好きじゃなければ……あのシルクさんの地獄の特訓に耐えられてないし、そもそもフィリアを追って王都に行こうだなんて思わない。


『……自覚はあるようですね?』


「まあ……結局、僕の強くなる理由はそれなので」


 結局、全てはフィリアとの約束を守りたいから。フィリアを守れるくらい強くなるためだ。今改めて考えると、馬鹿みたいな理由だ……ずっと前の、小さい頃の約束を守るためだけに強くなろうなんて。


『はい、普通に考えたら相当狂ってますね』


『そこまで言わなくてもいいでしょう……』


『……話が逸れましたね。とにかく、あなたのフィリアを思う気持ちは、主にアルス由来のものです』


 ……そこまではっきり言われると少しイラッとくるが、ルキアさんの話を聞くにつまりそういう事なのだろう。


『そして、あなたが見たようにアルスの魂は消えてしまいます。それがどういうことか……あなたに、分かりますか?』


 ……え? それが何か……?


『ラルク、よく考えろ。俺の魂が消える……ってことは、俺の思いはどうなる?』


「それは……消え……る………………あっ……嘘、でしょ?」


 ……もしかして。もしかしてだけど……絶対に、信じたくないけど……ルキアさんの今までの言葉。勇者アルスの魂が消えるという事実。そして……僕の気持ちが、彼由来のものってことは……


「僕は……フィリアを、好きじゃなくなる?」


 ……いや、そんなわけないだろ。だって、僕自身の意思でも僕がフィリアを好きなのは確かだし、フィリアは僕の幼馴染だし……でも……


(僕は本当に、このままの思いでいられるんだろうか?)


 それでも、フィリアとの関係性が変わってしまう気がして……

最近気づいたこと:評価とかブクマより感想もらえる方が嬉しい。ということで良かったら感想お願いします……

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