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第百十九話 私と嘘と真実と罰

第百十九話! 今日で過去編連続投稿は終わりです!

「唐突ですが……エフィロスさん、貴女、今すぐに能力を使えますか?」


 エルヴィン騎士団長は、木陰に入って話を始めるなり私にそう言ってきた……はぁ、ついにそれを聞かれちゃったか……


「ええ、一応。よほど大きな威力でなければ」


 でも、今これが()()()のはまずいんだよな……何とか誤魔化せないかな?


「そうですか……では、使ってみてください。何でもいいので、今すぐに」


「……今すぐ、ですか?」


「ええ、今すぐにです。出来ませんか?」


「……やってみましょう」


 ……この言い方、絶対に勘づいてるな……やるしかないか。


(お願い、耐えて……『爆発魔法』)


「【イグニッション】!」


 私は『世界樹の巫女』の能力で騎士団のメンバーの1人から『爆発魔法』を借りて【イグニッション】を詠唱する。すると、目の前の地面付近が何の前触れもなく爆発し、土が抉られた。よかった、発動した……


「……っ! 頭が……!」


 しかしその瞬間、強烈な頭痛が襲いかかってきて私は思わず地面に座り込む。やっぱり、無茶だったか……


「やはり貴女、スキルを発動するのに相当負荷がかかっていますね?」


 あぁ、ついに気づかれてしまった。本当はまだ隠しておくつもりだったんだけどなぁ……


「……最初は、数年前のことでした。いつも通り、スキルを発動しようとしたんです」


 そう、異変を感じ始めたのはアルスをいじめていた奴らをとっちめたときの頃。『世界樹の巫女』の力を何度も使用すると……とくに、固有スキルを借りた時に少し目眩がするようになった。


「最初はただの軽い目眩で……それから、どんどん副作用が大きくなっていって」


 それから、体にかかる負担は少しずつ増していった。症状は目眩から頭痛へと変わり、副作用を気にせず使用できる回数もだんだん減っていった。


「固有スキルそのものが、だんだん弱くなってしまっている……そんな状況だったんです」


 恐らくは、『世界樹の巫女』の性質によるもの。このスキルは、ルキア様の力……つまり、世界樹(シャルローザ)の力を代行して使用する力。それなのに、私はあまりにも長い間世界樹から離れすぎたのだ。だからスキルそのものが、少しずつ弱っていっているんだろう。


「今の私では……強い力を出そうとすれば、せいぜい日に2、3度くらいが限度でしょうかね」


 ノーマルスキルなら副作用を気にせずいくらでも使用可能なのだが……固有スキルは、もうそんなに使えなくなってしまった。


「なるほど。つまり、貴女は弱くなったことを隠して、勇者様と剣聖様の教育係を続けていた、と……」


「……はい」


 事実だ。私は、2人から離れるのが怖くてそのことを隠していた。


「はぁ、全く。なんとなく予想はしていましたが……まさか本当だとは」


「……どんな処分でも受けるつもりです」


 恐らく、私はもう教育係から外されて……もしかしたら、牢屋にでも入れられるだろうか?


「……分かりました。では……貴女はこれから、罰として彼らの導き手となって頂きましょう」


「……はい?」


 導き手? それってどういうこと……?


「勇者と剣聖の師匠と言う肩書きを捨て、世の人々にはその正体を知られることなくお二人をサポートしていただきます」


「は、はあ……」


「どうしたんです? そんな顔をして……まさか、この処分でも不満だと?」


「いえ、ただ……そんなものでいいのかな、と」


 てっきり、もっと重い処分が下るものだと……


「……これは正当な処分ですよ? 本来なら得られるはずの名誉を捨て、自ら危険に身を投じなければならないのですから」


「そう……ですかね」


 うーん、でもなんか……意図的に甘くされている気が……


「それに、あの2人にはまだ貴女が必要です。少なくとも彼らが精神的に成熟するまではお願いしますよ、エフィロスさん」


「なっ……!?」


 まさかこの人、だから私にこんな処分を……!


「……謹んでお受けします」


「ええ、よろしく頼みますよ」


 そして私は、アルスとホープの教育係から外れ……彼らの仲間の1人、エフィロスとなったのだった。



 〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「ねえエフィーさん! 俺たち、冒険者になるの!?」


「うん、そうだね。冒険者名義で活動するのさ」


「私と、アルスと、エフィーさんかぁ……パーティーは組むんだよね?」


 エルヴィン騎士団長に秘密がバレてから1ヶ月後。私たち3人は『勇者パーティー』として、活動することとなった。つまり、今日からは訓練ではなく本当に『勇者』や『剣聖』として活躍していくこととなる。


「当たり前だろ! 名前は……」


「「アルスが決めるのは絶対ダメ」」


 君のネーミングセンスが壊滅的なのはよく知ってるから。だからパーティーの名前は決めないでおくれ、アルス。


「じゃあ誰が決めるんだよ」


 そりゃあもちろん……


「「私が」」


 ホープと声が被ってしまった。でも、パーティーの名前は私が決めたいんだ。


「ホープ、ここは私に決めさせてくれないかい?」


「エフィーさん、ここは私が決めますよ」


 ……よろしい、ならば戦争(クリーク)だ。


「これだけは譲れないよ、ホープ」


「はぁ……場所を変えましょうか、エフィーさん」


 そう言って、私たちがいつもの訓練場所に向かおうとした瞬間、アルスがふとこう言った。


「いや、よく考えたら『勇者パーティー』で良くないか? 変な名前をつけるよりわかりやすいし」


「「あっ……」」


 というわけで、私たちは『勇者パーティー』という名前で活動していくこととなったのだ……

豆知識:よろしいならば戦争だの『戦争』はクリークと呼ぶらしい(byウィキ○ディア)

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