第一話 鑑定の儀
初投稿です!ぜひぜひ見てやってください!
「来たか……数が多いな」
風魔法【フライ】で滞空しながら俺はそう呟く。その目線の先にいるのは、大量のSランクモンスター──1体でも街一つを確実に滅ぼせる──が、大陸最大と言われるファイルガリア平原を王都に向けて進行している。報せによると、最低でも500体はいるとのことだ。
「ラルク、あいつらが王都に着く前に倒せる?」
隣にいる『彼女』が、俺に心配げに聞いてくる。
「大丈夫だよ、見てな……土魔法【メテオライト】」
すると、およそ700個もの岩が空中に出現し、そのまま浮遊する。そして……
「『スキル強化』……『分身』、『投擲』ッ!!」
それを全て同時に地面へと叩きつけるように投げつけた。全ての岩は音速を軽く超えた速度で地面に向かっていき、とてつもない音と摩擦熱を生みながら魔物達に着弾する。
「「「「「「「「「「ゴアァァァァァァ!!!」」」」」」」」
その岩は大量のクレーターを形成し、地面を大きく揺らしながら全てのモンスターを撃滅した。
元ののどかな平原の面影は跡形もなくなり、そこにあるのは無数の隕石が落ちた跡と、およそ500個の大人3人分の巨躯を持つモンスターの死骸だけだった。
「ふう……ちょっと疲れたな」
そう呟きながら俺は土の上に寝転ぶ。周りに漂う屍臭と熱気にも、もう慣れてしまった。
「もう……まだ気をぬいちゃダメだよ?」
「分かってるよ、ちょっと休むだけだから…」
「分かったよ…………はい、魔物除けのお香焚いといたから、私も休むね」
俺にそう言いながら、『彼女』は俺の横に寝転がる。
そんな『彼女』を見ながら、俺はあの日のことを思い出す。
────俺が最弱と呼ばれ、最強を志すきっかけとなった、あの日のことを。
『固有スキル。
それは、この世界に住む人々が、10歳の時に女神様から等しく与えられる物。
そのスキルは人によって千差万別であり、基本、ノーマルスキルよりも効果が強力である。
「ノーマルスキル」と呼ばれる全ての人が努力によって得られるスキルとは違い、この「固有スキル」は才能に因るとされていて、一生変わることはない。
つまりこの「固有スキル」と言う物、人生を決めると言っても過言ではないのだ。また、適正ジョブもこれによって判別される。
そしてそれは、10歳の時に行われる「鑑定の儀」によって判明するのだ────』
「ふぅ。明日か……」
本を読み終えた僕はそう呟いて、ベッドに寝転がる。
鑑定の儀は、10歳になった子供全員に行われる。もちろん僕────ラルクにも、明日行われる予定だ。
(明日が楽しみだなぁ……! 僕の固有スキルってなんだろう? 剣術とか格闘家だったらいいなぁ)
そんな期待とともに、僕は深い眠りについた。
〜翌日〜
今日は待ちに待った『鑑定の儀』。少し冷たい風が吹いているが、そんなことを気にしないほどに僕の心は希望に満ちて、昂っていた。
「ラルク! 鑑定の儀、いっしょに行こう!」
そうやって、肩くらいまで伸ばした濃いピンク色の髪をなびかせながら話しかけてくるのは、幼馴染の少女、フィリアだ。
「いいよ。断ってもついて来るでしょ?」
「もう。こんな美少女に誘われてるのにあんまりだよ?」
そう、このフィリア…正真正銘の美少女なのだ。なので、そんな美少女と幼馴染の僕は、同年代の友達から少なからずヘイトを買っている。
僕からすれば、フィリアはフィリアなんだけどなぁ。
「はいはい可愛い可愛い。さっさと行くよ」
「あ、待ってよ〜!」
こんな風に、こいつは小さい頃からずっと僕に甘えてくる。今では妹みたいな存在だ。まぁ、そんなフィリアが僕は妹がいるみたいで好きなわけなんだが。
「フィリアはどんなスキルが欲しい?」
「私は戦わなくてもいいスキルが欲しいな。で、家でラルクのこと待ってるの」
「なんで一緒に暮らしてる前提なのかな?」
「だめ……?」
おいやめろ。その上目遣いは反則だろ。
そんな感じで喋りながら街道を歩くこと10分、俺たちは教会についた。
2人で教会の大きなドアの前に立ち、声を揃えて言う。
「「鑑定の儀を受けに来ました」」
すると、ドアが開かれて、司教様に手招きされる。入ってよしという合図だ。
「「失礼します」」
教会の中に入り、少し後ろの方の椅子に腰掛ける。他にも数人の子供たちがいて、みんな静かに座っている。斜め上のから入ってくる光が教会の中を照らしており、どこか神秘的な感じが漂っている……
僕たちがそのまま少し待機していると、司教様が話し始めた。
「よくいらっしゃいました、将来有望な子供達よ。それではこれより、女神様より授けられる祝福の鑑定────『鑑定の儀』を執り行います。」
「「「「よろしくお願いします」」」」
そして、鑑定の儀が始まる。まず最初は、一番前の椅子に座っていた子だった。その子が司教様の持つ水晶に手をかざすと、その中に文字が浮かび上がる。あそこに、『固有スキル』とその概要、そして適正ジョブが浮かび上がる仕組みだ。
「あなたの固有スキルは…『反撃強化』ですね。適正ジョブは騎士です」
「やった、騎士だ!」
最初の子の適正ジョブは騎士か。近接戦には弱いけど、武器を持って戦うのに向いたジョブだ。かっこいいなぁ。僕もそんなスキルならいいなぁ。
「それでは次の方、どうぞ」
その後も色々あり、ある子は『魔力量増大』というスキルを得たことに大喜びし、また別の子は鑑定結果を見て泣き崩れたりしていたが、鑑定は順調に進んだ。
そうして、ついに残りはフィリアと僕だけになった。
「それでは次の方、どうぞ」
「ラルク! 私が先に行くね!」
そう言って、フィリアが水晶の前に行き、手をかざす。その中に浮かび上がった文字を見て、司教様が驚いたように言う。
「これはすごい! あなたの固有スキルは……『剣聖の加護』です! 適正ジョブは勿論、剣聖です!」
「けん……せい?」
司教様がそう言った途端、教会の中がざわつく。
「剣聖の加護!? あの人類最強と呼ばれる剣聖グレア様の持っている加護じゃないか!」
「何だあの女の子は!?」
たしか能力は剣術の上達がすごく早くなって、身体能力もずば抜けて高くなるっていうものだった気がする。すごいぞフィリア!
当のフィリアは、不服そうな顔をしているが。
「これは将来有望なスキルですね! 次の方は……」
「僕です」
あ……僕、この後に鑑定されるのか。せめてハズレじゃありませんように……そう思いながら、水晶に手をかざす。
すると、水晶内に文字が浮かび上がってくる。
「あなたのスキルは……『武芸百般』ですね。聞いたことがない珍しいスキルですね……」
お、これは強力な新スキルか!?そう思いながら
浮かび上がった文字を見ると、こう書いてあった。
『武芸百般』LV.1
このスキルを持つ者は、あらゆるノーマルスキルに対する素質を得る。レベルアップで能力が追加される。
適正ジョブ:冒険者
その瞬間、僕はあの本のことを思い出していた。
『「ノーマルスキル」と呼ばれる全ての人が努力によって得られるスキルとは違い、この「固有スキル」は才能に因るとされていて、一生変わることはない。
つまりこの「固有スキル」と言う物、人生を決めると言っても過言ではないのだ。』
ノーマルスキルを得るだけの『固有スキル』。僕はそれを手に入れた……いや、手に入れてしまった。
……つまり、僕は実質固有スキルなしの人生が……『何者にもなれない人生』が決まってしまった、ということだった。
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