「~~できない」で作るキャラクター
実はキャラクターこそ「~~できない」で組みあげたいところ。今回は陰キャの女の子を作ってみましょう。
これを積み上げ方式で作ろうとすると、「陰キャだから、まず外見は暗くて前髪が長くって、おどおどしていて、え~と、あとは何があったかなあ」と、陰キャである要素を際限なく詰め込んでいくハメになるでしょう。そのうえ、出来上がったキャラクターはいかにもありがちな薄っぺらいただの陰キャとなってしまう。
例えばこれが脇役であるならば陰キャというテンプレートそのままの方が動かしやすいでしょう。しかし主役やヒロインとしてテンプレート通りのキャラを置くと、途端に物語が薄っぺらく、登場人物が作り物臭くなってしまう。
これを避けるための「~~できない」なのです。
例えばあなたの考えた陰キャは、何ができない子でしょうか。
「陰キャだから友達にあいさつできない」とか置くと、一気に陰キャちゃんのキャラが際立ちますよね。他にも「陰キャだから家から出られない」とか、「陰キャだからメイクができない」とか、陰キャだからこそできないことはたくさんあるはずです。そこをまずは構築してしまいましょう。
これ、どんなキャラクターを構築するときも同じ、「○○だから~~できない」というところを先に作ります。変形版として「○○なのに~~できない」でも可。
これができると他の類型キャラたちとの明確な差異、つまり個性が作れます。陰キャちゃんなら地味で根暗で教室の隅で本を読んでてあいさつされても無視して……みたいなキリのない説明をする必要もなく、陰キャ極まりすぎて友達にあいさつされると悲鳴を上げて逃げ出す、みたいに性格の輪郭をスキッと説明できるようになるのです。
そしてここから積み上げ、この時に最初に決めた「~~できない」だけは死守しましょう。そうするとあら不思議、無限に情報を積み上げる必要はなく、「~~できない子ならこういう事はしないだろう」という、キャラクターの性格の上限が見えてくるはずです。
例えば陰キャが脱陰キャを目指す話だった場合、積み上げ方式だとこの段階でうっかり変化後の性格を混ぜ込んでしまったりしますが、「~~できない」方式の場合は「~~できない、ならばこの子を変化させるには何が必要か」を考えればいいので、物語の中で主人公の変化に必要な外的要因を簡単に作ることができます。「陰キャで挨拶さえできない→挨拶できるようになるためのエピソードが必要」みたいにね。
そして「~~できない」の優秀なところは、これキャラクター同士の人間関係にも使えるんです。
勇者と魔王が戦う話なら「二人が和解できない理由」とか、恋愛ものなら「カップルがお互いの恋心を告白できない理由」とか。
もちろん、この「~~できない」を全部解消する必要はなく、勇者と魔王ならば和解できないまま最終決戦を迎えることもあるし、カップルならお互いに誤解したまま別れを迎えることもあるかもしれない。それは作者の胸先三寸なのです。
そういう意味で、ここで作った設定はお話に深くかかわってくるかもしれないし、全く書く機会がないかもしれない、設定ってそういうモノなんです。
次回おまけ、「設定は書かない、使うものだ」




