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「~~できない理由」とは

 さて、「~~できない理由」とは、例えば「人間と魔族はなぜ仲良くできないのか」とか「なぜ女ヒロインは意中の人に愛の告白をできないのか」のような物語の根幹に食い込むものから、「なぜ主人公は一人でトイレへ行くことができないのか」のような枝葉の個人設定にかかわる部分にまで、それこそ数限りなく作ることのできる『設定の基礎』です。

 それでいながら、この「~~できない理由」、これはそれ自体を物語の本筋に対する牽引力として使うこともできる、実は『万能の設定構築法』なのです。


 例えを出しましょう、少女漫画には「~~できない理由」が明確で、それ故に恋が遠回りするお話が多いですね。

「ヒロインが昔、男の子から意地悪された、それ故に恋に臆病」とか、「まだ恋に無自覚、それ故にドキッとしてもそれが恋とは気づかない」とか、これ、裏返すと全部「メインカップルが簡単に成立することができない理由」なんです。

 少女漫画でメインカップルが簡単に成立することが「できない理由」、他にも考えてください、いろいろありますよね。

 男が元カノのことを忘れられなかったり、ヒロインが自分は嘘の彼女だと頑なに思い込んでいたり……ある意味少女漫画は「~~できない理由」そのものを楽しむのだと言っても過言無いでしょう。

 これが「~~できない理由」が存在しないとしたら、それはヒロインが「ねえ、私、あんたを見ているときにドキドキするんだけど!」と言った時に障害になるものが何もなくて「そう、じゃあ、付き合おうよ」からのあっという間にハッピーエンド……途中経過に書くべきことは何もないお話となってしまいますね。実は少女漫画だけではなく、物語はすべて「~~できない理由」ゆえに主人公が目標まで遠回りするところに面白みが生まれます。

『勇者になりたい!→勇者になるために冒険だ!→勇者になった!』では、どれほど文字数を重ねてもだらだらと移動行程を書いただけのものになってしまう、そこに「~~できない理由」を一つ作ってぶち込んだだけで『勇者になりたい!→でも勇者になれない理由がある!→その理由を抱えたまま、解決するための冒険だ!』と広げることができるし、ここが面白みとなる、これが物語なのです。

 さて、このメインの「~~できない理由」を考えただけで、幹となる部分の設定はほぼ完成です。つまり物語のアウトラインは出来たも同然。あとは物語の長さに合わせて、サブストーリー部分の「~~できない理由」を二つくらい用意すれば、もう物語を書き始めることは可能です。

 とはいえ、枝葉となる設定も必要ですよね。世界観とか人物設定とか。

 つぎはそうした枝葉となる設定に「~~できない理由」をつけてみましょう。


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