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俺のマスターは吸血姫~無双の戦鬼は跪く!~  作者: 黎明煌
第九章 「無双の戦鬼と、黄金の日々」
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594 「永久に誓う」



 まさかこの部屋を、己の意思で利用することになるとは思いもしなかった。


「ぴゃっ……ま、まったく、強引なのですから……」

「でもちゃんと優しくしてくれるところが、やっぱり私の大好きな兄さんです♡」


 先日には"兄さんブチ犯しゾーン"なる呼称をした部屋。

 窓も時計も無く……在るのは一組の布団と、健気な光量で枕元を照らす行灯のみ。

 この部屋はまさしく──男女がまぐわうことのみを目的とした部屋である。そんな部屋へと俺は、二人の髪も身体も生乾きのままに担いで来たのだ。

 いまだしっとりと濡れたままの裸体を、静かに布団へと下ろす。最早悪鬼の理性の糸はブチ切れ、今すぐにでも目前に並ぶ美しい肢体を汚したい欲に駆られるが……。


「ハァ……! ハァ……!」


 俺は悪鬼だが……兄だ。弟だ。

 彼女達にとって、大切な"人"なのだ。俺は人として、愛する二人を抱きたい。それが、この夜に全てを捧げてくれる少女達に対する最低限の礼儀と心得る。

 ゆえに今、裸の二人に覆い被さり、血眼になってヨダレを口から垂らしていようと……俺は待つ。その時を。


「ハァ……! ハァ……!」


 彼女達が『よし』と言ってくれる、その時を──!

 そんな俺の気概を感じ取ってくれたのか、姉妹は「キュン」とした顔で、その頬に手を当てる。


「やんっ、兄さんったらお利口さん♪ ですがぁ……いいんですよ? 妹はいつでも、準備万端整っていますから♡」


 蕩けた声でそう言い、こちらから見て左側で仰向けになる刀花。そのまま俺の左手をとり、己の胸の谷間へと誘う。

 ……ドクン、ドクンと。

 彼女の内側で燃える命の脈動が。愛する者と結ばれることへの歓喜の鼓動が。招き入れられた指先から伝わってきている。

 長年の夢が叶うまで、もう幾ばくもない。愛する兄と結ばれる瞬間を心待ちにしていることを、彼女は心臓の鼓動でもって伝えてくれた。


 ──いいですよ、と。


「……私も」


 妹の乳房の柔らかさと、火照る肢体の熱をこれでもかと左指先に感じていれば、同様に右手もその熱に包まれる。姉上もまた、その谷間に俺の右手を迎え入れてくれたのだ。

 妹に負けず劣らず、ドクンドクンと脈動している。初めて感じる、恋の鼓動にその身を任せて。

 深淵を宿す瞳も今は熱に潤み、超然とした姉上の顏にいくらかのいとけなさを宿らせる。初めての行為に臨むことへの不安、恐れが見え隠れするが……同時に、愛する弟に対する厚い信頼と愛情も見てとれる。


「私も……覚悟はできています。私から、誘ったのですから。だから……はい……い、いつでも……」


 神算鬼謀に長け、誰をも惑わす魔性の美。

 内も外も常軌を逸した器を持つ少女が、緊張にプルプルと震えながらも確かに告げた。


 ──いつでも、と。


「──ああ」


 もう、駄目だ。沸騰した血液で内側から四散してしまいかねない。

 ──抱く。二人の少女を、抱く。

 ただ一つですら目を焼かれるほどの輝きを放つ宝玉を、この一夜で同時に愛でられる栄誉に涙すら流れよう。


「カハァ……」


 機は熟した。

 そう確信した俺は大口を開け、湯上がりで火照る玉の肌に唇を這わせようとし──、


「むむっ、やっぱりちょっと待ってください!」

「むご」

「と、刀花ちゃん?」


 刀花にむぎゅっと顔を押し退けられ、その勢いのまま「準備が足りない気がします!」と言って退室していった……。


「……ここにきて準備とは……?」

「は、はて……ぴゃっ」


 その背を見送り、姉上に視線を戻せば……彼女は小さく鳴いて、パッとこちらの手を離してしまった。

 言わずもがな姉上は一糸纏わぬ姿であり、こちらの視線から身体を捻って隠そうとする。下腹部程度ならば掌で隠せようが、さすがにその豊かな乳房は片手では隠しきれぬ。むしろ艶かしく潰れ、より官能的に映るぞ。


「刀花、どれくらいかかる」

『すぐです、すぐ~!』


 この部屋の隣は刀花の部屋だ。そこでなにやらゴソゴソしているため、それほど手間はかからぬと見える。


『姉さんも、一生に一度しかない瞬間ですから! 悔いの残らないよう、今の内に準備できることはしておいてください~!』

「じゅ、準備、ですか……?」


 部屋外から響く刀花の声に、ペタンと座り直した姉上が呟く。その視線は、この小さな部屋をぐるりと一度巡った。


「……ふ、ふむ、まぁ、確かに……」

「む?」


 すると彼女の顔に、少しだけだが冷静さが戻る。この部屋に、なんぞ足りないものでもあったのだろうか。


「どれ……」


 こちらの視線をチラチラと気にしつつも、姉上はヨチヨチと布団の上を移動し、枕元へと向かう。良い尻だ。姉上は胸もすごいが、尻もすごい。


「よいしょ」


 そうして先のゴムを取り出したように。深い胸の谷間に指先を入れたかと思えば、そこから次々と物品を取り出し、畳の上へと並べていった。

 俺もそちらへ移動し、その中の一つひとつを検めていく。姉上が用意するのだから、これからのまぐわいに必要な物品であると理解できるが……。


「……これは?」

「それは潤滑ゼリーです。先日、不本意ながらもローションの役割は教えましたね?」

「ああ」


 綾女の家へ泊まり込んだ時のことだな。粘性があり、滑りをよくするのだと。


「それとは、また異なるのか?」

「ま、まぁ、はい」

「何に使う。いや、どこに使うものなのだ……?」

「……うぅ、もう」


 無粋なことを聞いたらしく、姉上が真っ赤な顔で恨めしげな目をする。無知な男ですまない。


「たわけもの……これは、その……お、おま──じょせ──こほん。そう、デリケートゾーンに使うことを前提に作られており、その潤いを補佐するものですね。ローションが外なら、こちらはナカというわけです」

「ほうほう」


 つまり、こういうことか?


「我が逸物をより受け入れやすくするよう、使うのだと?」

「っ……は、はい……そう、です……」


 その場面を想像したのか、姉上は蚊の鳴くほど声量でそう言い、こくんと小さく頷いた。男の逸物を受け入れるための道具を抱き締めながら。


「や、やはり初めては痛いでしょうし……するのなら、良い思い出にしたいではありませんか……?」

「……ああ、そうだな」

「刀花ちゃんにもあまり痛い思いはしてほしくありませんし……お前、にも」

「ん?」


 少し掠れた声で、姉上は上目遣いにこちらを覗く。


「お前にも……お姉ちゃんの身体で、気持ちよくなってほしいですから……♡」


 やめてくれ姉上。何にも触れずに吐精するところだ。

 健気さと淫靡さを絶妙な感覚で両立させる姉上の色気に脳を揺さぶられながら、俺は努めて物品に視線を戻した。


「……また、おっきくなってますよ? たまらなそうに、ピクピクと震えて……♡」


 俺はあまり見ないようにしているのだから、その時まで見ないようにしてくれ姉上。


「ああ、そういえば。いけませんね、一番大事なことを。ゴム、今の内につけてしまいますね……♪」

「うん……? ぬぬっっっ!!??」


 ……早業であった。

 物品に視線をやっていたため、その手口の詳細はよく見られなかったが……いや、間違いない。

 装着にも多様な技があり……俺の目には、彼女がその唇にゴムを咥え、そのまま……口で、したように……。

 目を見開く俺の様子がおかしいのか、姉上は口許に指を添え、ゾクリとするような流し目をくれた。


「クス……お姉ちゃんは手先が……えぇ、口先も器用なのです♪」

「──ッッッ!!」


 遅れてくる衝撃に、思わず胸を押さえる。あ、危なかった……。

 今のように虚をつかれていなければ、姉上のその奉仕と見紛う姿と与えられる刺激によって、情けなくもそのまま吐精していたかもしれない……。

 なにせこちらは、この現世に顕現して以来、自慰すら禁じられている禁欲の鬼なのだ。少しの刺激で達してしまう恐れがある。

 男の矜持にかけて……いやさ長男として、そのように情けのない姿は決して晒せぬ。そう、俺は長男だから我慢するのだ。次男であれば今ので危なく吐精していたことは想像に難くない……。


「さてさて? 潤滑剤と、替えのゴムと……」


 隣で弟が誇りをかけた戦いをしていることにも気付かず、姉上は谷間からまた道具を出していく。気を紛らわせるためにも、それに注目した。


「ティッシュに、爪切りに……」

「ふむふむ……」


 頷きながら、思わず自分の爪を見た。

 戦闘時には伸ばして敵を切り裂くこともあるが、こんなこともあろうかと深爪にしておいて正解だったな……。


「目覚まし時計に、軽いお色直し用の化粧箱に……そうそう。念には念を入れ、蕎麦打ちセットも……」


 なぜ……。


「それは、いるのか……?」

「分かりませんよ? キラちゃんに聞いたのですが、お蕎麦を打ちながら致す映像作品もあるのだとか。お前にもそのような、まだ見ぬ変態性が芽生える瞬間があるかもしれませんからね」

「人の業よ……」


 ガーネットのせいでまた一ついらぬ知識が増えてしまった。


「それと……ああ、お水もいりますね」

「水?」


 人数分並ぶペットボトルに首を捻れば、姉上は「えぇ、えぇ」と頷く。


「まだ夏前とはいえ、激しい運動をすれば汗もかきましょうや。それに──」

「それに?」


 そこで。

 またも姉上が、淫蕩な相貌を浮かべる──!


「ま、前準備として色々と口に含むと思いますから、口をゆすぐためにも……お風呂上がりとはいえ、その辺りは気にすることもあるかと……口付けも気兼ねなく、いっぱいしたいですし……♡」

「っっっ」


 姉上は言の葉のみで俺を絶頂させる気か──!?

 早く戻ってきてくれ、我が妹よ……! このままでは二人で先に始めてしまうぞ!


「──とーう! お待たせいたしましたぁ! って、あー! 兄さんもうゴムつけてますー! じゃあじゃあ次! 次つける時は私にさせてくださいね♡」

「と、刀花ちゃん、その格好……」


 兄が危うく野獣になってしまう寸前。

 元気いっぱいに再び姿を見せる刀花だが、姉上がその変化を指摘する。


「リボンと、ニーソですか……?」

「はいっ。生まれたままの姿でもいいと言えばいいんですけど、やっぱりポニテとニーソは妹の代名詞ですので! ここ一番では外せないかな~と!」

「ほぉ……!」


 ニコニコして言う刀花を上から下まで眺め、感嘆の吐息を漏らす。

 その肉感的な肢体を、黒いニーソだけが覆っている。肌を覆う黒と、彼女の健康的な肌の色との調和が素晴らしい。清楚な白いリボンと活発なポニーテールが、よりその淫靡さを引き立てている。


「むふー、えーい♡」

「ぴゃっ」


 そうして今度こそ。

 刀花が姉上にしなだれかかり、二人して再び布団の上に沈んだ。


「──」


 行灯の揺れる炎が、少女の肢体を照らし出す。湯上がりの水滴と汗、そしてつやめく黒髪が艶かしくその暖色の光を照らし返していた。


「兄さん……♡」

「刃や……♡」


 二人の甘く呼ぶ声に、俺はその時が来たのだと悟った。

 密に誘われる蜂のように一歩、また一歩と引き寄せられていく。この俺も既に一糸纏わぬ身。屹立した我が下腹部が近付くたび、二人もどこか息を荒げた。


「──健やかなる時も」

「──病める時も」


 二人に覆い被されば、鬼の影が落ちる。

 そのような危機的状態にあって……しかし二人の少女は、幸せそうな顔で言祝ぐのだ。


「ずっとずぅっと、私のにいさんで──んっ♡」

「生涯をかけ、私のおとうとであることを──ん……♡」


 口付けを交わし、その問いを受ける。


「「──誓いますか?」」

「……ああ」


 俺の愛する姉妹。俺の愛する家族。俺の愛する恋人達に。

 今、俺もここに誓おう。


「誓うぞ、永久とこしえに。俺こそが二人の、天下無双の刀剣たるを。愛している。刀花、鞘花」

「兄さん……♡」

「刃や……♡」


 ──ここに誓約はなされた。

 俺は一生、二人を守護り続ける。二人から貰った命と、愛にかけて。

 なればこそ、その証を身体に刻まねば。


「姉さん……」

「刀花ちゃん……」


 俺が身を乗り出すのを見て、二人は一瞬視線を交わし合い……微笑む。互いを安心させるように。

 そうして──二人同時に男を受け入れる体勢をとり、告げた。


「「きて……♡」」

「──」


 そうして我等家族は。所有者とその刀剣は。まるで最初から一つの存在であったかのように。


 深く、激しく、互いを求め、


 ──この夜、一つとなった。



初夜の様子はこちらから↓


https://novel18.syosetu.com/n0049jv/


18歳未満の子は読んじゃダメだゾ☆

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