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俺のマスターは吸血姫~無双の戦鬼は跪く!~  作者: 黎明煌
第四章 「無双の戦鬼と、屋上に咲く徒花」
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131 「屋上の泣き声」



 また、朝が来る。


 しくしく……しくしく……。


 ──それはつまり、あなたがここに来なかったということ。


 しくしく……しくしく……。


 もう何度、この光景を見ただろう。


 覚えていない。数え切れないくらい、たくさん。


 あなたと再会を誓って。

 あなたと別れて。

 こうして待ち合わせ場所であなたを待って……だけど、あなたは今日もここにはやって来ない。


 しくしく……しくしく……。


 東の空が明るくなる中、私は給水塔に座って涙を流す。

 こうして泣いていれば、あなたがあの日のように屋上の扉を開けて駆けつけてくれると、淡い期待を抱きつつ。

 だけど、その扉は立ち入り禁止の札が掛けられて久しく、朝日がそれを虚しく照らすのみ。


 しくしく……しくしく……。


 ああ、私はあと何度、この光景を瞳に刻めばいいのでしょう。

 あと何度、涙を流せばあなたはここに来てくれるのでしょう。


 朝日が、嫌いになりそうです。

 あの頃は、朝が来るのが待ち遠しかったのに。あなたに会えると思うと、あんなに胸が高鳴ったのに。


 腕を伸ばし、朝日に透かす。

 自分の身体が透けてしまっていることにも、すっかり慣れてしまいました。

 もう自分の名前も忘れ、あなたの名前も顔も上手く思い出せないけれど。


 この薬指に光る指輪が、なによりの証。

 あなたと交わした約束の、たった一つの縁。


 それを頼りに、私は今日もあなたを待ちましょう。

 いつまでも、いつまでも。涙を流しながら。


 ──きっといつか再び、あなたが私を抱き締めてくれると信じて。


 しくしく……しくしく……。


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