表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
精霊王の庭   作者: 葉月秋子


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/40

4 出会い



「もふー」


 子供は幸せそうに俺の鼻に触り、首に抱きついて来た。


 おい、ちょっとまて。


 犬じゃないんだ、狼だぞ。獰猛な獣だぞ、俺は。

 いや、犬だって、知らないよその犬にいきなり抱きつくのはまずいんだぞ。

 あまりに警戒心がなさすぎだろう。


 しかし、子供は俺の首っ玉に抱きついたまま、毛皮に顔を埋めて、楽しそうにくすくす笑う。


 ま、怖がられなくて、良かったか。


「よし、お嬢ちゃん。

 俺はランドヴェールから頼まれて、君を探しに来たんだ。

 これから、君をお城に連れて行くから」


 と言って、身をほどき、少し下がって、人化する。

 人化と同時に、収納に入れてあった衣服は、ちゃんと纏っている。


 と・・・子供の顔がみるみる歪んだ。


「もふー・・・」


 いや、人間になったけど、怖くないよ。

 さあ、おいで、と手を伸ばすと、泣きそうになって身を縮める。


「もふー・・・は・・・?」


「いや、どっちの姿も俺だから」


「や、もふー・・・」


 しかし子供は俺の手を避け、小さな唇が震えだす。


 わ、まずい、泣かれる・・・


 仕方なくまた狼化すると、子供はほっとしたように肩の力を抜いた。



 狼の姿の方が安心するって?

 いったい、なんなんだ、この子は。



 子供が撫でまわすままに、しばらく狼の姿で寄り添っていたが、このままいるわけにもいかない。

 しかたがない。あまりやりたくないが。


 俺は少し離れてまた人化した。

 やはり、子供は嫌がって身を引く。

 しかたがないな。

 服のボタンをいくつかはずして、首元を広く緩めた。

 身体の一部だけ変化させて留めておくのは、魔力の微調整が難しい。

 そう、こうして頭部だけを狼に変えるのは、揺れる吊り橋の途中に留まっているような不快な感じがするのだ。


 そして改めて、子供に手を差し伸べる。


「さあ、これでよいか?

 どちらも、俺だ。わかったな」


 目と口をまん丸く開けて、首から上だけ狼化した俺を見ていた子供は、やがてにっこりして両手を拡げ、言った。



「もふー。らっし。だっこ」



 そして俺は、やっとのことで、子供を抱き上げることが出来たのだった。


 

 


 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ