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11 精霊の加護
「精霊たちの加護・・・」
知らせを受けて駆け付けたマリッサは、遊び疲れて眠る幼子を見下ろしてつぶやいた。
これほど大きな加護を受けた『いとし子』が、かつていただろうか。
その加護の大きさゆえに、少しでも目を放せば何をするのか全く予想できぬ危うさ。
この子と心を通わせ、りっぱな淑女に育て上げなければならないのに。
「精霊の加護のないわたくしには、この御子を育てる事が出来ないのでしょうか・・・」
精霊にも「格」と言うものがある。
加護を受けた人間はけっこういるが、それは、たいていは人型も取れぬ不可視の存在を、感じる、というだけのもの。
人型を取る大精霊の、その姿を可視し、意志を通じることができる人間となると、教会の大司教クラスしか思い浮かばず・・・
こん、とひそかなノックの音がして、供も連れずに入ってきた大きな人影。
「私を呼んだ、と聞いたが」
そう、そして、この・・・マリッサの夫となった、渡り人ハルト・・・
ハルトはマリッサが涙ぐんでいるのを見てぎょっとする。
「あなた・・・もう、どうしたらよいのか・・・」




