9 とやんぽいん3
「わはははは、これはうちのちび共に教えたら喜びそうだ」
大きな人型に戻ったグリンロードとアールが、マントの四隅をつかんで跳ね上げる。
「そぉれっ」
乗った子供は飛び上がり、笑いながら空中で一瞬停止し、きらきら光る風に巻かれて落ちてくる。
ぽすん、とマントの真ん中に落ち、また飛び上がり・・・
「何をなさっているのですかっ!」
悲鳴のような叫び声に、全員ぎょっとして凍り付く。
「あ、姫様だ」
「いっさー!(^^♪♪♪♡」
マントに乗って弾みながら、子供は満面の笑顔。
「こっ…こっ…小鳥様になんて乱暴なことをっ!」
駆け寄ったマリッサは声を震わせてへたり込んでしまった。
「ご本人がお好きな遊びのようでして」
と、グリンロード。
「ええ、だいじょぶですよー、おとしゃしませってー」
のんきなアールの声。
「ほら、風も喜んでいるでしょう」
「しっ、深窓の姫君になんてむちゃをっ・・・え?風?」
「風の精霊たちが一緒に遊べて喜んでんですよ」
獣人風情が気安く精霊様の事を・・・
え?風がみえると?
「そなたも・・・風の加護がありますの?」
「ええ、狼系は種族特性で風の加護持ちが多いんで。
だん・・・グレイさんのように強い力じゃないけど、見たり感じたりするくらいはできますよ」
息を弾ませた子供は、ご機嫌でグリンロードを見上げて問いかける。
「ちび共,だあれ?」
「は?うちの子たちですか?」
「グリンロードの双子の息子たちですよ。
小鳥様より少し大きい、そっくりでコロコロの子熊たちです」とアール。
「わーおー、会いたいー♡」
「はっは、まだ伺候できる歳ではありませんからな。
妻と一緒に家を守っておりますよ」
しかし子熊と聞いて子供は目をキラキラ。
「あいたいー」
「まだ収納が生えていませんからなぁ。
収納のスキルで服を持ち歩けない小さな子は、変化がとけるとすっぽんぽんになってしまうんですわ」
「すっぽ・・・むむむ・・・」
顔をしかめる子供とおおらかに笑う大男に、マリッサは頭を抱えた。
ハートマン女史がいなくて幸いだった・・・
や、やはり第七騎士団には、礼儀作法をしっかり教えておかない事には・・・




