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精霊王の庭   作者: 葉月秋子


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24/40

12 異なる音階


12


「♪はうあいわんだーーーーーふぁっちゆーあーーーー♪」


 しーーーーん・・・・・


 ・・・・・・


「・・・だから嫌だと言ったのに・・・」

 怯む二人に、真っ赤になったハルトはがしがしと頭を掻いた。


 だが、子供は。

 じっと耳を澄ましていた子供は。


「・・・ど・ど・・・そ・そ・・・ら・ら・・・そ・・・」

 と、小さくつぶやいたのだった。



「どど、そそ?」


「おおそうだ。ドレミで始まるんだったなぁ」


「どれみ、ってなんですの?」


「音の高さの呼び名だな。

 さすがにこれは、俺でも知っているぞ。

 ドレミファソラシドだ」


「どしらそふぁみれど」

 子供がリズムを付けて逆から言った。


 マリッサの顔が、ぱっと輝く。


「これは、音階の名称ですのね!

 誰か、わたくしのカルファーンを持ってきて頂戴」


 届けられたのは、何本もの木の板が並んでいるような楽器。

 小さな撥のようなものがついている。


「これは一本ずつねじで調節して、音の高低を変えられるようになっていますの」



 ど、ど、とつぶやきながら、マリッサの手入れのいい手がねじを微妙に動かす。

 グレイの首から手を離して、子供が興味津々で覗き込んで来た。


 マリッサがポーンと板を鳴らす。


「どー」子供が合わせた。


「そう、これが『ど』の音なのね。

 八音あったわね、じやあ、次は・・・」


 ど、れ、み、と音を合わせてみて、マリッサは顔を輝かせて振り返った。


「わかりましたわ。『いとし子』さまの世界の音楽は、音程が・・・音の分け方が違うのだわ。

 だからこちらの音曲は耳慣れず、御不快になったのね」



 なんだかよくわかっていない男たちを放り出して、楽器を真ん中に床に座り込んだ幼児と姫君は、夢中になって音合わせをはじめ・・・



 暫くして、王女のカルファーンは、ハルトのだみ声とは似ても似つかぬ、単純な高低の優しい小曲を紡ぎ出したのだった。


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