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9話 正義感

◯本屋


リキッド「古本屋…かな」


レジの奥に男は座っていた。

痩せほそっている。

どこか捻くれていそうな目つき。

髪はボサボサで、眼鏡をしている。


ヘレス「店長、合言葉!」


情報屋の男「今日の晩御飯は何かね?」


ヘレス「ピエロギ!」


リキッド「なんだ…この茶番。ピエロギお好きなんですか?」


情報屋の男「1000ミルになります…」


リキッド「は…?」


ヘレス「その情報を得る為には、お金がいるんよ」


リキッド「ええい、面倒くさい」


情報屋の男「聞きたい事は何かね?」


ヘレス「この街に起こる連続殺人事件サイレントキリングについての手がかり…おいくらなん?」


情報屋の男「50万ミルになります…」


リキッド「…買えない」


ヘレス「値段が張るということは、それだけ情報がつまっているということ」


情報屋の男「鮮度が高い情報は、必然高くなる…例えば次に狙われる可能性がある人間の情報とか…新鮮なネタだろ?キキキ」


気持ちの悪い笑い声が静かな店内に響く


リキッド「無差別じゃないの?どういうこと?」


情報屋の男「…」


リキッド「だんまり…か」


ヘレス「無差別は間違いないんよ…殺したい人間を隠すために大量殺人しているわけじゃないはず…78人も殺す必要ないからね」


リキッド「あるとしたら…恨みを買うことをした…あるいは犯行見られたとか」


ヘレス「情報を探っていた人物…次のターゲットは情報屋さん!」


情報屋の男「…」


リキッド「そんな状態なら、逃げだしてるよ…はは…」


ヘレス「買えば、次の犯行を防ぐ事が出来る…買わなきゃ…手がかりを失いか…。わたしはそもそも戦闘向きじゃないしパスかな。リキッドがどうしても解決したかったらお金を貸すんよ…」


リキッド「…ヘレスの…迷惑になる…ごめん…返せるあてがない。やめとく」


ヘレス「そうだよね…義理もないし…仕方ない。店長、失礼するんよ」


◯本屋の前


リキッド「…義理もない…金もない…またそんな状況…」


ヘレス「守りたいものを守ればいいんじゃないかな…なんでもかんでも守っていられるほど人は強くない。聖者である必要はない…」


リキッド「…」


リキッドは頭を抑えて苦しみだす。


ヘレス「どしたん?」


リキッド「…なんでも…」


ヘレス「そう?…苦しそうに見えたから」


リキッド「…」


ヘレス「なんか…トラウマでもあるん?」


リキッド「人が死ぬのに…黙ってみている…それって怖くない?」


ヘレス「リキッドは、正義感強いからね。特にそう思うんかな。ここの住民たちは自分のことで精一杯…不利益を請いたくない…だから見逃す」


ヘレス「いつのまにか、そんな環境に慣れてしまったわたしも…いつもノドに何か引っかかるようないやな感じかがしてるんよ。転生送還の死ぬほどの痛みよりも…そっちの方が気になって」


リキッド「死ぬのには、慣れてるのに…そういうことには慣れていけてないんだ」


ヘレス「言い訳には慣れてくるんよ。歳をとるのって嫌だよー」


リキッド「人に守られて…生かされたことがある…この街にわたしを逃がす為に…目の前で死ぬその人に…私は何もすることが出来なかった」


リキッド「…罪のない人が死ぬのが怖い…何もしないのが怖い」


リキッド「心が不安定になる…。心が崩れ去りそうだ」


ヘレス「さっきは、ああいったけど。もし、討伐したいんだったら全額だそうか?まだ若いし、人格形成状よろしくないんよ。お姉さん頼るんよ」


リキッド「いらない…たかが50万…命よりも軽い…。私の道は私がいく…私が私であるために。ここで…お金負担してもらっても迷惑…お金は必ず返す」


ヘレス「…いやまだ子どもだし…。歳上を頼るんよ」


リキッド「ヘレスも、おじさんも似ているよ。おじさんは、お金のことばっかり言うけど…出会ったその日…破傷風の患者が治った時喜んでた。本当は…治したいって気持ちがあったと知ってホっとした」


ヘレス「似ているというか…みんな、本心ではそういう風に思ってるんちゃう?この街って少ないけど義援金で…学校が運営されてるんよ…何かしたいって人間は少なからずいて…実行するかしないかの違いなん」


リキッド「お金はすぐに返すから…」


ヘレス「蓮は泥より出でて泥に染まらず…。ゴミのような街や人にも染まらない…なんと尊きかな…うぃぃー可愛いやつめ」


ヘレスは、リキッドをぎゅっと抱きしめた。


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