8話 浮気性の猫
2章
◯歯医者
リキッド「動物に懐かれたのは初めてかも」
ヘレス「うちの猫は浮気者なんよ!…誰かに勝ってについてっちゃうか心配なん。家ネコだから、世の中の怖さを知らないところもあるし不安だよ」
ベロム「新しく飼ってくれる飼い主を探してるんだろ」
ヘレス「いや〜ぶっちゃけそうなんよ。私以外には手当たりしだいに甘い鳴き声を鳴いて懐きだす…しばらくは甘い声出すけど…気がないなと思ったらすぐ諦めるよ」
リキッド「私に懐くのはよっぽどのことだよ。水中では…クジラもサメも…大抵の動物は全力で遠ざかっていくほど…嫌われるんだよね…。」
リキッド「浮気症の猫…理由はなんとなく察する。2つ以上ありそう。とりあえず…1つはだらしないとこ…。猫のためにも、今日中にヘレスの部屋掃除しないと」
ヘレス「さっき外でた時、霧が出てたから今日はやめとくといいよ」
リキッド「ここら辺がいかに複雑で入り組んだ街なのかは知ってるけど…慣れてきた。霧ぐらい…」
ベロム「あいつが言ってるのはそういうことじゃないだろ。サイレントキリングの話…霧が深い日に出てくるんだ」
リキッド「殺し屋がいるの?そもそもそんなに霧が頻繁に発生するの?」
ベロム「年間に100回は霧がでる。特に冬場は石炭を燃やすからな霧に混じって地表に滞留しスモッグと呼ばれる現象を起こす。吸い込むのは注意しろ」
リキッド「この街の汚染半端ないな…」
ベロム「毎月1人のペースで、半年前から殺害事件が起こっている。今月だけは2人だったがな…」
リキッド「…それが騒ぎになるということは、何か特徴的なことでも」
ベロム「街中と言っても家に入ってくるわけでもない。必ず、外出中に襲われること。首を鋭い刃物か何かで両断されていること。タロットカードが落ちていること。…かな特徴と言ったら」
リキッド「タロットカードの意味は?」
ベロム「特に意味はないが…殺す人数を指し示すものじゃないかってさ。78人犠牲になって終わるんじゃないか…そんな話を聞いた」
ヘレス「無差別だからね〜、犯人を絞りきれないんだよ。目撃者もいなければ…犯行の道具さえわからない」
リキッド「他に、手がかりとかは…?」
ベロム「ないな…物盗りをすることあるし、しないこともある。一貫性がないし、無差別殺人で容疑者を絞りきれない。諦めるしかないな」
リキッド「見過ごせと?」
ヘレス「解けるとしたら、その道のプロに聞くのが1番かな…」
リキッド「探偵屋さん?」
ヘレス「情報屋だよ。誰にだって得意不得意はある。情報収集を元に分析して商売している人を知っている…解けないことは情報が足りていないからかも」
リキッド「…何するにも、お金が必要か…」
ヘレス「情報屋同士で情報交換しているから必然と…濃い内容が聞ける。値は張るけど…行くだけ行ってみる?」
リキッド「気になるかも」
ヘレス「霧が晴れたら行ってみよう!」