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7話 3階汚部屋の主

〇1階・歯医者


ヘレス「(むくれている)防衛上の問題で…入国禁止になってる地域が多くて…やってられるかってんですよ」


酔っ払っていた。大事な愛猫を飼かえている。


ヘレス「(頭をさげて落ち込む)リエンの砂の国ピソークにも入れてもらえてないし…、リキッドの水の孤島ムルムルに行ったことないんよ…行けても国境付近まで。お金だけの関係でフリーの仕事ばかりなんよ。冷たいよ…みんな…」


リキッド「(迷惑そうにビール瓶を片付け)それで…何で昼間から飲んでるの?」


ヘレス「(ビール瓶をのぞき込む)無事に依頼遂行してきたからね…だから、いまは仕事ない…ただの飲んだくれなのさ」


ビールが入っていてへレスは悶絶


ベロム「(額に汗、困惑の顔)リエンの腕がくっつきそうで良かったよ…。長いリハビリになるだろうがな」


ヘレス「(目をごしごし)リエンの看守姿観たかったなぁ…。すぐ帰っちゃってさ。お姉さん寂しい」


ヘレス「(目が充血)そやそや…依頼したいんよ?手伝ってくれへんか?」


リキッド「(疑問)どっちの仕事?」


ヘレス「(楽しそうに)送還師や巫女の仕事ばかりやないで…有象無象に依頼書が届くんよ。死生観に関する蓮座想観使いだからそれしかしてないと思うやんか」


ヘレス「(偉そうに)どぶさらいやトイレ掃除もやってるよ」


ベロム「(困惑)金になる仕事をしてるんじゃないのか?」


ヘレス「(落ち込み、もじもじする)それがな…依頼書と酒瓶で部屋が埋まってな…」


リキッド「(悟った顔)…依頼って…つまり整理整頓出来ないからという…」


ヘレス「(両手をついて懇願)そう…しばらくのあいだ依頼書を仕分けして欲しいのと掃除をして欲しいということ。お金はいっぱいあるんよ。なんなら依頼書も回すし…リキッドにとって悪くないんちゃう?」


ベロム「(笑みがこぼれる)確かに…港まで。全力で送り届けてあげるとか…あったし…律儀だしな。俺への家賃もきっと払ってくれることになるだろう」


リキッドは、ベロムの顔をじっと見た。

金のことしか考えていないな…と思っているよう。


ヘレス「(両手あわせてお願い)お世話になってるだけじゃ居心地が悪いんちゃう?」


リキッド「(真剣な目)仕事は探してたよ。買いたいものもあるし」


ヘレス「(にやける)なら、決まりかな。よっしゃーここらの近くで部屋探ししゅるか。拠点を動かす。」


ヘレス「(名刺入れと依頼書が詰まったカバンを手渡す)住所変更するから、住所変更したって手紙を300通ぐらい書いてよ。要らないやつはださなくてもいいから。うぃぃそれじゃ急ぐんよ。掃除して欲しい住所はこの名刺みて貰えばわかるよ。またあとでなぁ」


ヘレスはドアを開け、それはそれは物凄い勢いで走り去っていった。


リキッド「(嫌そうな顔)なんか…雑務を押し付けて自分は好きな部屋を探しに行ってしまったよ」


ベロム「(憐れみの目で)変なのに懐かれたみたいだな…」


リキッドは名刺をみた。


リキッド「(困惑)いやいやいや…この名刺ありえないかな…彼女は有名人だよ。自宅に依頼書を届かせる?」


ベロム「(合点がいったように)…そうか…ふざけた依頼書は…仲介人が居ないから…馬鹿にしたのが…」


リキッド「(嫌そうな顔)いろんな情報が入りそうではあるけど…なんか…世話の焼ける人かな…」


リキッド「(いじわる顔で)名刺を作り直すかな。よろず屋 平社員 ビエロ・ベロム」


ベロム「(驚き)何で俺の名前を勝手に使うんだよ。名刺にわざわざ平社員とか…けなしてるだろ…仮に平社員でも平社員とは書かない」


リキッド「(真剣に)なんか…ベロムの雰囲気…末端という感じがする。ダークな依頼の場合、受ける側もベロムみたいな人だと安心すると思うんだよね…。ソフト面では私が対応出来る…。」


リキッド「(首を傾げ)いろんな情報欲しくない?屍憑きの情報とかさ」


ベロム「(考え込む)…まぁ…的を得ているか…。だが基本的に仕事は歯医者だからな…」


リキッド「(微妙そうな顔)無免許…歯医者…後ろぐらい本業だね…この地域が無法地域だから裁く法もないか」


走っていたヘレスが、とぼとぼと落ち込みながら帰ってきた。


ヘレス「(肩をおとし落ち込む)空き物件探してたら、なんかブラックリストにのってるとかで門前払いされた…」


ベロム「(ビール瓶の山をみて)掃除出来ないからだろ…。そういえばこの建物の3階にいたやつも…汚部屋にしてたな…こっちにまで被害がきたわ」


ヘレス「(思い出したかのように)…3階…いや…まさか…ここは…」


ヘレスは、外に出て周りを確認する。

ヘレス「(バツが悪そうに)何の因果か…またこの地に腰を据え用とは…」


ベロム「(困惑)…いや、それはどういう意味だ」


ヘレス「(口笛をふきながら目を逸らす)気にしない!でも、今度なんか埋め合わせするんよ」


リキッド「(2人の会話をよそに小声で)まあ…訳ありの人間はこの街には多いよね」


一枚の手配書を手にするやいなや破り捨てる

上記の者の捜索依頼

同法の殺害、及びクーデター画策に関わった疑い

指名手配犯につき、生死を問わず

手紙にはそう書かれていた

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