表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/26

3話 吸血鬼ミヒ

〇路地裏


包帯を剥がし、右目の眼窩からねずみを取り出す。


謎の少年「(落ち込み)ここは、とりあえず保留…」


手持ちのバッグから地図をだし、マーキングする。


〇一階・歯医者(夜中2時)


リキッドは物音で目が覚める。一階にある診察台ベッドを使っていた。

2階は彼の居住スペースになっている。

2階から降りてくる物音がする…。

ドアを開く音がする。

あとをつける事にする。


〇どぶ川近く


砂が盛られてあり、お墓のようであった。

座り込み、両手を合わせているベロムの表情は寂しげにみえた。


リキッド「(後ろから)死者をいたわるって面かな…おじさん」


ベロム「(嫌な顔)なんだ、つけてたのか…。四六時中監視されてるみたいで嫌になるぜ。感傷に浸るヒマもくれないとわな」


リキッド「(申し訳なさそうに)無粋な勘繰りだったと思う。その墓には誰が眠っているの?」


ベロム「(首から下げているロケットをみて)娘だよ…。生きていたらお前ぐらいの歳だったかな。化け物に襲われてな…それが原因で妻とも別れて…」


リキッド「(申し訳なさそうに)化け物ってどんなんだったの?」


ベロム「(悲し気に)屍憑きというらしい」


リキッドの目は鋭くなった。眉間にシワをよせている。


リキッド「(険しい顔)詳し…」


言葉を言い終える前に、甲高い声が鳴り響く


ミヒ「(闇夜で声だけが響く)アハハハハ」


何かが近くの壁にぶつかるような、鈍い音がした。

ベロムとリキッドは、現場に駆けつけ遠くから見守る。

人影の方をみた。

黒を基調とした服装をしており、闇夜に馴染んでいる。

ショートパンツにタイツを履き、腰にはウエストポーチ。

胸を少し開いた服は少し色っぽい。

昼間見た絵の人相だった。

絵とは違って、とても陽気に見える。

塀にもたれかかるように、昼間の少年が立っていた。額から血が出ている。

包帯が取れて眼窩が気持ち悪く覗かせていた。


謎の少年「(苦しげに呼吸をみだして)土想観 砂時雨」


雨粒のように小さな塊が、女の全方位を取り囲む。

やがて針のように尖った形を形成していく。

女は少年に睨みを利かせた。

全て元の砂に変えてしまう


リキッド「(冷静に)私たちが使う観法は浄土の様子を想い発動させる。怯える心が…一瞬の空白を与える。闘いに慣れていない人間には恫喝や威圧が効いてしまう…だけど…少年はそんなことタマじゃない…」


砂煙が女の視界を奪った。

カバンの中から取り出した小瓶をとりだす


謎の少年「(右手を横に伸ばし)土想観 ドブ鼠」


毒々しい色をした砂が、少年の拳にまとわりつく。


謎の少年「(額に汗、険しい顔)麻痺毒だから安心して…殺しはしない」


ベロム「(関心して)わざと解除して、視界を奪ったのか」


リキッド「(意味ありげに)殺さないじゃなく…殺せない…って感じ」


拳をぶつけようという瞬間に、目にも止まらぬ速さで、少年の右腕が切断される。

己の爪だけで…。身体能力が違いすぎる。

少年の叫び声に、リキッドはとび出し少年の前にたつ


リキッド「(鞘に手を伸ばして居合い切りの態勢)氷想観…氷刀阿修羅」


女は、下に落ちていた瓦礫を投げつけた

リキッドは一刀両断にした。


べロム「(理解できない表情で)氷の刀がなんでそんなに硬いんだよ。」


リキッド「(知的アピールするように)14%のおがくずと86%の水を混ぜて凍らせると弾丸も防ぐ強度になる。そのパイクリート技術を応用している。」


リキッド「(誇らしげに)自己ベストはHRC300…鋼やサファイヤすらも超える」


女は屋根に飛び乗った。


ミヒ「(まったく動じていない)私は、血抜きの吸血鬼ミヒャエラ・フィリッチェ。私は何者にも縛られない」


ウエストポーチの中には、悪い顔をした鼠が顔を覗かせていた。

ミヒャエラは闇夜に消えていった。


リキッド「(不安げに)…吸血鬼…屍憑き…最近は変わった話ばかりだな…」


謎の少年「(床を這いつくばり)…仲間に連絡…しない…と…はぁはぁ」


ベロム「(叱るように)そんなことより怪我をなんとかしないとだろ…」


リキッド「(悟っているかのように)少年の気持ちもわかる…土鼠の弱点は水…。雨が降れば目標をロストする可能性がある」


謎の少年「(痛そうに顔をゆがめ)…鋭いなぁ」


リキッド「(注射針を刺しながら)仲間に合わせてあげたいけど、今は眠っててもらえる?」


リキッド「(少年の体を抱き寄せる)今は、傷の処置が最優先…傷口が鋭いからくっつくかも…最悪、応急処置をしないと…死ぬ…」


ベロム「(またこれかという呆れた表情)義理はないぜ?」


リキッド「(バッグをあさって)義理はないけど、金はありそう…」


ベロム「(険しい表情で)すぐに処置しなければ…本当は専門に任したいが…信頼出来そうな医師がこの街にいねー。下手すりゃ臓器売買の的にされる。今やれそうなのは俺しかいない」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ