23話 ガードはしない
5章
◯歯医者の前
逃げ惑う人の声…。獰猛な獣の声にベロムたちは歯医者前へと飛び出した。
ミルは、普段とは違い…背中にハンマーを背負っている。
リキッド「オモテが騒がしいと思った…」
ミル「ファットバーグの他にヤバそうなのがいるよ」
クラージュ「…三尸の一人…クラージュ…お相手願う」
ファットバーグ5体と、電気を帯びた武装した虎が前にはだかる。
リキッドは、ファットバーグに目を向けた。
リキッド「…氷刀阿修羅…。この前の一件で理解している…」
リキッドは、ファットバーグの攻撃をかいくぐり直進した。
リキッド「同じ轍は踏まない」
リキッドは凄まじい一撃を放つ。
しかし、ファットバーグは身じろぎひとつしない。
辺りには、金属音が響く。
リキッド「…鉄か…鎧だね。拳銃は効くのかな?」
拳銃を撃ちまくるが、効いていない。
ヘレス「…いつの間に拳銃なんか…」
ベロム「いつも…こっそりくすねるからな…」
ファットバーグのヘドロ攻撃をする。
避けきるのは難しいようで…リキッドから煙をあげた。
ミル「…予想の範疇…だね…」
ミル「グリーシー・グリーモアウッドの名において命ずる!我に力を貸し与えたまえ」
何かが、ミルの身体の中をグニャグニャと動き回る。それは太いミミズのようだった。数百を超えるようなそいつらが全身をさまよう。やがて、そいつらは落ち着いた。ミルリトンの目は、白目は無くなり真っ暗な瞳を相手へと向ける。
ミル「喰らえバルモザ」
ミルの心臓の鼓動が大きくなる。息が荒くなり苦しそうにする。
リキッド「…時喰らいのバルモザ…って自分の寿命を削って…」
ミルは、今まで以上に素早く動く。建物を蹴り…あたりに音が響く。
リキッド「…早過ぎ…でも、目で追えないわけでもないかな」
ベロム「身体はまだ、スピードあげれても…肝心の目が追いつかないんだろ」
ミルは、ファットバーグの真上にまで上昇した。回転しながら、ハンマーをファットバーグに向けて振り下ろす。
ミル「回転兜割り」
金属音が響く…。ファットバーグは力尽きて倒れる。
ベロム「いくら、武装しようが…振動までは殺せんからな…脳を破壊するぐらい簡単だ」
リキッド「…私は、ファットバーグに対して有効打を持たないからな…虎を相手にしないと」
リキッドは、虎に対して睨みをきかせた。
虎は、腰をひく…若干怯えている。
ヘレス「ヘイトスキル。だね…よほど動物に嫌われる体質みたいな…」
クラージュ「大丈夫だよ。安心して…武装してるから…それに電気帯びてるし…ね!」
リキッド「たかが…動物相手に…負ける気がしないんだが…」
虎「グルルル」
虎は、一直線にリキッド向かって突進した。
リキッド「…スリップ」
リキッドは地面の一部を凍らせた。
虎はその床で滑ってしまう。
クラージュは虎とは別の場所に飛ばされてしまった
リキッド「シャンツェ…飛べ…」
ジャンプ台を作りだして、虎はそのまま宙を舞った。
リキッドの頭上を飛び越える。
リキッド「氷床針地獄」
氷の針が虎を襲う
赤い液体が床を這う。
虎の体内を電気が走る。
リキッド「動き安さ重視に武装するからそうなる…祝福も内臓まではできなかったみたいだね」
クラージュは慌てて、電気のスイッチを切った。
リキッド「終い…みたいだね」
リキッド「氷刀阿修羅…」
クラージュは虎の前に立ちはだかる。
クラージュ「…私の命ひとつで…勘弁して…欲しい」
リキッド「…」
リキッド「…虎が大事?じゃあ何故戦闘にだす」
リキッド「…戦場に情けをもらえるなんて甘いかな…」
クラージュは虎に覆い被さる。
クラージュ「…食費が…かさんで仕方がなかったんだよ…」
リキッド「…はい…?」
クラージュ「…一日…40kgの肉なんか…用意出来なかった…私が悪い」
リキッド「…強い…信念が…あるわけでもなく…ニエラに侵されているわけでも…ないと…」
ベロム「…」
ベロム「マフィアに…動物と意思疎通の出来る人間…が…いると聞いたことがある。おまえか?」
リキッド「…ええぃ…やりづらい」
ヘレス「ニエラの手がかり知ってるかもなんよ!ここは、様子見も必要なん!
リキッド「…捕らえる…と…トラだけに…」
ヘレス「…今日は冷え込むんよ…」