20話 祝福師
◯歯医者
リキッドはベットの上で起き上がる。
包帯でぐるぐる巻きにされていた。
ベロム「おい!大丈夫か!」
リキッド「あ…れ…?ここは…あぁ…そっか…」
ヘレスは、リキッドに抱きついた。
ヘレス「ひぐっ…えぐっ。よかった…ほんと…よかった…よ」
リキッド「…染みる…し、痛いかな!」
リキッドは、無理やりヘレスを剥がそうとするが…離れない。
リキッド「ヘレス…邪魔…。というか誰だ…こんな大袈裟に包帯巻いたのは…そんな重傷じゃなかったよね」
リキッドは、肘を入れて…距離をとった。
さらに、足で距離をとる。
ベロム「何があった?」
リキッド「ニエラって、より強い刺激を求める性質があるみたいだね…。アムールにやられた」
リキッド「あれは…多分かなり前から、寄生虫に頭をやられてるよ」
リキッド「マフィアとの抗争に、巻き込ませた…。アムール自体がマフィアの幹部の一人だったんだから笑えるよ」
ベロム「あいつが…まさか…。俺が余計なこと言ったばっかりに…すまん」
リキッド「おじさんが、人助けしたいと思ったことに私が同調した。それだけ。逃げようと思えば逃げられた…」
ベロム「…何故そんな怪我になったんだ…」
リキッド「ヘドロの塊の化け物をひきつれてた…」
リキッド「祝福師というのかな…毒耐性を与えられた人間…名前はファットバーグ」
ベロム「…厄介な力だな…。やりようによっちゃもっとヤバいことになる」
リキッド「だろうね…実験段階って言ってたからね」
リキッド「…」
リキッドは深く考えこみ、やがてため息をつく
リキッド「…ほっといても…向こうからまたやってくる…刺激に飢えている…」
ベロム「三十六計逃げるに如かず…ここは…逃げるのが1番だ」
リキッド「…イライラする…何故逃げる必要があるのか」
ベロム「…戦って負けたんだろうが…。俺が悪かった…頼むからひいてくれ!もうこれ以上怪我をしてくれるな…」
リキッド「…私の勝手…指図は受けない」
リキッド「…それに、ニエラの手がかりが…この街にある。第2、第3の悲劇を起こさないためにも…情報源であるマフィアを野放しに出来ない」
リキッドは、ベロムの胸ぐらを掴む。
ヘレス「うーん…争ってる場合かな」
ヘレス「…そもそも…今回の件の目的はなんなんかな」
リキッド「…それ気になる」
ベロム「この街の人間を皆殺し…だったらそんな幼稚な話はない」
ヘレス「…この街の在来種にニエラなんかないと思うんよ。何らかの目的があり…この街に持ち込まれた…」
リキッド「マフィアが利用したのか…あるいは利用されているのか…」
ベロム「下手したら、戦争の火種になる案件なのは間違いない…」
リキッド「そうなったら…真っ先にここは焼け野原…だね」