2話 来訪者
〇一階・歯医者
ゴミ屋敷問題が解決したからなのか、お客がまた戻ってきはじめていた。
リキッド「(嬉しそうに)おじさん。どうしたのその食料?」
ベロム「(大事そうに抱える)マシな食料を調達するぐらいわけない。街に毒餌が蔓延してようが、そんなん食うかよ」
リキッド「(思い出す)んー…そっか聞いたことある…闇市かな」
リキッド「(暗い顔でパンをにぎる)水マフィアによって地下水が大幅に給水され…。井戸が枯れたところもある。食料は廃棄された残飯や盗んだものあるとか…」
リキッドは、ベロムの顔をじろじろとみた。
リキッド「(考え込む)水マフィアは…規模がでかい組織になりつつあるからね…。この人たちからは買うべきではないんだよね…。安全性はマシなのかもだけど」
ベロム「(溜息をつく)水とパンを確保しつつ、何言ってんだ。お前を思って買ってきたのに」
ドアにつけられた鈴の音が鳴り響く。
誰かが入ってきたようだ。
ベロム「(頬張る)むぐもぐ…いらっひゃいまへ」
リキッド「(呆れたように)食べながら喋るとか、マナーのないおじさんだな…」
13歳ぐらいの少年。
ひどく頼りないといいった感じ。
右目には包帯をしている。
短パンで、膝小僧を少し擦りむいている
謎の少年「(転びながら)うわっ!とととっ」
入口のところで、少年は蹴躓きその場で倒れてしまった。
謎の少年「(服の埃をはらいながら)お食事のところすみません。私は、客ではないのです。お尋ねしたいことがありまして。こんな顔の女性は見たことありませんか?」
手描きの絵にしては、よく出来ていた。
長年人に虐げられていたような、諦めに似たような顔を浮かべた少女。
服装は…患者衣…。
多少の顔の幼さはあるが…服を押し上げるその胸は大きい
ベロム「(疑問顔)まったく知らないな」
リキッドは、ナイフを持ち床に向かって投げた。
飛んだ先には、ネズミがいた。
当たった瞬間に、ネズミは砂にかえっていった。
少年は一瞬渋い顔をし、くぐもった声でいった。
謎の少年「(額に汗、渋い顔)そ…うですか…」
すぐに、元の笑顔に戻った。
謎の男「(頭をさげて)お手数お掛けしまいました。では…」
少年は店を立ち去った。
リキッド「(顎に手をあててキラーン)土想観だね…偵察用の土鼠って技だったかな。片目の代償は払うけど…その分視野が広くなる。常時発動型で…死なない限り消えない」
ベロム「(疑問を抱いて)なんか、あったのか?」
リキッド「(首を振る)ううん、何でもない」