18話 ファットバーグ
4章
◯狭い路地
人の肩幅より少し広いだけの狭い道…。上を見上げても…電線や…謎のパイプがデタラメに入り乱れる。
閉塞感溢れる場所。
不快な匂いがあたりを包み込む。床を這う液体が煙をあげ、周囲のあらゆるものを溶かす。
ドロドロの液体を全身にあびたそいつを眺めながら、アムールは話した。
アムール「うん…いい匂いだね。ファットバーグは刺激的だよ。わたしにはもの足りないけど」
ファットバーグ「ゔゔぁゔ」
アムール「…こんなことをしているというのに…罪という意味しか理解していない…悪いことは理解出来るが…気持ちが思い出せない」
アムール「…刺激…より強い刺激がなきゃ私の感情は…取り戻せない…私が私であるために…より強い刺激を求める」
アムールは、自分の手にナイフを刺した
アムール「あはっ…生きているって感じがする…」
アムール「…自分が自分じゃなくなっいく…」
◯歯医者
ベロムは、頭を抱えている。
ベロム「…この案件はまずいか…しかし、無視も出来ない…頼むのは…危険か」
リキッドは、機嫌が悪そうに言った。
リキッド「集めておいて…何をぶつくさ悩んでるのかな」
ベロム「…頼みたいことがあってだな」
リキッド「…おじさんが頼みごととか珍しい」
ベロム「厄介な噂を聞いてな…ニエラという花…を探して欲しいんだ」
ヘレス「聞いたことないんよ」
ベロム「性別が3つある…珍しい植物なんだが。色の種類は8種類。そのうちの1種類を探しもらいたい」
リキッド「なんで、そんなものを…」
ベロム「…寄生虫が宿る花なんだよ」
リキッド「…詳しく教えて」
ベロム「中枢神経を刺激して、高濃度のシンナーを吸った時のような…派手な笑気に襲われたり。無感情症を引き起こし…善悪の判断、感情を麻痺させてしまう。脳内麻薬であるβエンドルフィンを分泌させて…心地よさを与えたりするものらしい」
リキッド「寄生虫っていえば、カタツムリの触覚に寄生してイモムシに擬態する…種類がいたな…。軽い行動支配をする程度だけど」
ベロム「このニエラというのは…そういう類いのものさ…それが出回っている」
リキッド「…誰がそんな…」
ベロム「知らんな…厄介なのは人体のリミッターを解除したり…骨太になったり…。それで暴れられたらたまったもんじゃない」
リキッド「人助けなら、喜んで引き受ける」
ベロム「…おまえ…猪突猛進だからな…やっぱり俺が仕事合間に調べた方がいいか…」
リキッド「…不安…そうだが…」
ベロム「…今までのとはわけが違う…。相手は力強い生きた人形…!小細工で乗り切ることなんか出来ん。戦闘になっても俺は役にたてんからな」
リキッド「…全く、信用してないと…」
ベロム「頼りたいがな…隠密に活動とか出来ないだろ…」
リキッド「でも、おじさんが調べたら時間だけが過ぎていくんじゃない?…危なそうなら逃げるし大丈夫」