12話 神話
◯歯医者
リキッド「というわけで、49万ミルの借金背おったから…家賃も払えないし食費も出せない」
ベロム「逆に清々しいなぁ、おい!堂々とし過ぎだろうが…この厄病神が!」
リキッド「なんとかする!」
ベロム「そればっかじゃねーか…。この先が思いやられるぜ」
ヘレス「みてて、面白いね。2人とも…」
ベロム「元はと言えば、変な情報屋を紹介したのがお前なんだろうが…この先どんだけ借金させるつもりなんだよ」
ヘレス「サイレントキリングの情報を売ったから、1万ミルのキャッシュバックあったし…逆に情報を売りまくる未来もあるかもしれない」
ベロム「あるか…そんなん!」
リキッド「私達はいつまで正座していればいいの?こんなん1ミルにもならないよ。ベロムの嫌いなことじゃない?」
ベロム「反省しろと!」
二人「反省する点が見当たらない」
ベロム「お前らなぁ…」
ヘレス「代わりに面白い情報をあげるんよ」
ヘレス「吸血鬼の件の情報…聞きたくない?」
リキッド「あれは…秘密裏の件なんじゃ…」
ヘレス「それとは、別件なんよ」
ベロム「どういうことだよ」
ヘレス「思い出したが…正解なんかな。16年前…私が5歳の頃…。私が最初に住んでいた国で名前を聞いた気がする…場所は、神木の上の大国…最古の国…デア ヴァルトアストルク」
リキッド「16年前…私が生まれた年かな…。国内以外のことはあんまり知らないんだよね…生まれも育ちもムルムルだから…」
ベロム「…」
リキッド「おじさん、どうしたの?」
ベロム「いや…確か王朝はその年に滅びた気がしたからな…」
ヘレス「共同国王で、女王も国王も地位は等しかった…。その女王がミヒャエラ・フィリッチェ…だったはず…」
ベロム「…名前は初耳だな…不死の伝説は聞いたことがあるが…」
リキッド「どんな伝説?」
ヘレス「3つの世界、4つの扉、8つの鍵…ウチの国の神話に出てくる話だよ…多分、それの語りで吸血鬼と名のり…不死性を表すことによって特別な象徴にしたんじゃないかなと…」
ヘレス「女王は一つの扉であり鍵でもある…国王もまた鍵である」
リキッド「神話のことはよくわからないからなんとも言えないけど…3つの世界か…こういう話は苦手かも」
ヘレス「面白いんは、ここからなんよ…王朝が滅びた理由が屍憑き…って話。ベロムも知ってるんでしょ」
ベロム「…なんの因果か…知らんが…屍憑き、吸血鬼の組み合わせは…不吉なものを感じるな」
リキッド「…この前のは屍憑きは吸血鬼を生かして捕らえようとしたってこと…?」
ヘレス「それは、知らないけど…この件はピソークとデア ヴァルトアストルクの国に関係ある…ということは間違いないってこと…。国王、女王の生死は知れず…」
リキッド「他に生き残りはいるの?」
ヘレス「宝樹観を扱う人間だけは…避難出来た。それがキッカケであそこは部外者立ち入り禁止…私も…距離置いているというわけ。私にとっては屍憑きを見分けるために巫女の仕事を始めたキッカケなんよ」
ヘレス「自由に出入りしている国だと…日想観を扱う国では屍憑きはみたことがない…体温ですぐにバレるからね…。日想観使い…あそこは飛び地多過ぎ…1つの国というか…4つの国?って言った方がいいのか…。共存共栄でピソークの国もいたり…。民族としては…自由な人柄」