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 それは唐突な出来事である。

 彼女はそれを見ていたというのだ。

 結局彼女に対して、何も弁解の余地は無い。



「そうそう。転移系のトラップに引っかかって仕舞ったんだ」


「おお、ということは、二十階層をゆうに超えるレベルの冒険者なんですね!!

 憧れます! でも、どうして、こんな低階層で迷子に?

 あ、そうですか。マッピングしていたのに、別の場所に瞬間的に飛ばされると方向感覚がなくなってというか、わからなくなるんですね!

 魔法に頼らない、その地道な努力、私は好きですよぉ」


 何を言っているのか。彼女は、勝手に勘違いをして、ウンウンと腕を組んで頷く。

 ヨシヒトは、勝手に勘違いしてくれて好都合ではあったが、しかし、このダンジョンに罠、トラップがあることに驚いた。

 これまで、一度も引っかかっていない。トラップ系などは二十階層より下にいかないと無いという認識でいいのか。


ーーーーーーーーいや、あの宝箱。あの馬顔のモンスターとの戦闘は、トラップ意外に考えられないな。


 あの階層は、どこだったのか。

 このダンジョンの階層レベルというのは一体どれほどなんだろう。

 それを確認しないまでには、迂闊にこのダンジョン産のドロップアイテムを市場に出すわけにはいかないか。

 いや、匿名ならば問題ないのでは無いだろうか。


 ギルド経由なら、足もつかないだろうが。


 あの巨大なコンピュータに管理されているという、この時代の人間が、あまりデータ上での不自然な何かを気にする事があるのか。

 

「それは、傲慢だな」


 地球という場所からこの世界にきて、そしてこの世界の人間を見下して仕舞っている。


「どうかしましたか?」


 彼女は、こちらを見て、不敵な笑みを見せているヨシヒトを見てそう言った。

 ダンジョン。この異世界。色々と謎なことが多い。


 一旦帰って、電子書籍なり、この世界の情報を集めて見るのが先決か。


「そういえば、自己紹介してませんでしたね。私は、カノン。

 カノン・ディジア。ダンジョンに潜り始めてあまり時間は経ってないのですが、低層のマップはある程度頭に入ってますので、ご心配なく」


 彼女ーーカノンははにかんでヨシヒトを見た。

 其の蒼い瞳と、黒髪。どこか懐かしい顔立ちをしている。

 日本人のような、そんな顔つきでは無いが、親近感を覚えるような、そんな笑みだった。


「俺は、ミウラ・ヨシヒト。あー、ヨシヒト・ミウラの方がいいか」


「姓と名前が私たちとは逆の国から来たんですか? じゃあ、魔族の方とか?

 きゃー、怖い」


 あまり怖そうな演技では無いが。魔族というのが存在しているのか。

 まぁ、あのいくつかの選択肢には、魔界都市みたいな名前はあったが。

「その、魔族とはなんだ? あまり知識には疎くてな」


「魔族ですか? 魔界都市のダンジョンにアタックしている冒険者さんたちは、体がそのダンジョンに侵食されるそうなんです。そして、魔法とか、そんな才能に目覚めやすくなるとか、ならないとか。そんな話を聞きますね」


 魔族とか言って、差別とか、偏見とかが無いのか。

 魔族は、魔法が使いやすい人間のことという認識でいいのか。

 魔界都市には、一度行って見てもいいかもしれないな。


「では、魔界都市の出身では無いのですね」


「ああ、別に、そこはどうでもいいだろう」


「そうですね。では、出口に案内しますよ。こっちです」


 カノンは、ゆっくりと足を踏み出し始めた。

 ダンジョンの外に出たのは、それから二時間が経ってからだった。



次はいつになるでしょうか?

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