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 目がくらむような光。その光が少しずつ弱まる。

 網膜がその光に慣れたのだろうか。それともその光が弱まったのか。


 二人はその光景に圧倒されていた。


 天に昇るほど高いビル群。

 

 何十にも何百にも一本の道を挟んで奥まで続いている。


 一面の銀世界に動く生命は二つしかなかった。

 

 この世界にはヨシヒトとドラケンしかいない。


「なんだここは」


 ヨシヒトは思った。ここは近未来SF世界に出てくるような全てがAIに管理されたような効率だけを求めた理想都市ユートピアではないのかと。

 そうだとすれば、肝心な人間はどこにいるのだろうか。


 ヨシヒトの予想は、遠くもなくそれほど近いというわけではなかった。


『ようこそいらっしゃいました。おおよそ64329年ぶりの知的生命体との会話ですが、言語はこれであっているでしょうか。

 なに分地上の管理をしていますが、会話という会話は初めてです故』


 声が空から聞こえてくる。

 ある程度心構えをしていたヨシヒトにとってそれはおかしなことではないので驚くことはなかったが、ドラケンにはそんな耐性がないのか共学で顔面が凍りついていた。


 ゆっくりと地面が動き始める。

 行き先はビル群の谷間を抜けた先にあるのか、いまはその先すら見えてくることはないが。


「ここはどこだ」


 単なる疑問。今の今までダンジョンに居たはずなのに、階段を降りたら一面別世界。

 地上とはまた異なる世界観ではあるが、一応ここも外なのだろうか。それとも地下にある世界なのか。


『そうですね。まだ数分かかるでしょうから簡単に説明をしておきましょうか』


 空からの声がそういった瞬間に、ヨシヒトの目の前に光が集まり始める。


 どこからともなく飛来したそれらは一つの集合体になって人型を型取り始めた。


 まだポリゴンの塊である。拡大しすぎた画像みたいに、はちゃめちゃな色で、単なる光の塊である。

 それがゆっくりと足元の方からピントが合うようにはっきりした体を取り始める。


 裸足であった。そこから伸びる足首から上はとてもバランスのいい肉付きで、一種のエロスを感じる。太ももから上には少し短いスカートを履いている。紺色の制服のスカートのようなものである。靴下もなにもないので絶対領域もなにもないが、上半身は胸だけを隠す水着のような薄い下着姿である。

 その胸はちょっと力強く押し潰されているが自然体ではすごく大きいのだろう。


 そんな体をじっくりと眺めていると実体化した「彼女」が首を傾げてヨシヒトを見るのだから少し自重もする。


 目が合うが、とてつもない美少女だと実感する。実際はヨシヒトの守備範囲ではないので「綺麗な人」程度の枠ではある。


『どうでしょう。肉体があった方が喋りやすいでしょう。だから実体化して見ましたよ。

 しかし、オスと言うのは結局皆同じような思考をしていますね。でもメスよりバラエティが豊富です』


 ふふふと口元を押さえて笑う「彼女」は、それはそうと。と続ける。


『最初の質問に答えましょう。ここは「ヴァルヴ」。ここが世界であり、世界がここでもあります。

 簡単に言えば、あなた達の世界の過去です』


「は? すまないが俺はそもそもこの世界の人間ではないんだ。この世界が元々なんなのか、それすら理解していない」


『仰りたい事はわかりますよ。でも、その世界もヴァルヴだといっているのです』


 彼女は「おバカさん!」とウインクするが、し慣れていないのか片目は瞑れているがもう片目も半目になっている。とてもリアルに出来ているとヨシヒトは思うが。そこ言葉が引っかかる。


『どうなんでしょうね。まぁ作り出されたニンゲンが理解できるとは思いませんが、

 そもそも世界とはなんでしょうね。知っていますか?

 ここが世界の全てですよ?』


「そうだな。言葉足らずすぎる。簡単にしすぎだ。

 もっと詳しくっ説明してくれないとわかるものも解らない」


『そうですね。まだそのレベルではなかったのですね。

 期待していましたから。一人でバグか何か、異世界渡りをしたのですからね。

 んー、ものは例えでしょう。

 ここにはゲームがありまして、そのサーバを独自に管理しています。何千、何万もあるサーバが一つの世界を作り出しています。

 そのサーバをなんの保護も援助もなく移動したのがあなたですね。

 世界は一つのサーバを指しているのです。つまり、元の世界? と言うのでしょうか?

 いえ、違いますね。厳密にはあなたが見ているこの世界も違ったものになりますし、どう説明した方がいいのか。


 あ、今の例えも忘れてください。大まかにはあっていますが、少し違いますから。

 ちょっと待ってくださいね。今割けるリソースを使って言語化を試みています』


 しかし、今の今までドラケンが一言も喋っていない。

 そう思ってヨシヒトはドラケンがいる方向を見たのだが、ドラケンはピクリとも動いていなかった。


 呼吸すらしていなかった。



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