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 ドラケンの鉄槌は、そのモンスターに吸い込まれるが、しかしなんの効果も、ダメージも得られないでいた。

 

「な、なんじゃぁ。こんなモンスターは見たことないぞ」


 こんな低層の隠し部屋のモンスター、ドラケン自身が出るまでもないと思っていた。

 だが、すでにカイエルは部屋の隅でのびており、戦える状態ではない。それに、彼を守りながらでは、ドラケンも全力では戦闘できないでいた。

 結局、ドラケンは全てを破壊することしかできないのだから。


 それでも、時間をかければ倒せない相手ではないことは、はっきりしている。


「こんな程度に負けるわけがない」


 スライム状の、半透明なモンスター。

 それは、触手で攻撃して来る「酸」を攻撃の中心に据えて、武器などを溶かす。


 しかし、溶ける武器防具というのにも条件があり、武具のレアリティなるものに関わって来る。

 この【破壊の神鉄槌】の場合、「神級」出ることが名前から推測できるので、スライムの酸で溶かされることはまずない。

 今回の酸で溶けるのは、「レア」と言われる、人間が作り出した一品のみ。

 ダンジョンから取れる、スーパーレア以上の武具が解けることはないのだ。


 その点、カイエルの身につけている防具の類一式は、全てダンジョン産であることから、溶かされる可能性は全くの無であるのだが。


「貧弱が。精神攻撃で気を失うとは。軟弱にもほどがあるぞ」


 このスライムは一般的なスライムとは違って、魔法攻撃を仕掛けて来るのだった。


 振り上げられた触手に合わせて、ドラケンはバッグから取り出した投げナイフを投擲する。

 それだけでは効果はないが、そのナイフには、色がついており、スライムを倒すときに核に攻撃しなければならないが、その核に色をつけるための染色液を多少つけていた。


 だからと言って、すぐに染まるわけではないので、何度も何度も繰り返さなければならない。

 それに、この大きさからして、恐らくは持ち合わせているナイフ程度じゃあ染まりきらない可能性の方がかなり大きい。

 大柄なドラケンを優に超える、ダンジョンの天井にもつきそうなほどに。

 結局は、10m以上はあるだろう。


 それでもなお、死なない自身があるドラケンは、よほどの自信家であろう。

 そうでなければ、馬鹿でしかない。

 しかし、そうとも言わせる実力があった。


「めんどくさいんじゃが」


 鉄槌に力を込める。

 それは魔力。破壊の鉄槌の威力を上げる為に喰われるその量は人間の大人の平均を1として考えて、1000を余裕で超えるくらい。

 それをドラケン一人で賄うことができることから、バケモノと称される一端が見える。

 それに、その一撃をくらって、動けるものどころか、地域そのものを破壊し尽くせるほどの威力であるからして、おおよそこの部屋で撃てば、カイエルは無事ではすまない。


 それは、自重される。

 全力の半分の半分でも、十分であろうと考えられる。


 それは、ドラケンの個人的な考えであるが。


「オンリャああ」


 叫ぶ声。そして、振りかざされる鉄槌。

 破壊の権化が、ダンジョンの床一面に叩きつけられ、それを中心にひびがはいる。

 それだけではない。

 そのヒビから黒い光が漏れる。 

 バキバキと音を鳴らし、その光は徐々に一面を照らし、世界は真っ黒になる。



 それを真近で直撃するスライムは、ドラケンからすれば、すでに死んだ敵だと判断された。


 そのはず、その光が光量を失い、世界が他の色を取り戻した時、スライムはその体の1/10にまで小さくなっており、動きもしなかった。


「結局はこうなるか」


 ゆっくりとスライムへ近ずく。

 それは、とどめを刺すだけの「はずだった」



 スライムが発光する。

 今先ほどの黒い光ではない。

 真っ白の純白の光。


「な、なんじゃああああ」


 その光を直視できない。しかし、直感から、その鉄槌をそのスライムがいるはずの場所に叩きつける。

 にちゃりと、何かが潰れる感覚が、ドラケンの手の中に感触として残った。


 だが。次の瞬間だった。


 鋭い風が、ドラケンの頬をよぎった。

 そして、その痛みは突然だった。


 腹に二つの穴が空いた。


「ごボッ」


 口から血が溢れる。

 久々の吐血だった。


 そのスライム。 

 その下腹部から生える触手は、あろうことか、とても尖った刺突系の形をしていた。

 

「刺し殺すつもりか」


 その手に握る鉄槌を、持ち直す。

 また強く握る。そして呟く。


「少し、これは、やばいかのお」


 本気を出さなければならないのか。


 考えた。これは、400層くらいの隠しボス程度の強さはあるかもしれないと。


 第二段階のスライム。

 いや、そのスライムにはもはや原型がない。

 速さを中心に考えた設計をされた「スピードフォルム」。


 触手が二本動いた。

 その両腕は体の中心の前に少し間をあけて構えられた。

 その間には、光が集中し始める。

 これまでの経験則からすれば。


「これはビーム攻撃か」


 瞬間、部屋全体が真っ白な光に覆われる。

 キーンと音が遅れて聞こえる。

 しかし、ドラケンに痛みはない。


 痛みを通り越したか。


 いや、違う。


 部屋として仕切られていた、ダンジョンの壁が一面存在しなかった。

 とてつもなく広い部屋になった。


「ダンジョンの壁を壊せるほどの攻撃か。それは、誰よりも強い」


 ドラケンジは、ヒビさえ入れることはできるが、完全破壊は無理だった。それは、全力の攻撃を持ってしても。

 しかし、このスライムは違う。


 そこでふと思い出す。


「カイエル!?」


 真っ黒でボロボロになった、鎧だけがそこにある。

 その鎧を着ていた本体は、見当たらない。というか、存在していなかった。


 その代わりに、その場に別の人間が立っていることに気がついた。


「だ、、、、誰じゃ」


「通りすがりの殺人者」


 男は、そう呟いた瞬間だった。


 スライムは、弾け飛び、四散する。


 光となり、その場には宝箱しか残らなかった。

 

 その宝は、カイエルが本来得るはずだったもの。

 そして、今回は、この男が横から現れたが、手に入れたもの。


「これは」


 宝箱の中の小瓶を見て、その男は発狂した。 

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