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「本当について来るのか?」


 カノンに問いかけるが、「はい」の一点張りなので、もう気にしないことにした。

 それに、カノンについてはどうでもいいので、どこか、浅いところで振り切ればいいだろう。

 あまり、「ハイエナ行為」というものを見られたくはない。最低でもその程度の恥じらいと常識はあるつもりだ。

 いや、今のヨシヒトの能力、スキルをみれば、ハイエナ行為と言えど、あながち犯罪、間違い、咎められるものではない。

 【強奪者】。その能力は、アイテムボックスに入れたものは自分のものになる。というもの。

 結局、それの効果はあまり実感はない。それが誰のものか。それはなんなのか。

 現状でそれが気になる、気にしたことはないからでもある。


「ところで、ヨシヒトさん。武器って何を使っているのですか?」


 痛いところを最初について来る。


 ギルドから出て、ダンジョンへ向かう道。

 あまり人通りが少ないのは、今日もエルフとドワーフの抗争があったからか。

 しかし、昨日に比べては、遥かに活気があるのは確かだ。


 流石に、2日連続で冒険者業を休むわけにはいかないのだろう。

 結局、入り口についても、順番待ちで少しだけ時間を使った。その間に、カノンの質問に答えたのだった。


「そうだな。武器か。あまり考えたことはないな。言っただろうが、俺は昨日冒険者になったばかりで、それ以前は戦闘をするような職じゃないんだ」


 当然だ。そもそも、この世界にきて、ギルドに入って冒険者にはなったが、実は職業は

「大学生」のままなのだから。


「そうですか。でも、どうして深層に行けるんですか? 実はトラップに引っかかったのは嘘なんですか?」


「そうだな。嘘でもあるし、嘘ではないとも言えるな。結局、お前は俺の何なのかによって、応えられる範囲が決まるが」


 そうだ。異世界に来て、何が変わったわけでもない。こうやって、言葉が伝わればそれだけ詐欺に引っかかる可能性だって、犯罪に巻き込まれる可能性だって上昇する。

 結局、言葉の伝わらない地方の方が、身に感じる相対的な危険性は低い気がする。

 理由は、わからないから。


 危険が認知、察知できなければ、それは無いと一緒なのだ。

 無いものに注意を向けない。それをわずかながらに感じられるというのは、やはり言葉が通じるからだろうと考える。


「私は、ヨシヒトさんの何のか。深い質問ですね」


 何を考える必要があるのか。結局、昨日あったばかりの関係だろうに。

 それに、一晩を過ごしたと言えども、言葉以上でも以下でも無い。一緒の部屋で寝ただけ。

 それで、何を感じろとでもいうのか。


「私は、ヨシヒトさんの何なのでしょうか。あ、次は入れますよ。ギルドカードの準備してましょう」


 そうやって、カノンは答えをはぐらかした。

 別に、カノンがどう考えようと、どんな答えを出そうと、ヨシヒトから見れば、邪魔な存在である。昨日会って、ずっとついて来る、うざいやつ。

 

 順番が回って来て、ダンジョンに入る。

 昨日はすぐに二人の冒険者が通った後がわかった。理由は、そこにモンスターが瀕死状態で倒れていたから。

 それを伝って、深い場所へと降りて行ったのだ。


 しかし、そこには人間の集団がいる。

「あー、今日は多いですねー。昨日は少し弱ったモンスターがたくさんいて、美味しかったんですが」


「昨日? 昨日行った場所に案内してくれないか?」


「そこも多いと思いますよ?」


 カノン。二層の一番。

 出会った場所はそこだ。


冒険者の簡単な力関係をまとめると、ミリーナ曰く


1〜20層 下級冒険者

21〜30層 中級冒険者

31〜45層 上級冒険者

46〜80層 深層冒険者

81〜150層 超級冒険者

150〜   Sランク冒険者


 とまあ、そんな感じ。

 この中にもランク分けがあり、それは細かくなるので割愛。

 簡単にはこうやって、分けてあり、カノンは下級冒険者に入る。

 下級冒険者の割合は、半分を超えている。

 

 それは、新人が多いためでもある。

 時が経てば、深い層を探索する冒険者は死んで減り、低い層を探索する冒険者は地上で人間が繁殖するほど多くなる。

 そういう理屈で、冒険者の数は減っていくが、増えていく。

 しかし、圧倒的に減ったり、増えたりの上下はあまりしない。


 理由と言えば、何かが管理しているのか。神の干渉か。

 よって、その割合は、細かく見れば変動はしているが、大まかには変わっておらず、だいたい6.5割が下級冒険者としてその生涯を生活する。


 中級冒険者になれば、一気に減り、2割ほどである。

 上級冒険者が1割ほどおり、0.5%がそれ以上である。


 結局、エルフとドワーフの冒険者は、その0.5%に入っているのだ。

 下手をすれば、ヨシヒト自身も。


 今日、ダンジョンに居るのは大半が下級冒険者。

 エルフとドワーフの狩場が深層よりも深ければ、決して邪魔になることはないのだ。


「こっちですよ」


 カノンは、ヨシヒトが言ったように、最初に会った部屋まで案内することになる。

 が。


 數十分して思い出す。というか、身を持って確信した。


「こいつは、方向音痴だったか」


 それは病的なものだ。

 少ししか歩いていないのにもかかわらずに、理解できないほど遠くに来てしまった。


「知ってますか、ヨシヒトさん? ギルドカードには、今の階層情報と、今までの踏破階層が見られるんですよ」


 ふふんと、彼女は先輩ズラをして、ドヤ顔を向ける。

 そんな顔がしたいなら、ここがどこかを判明させてからにしてくれ。


 ギルドカードを取り出す。


「7階層の45番」


 目的地を大幅にずれていた。


「でも、一度もモンスターと遭遇しませんでしたね」


 それもそうだ。昨日は、いない道を選んで進んだが、今日はそうでもないだろう。

 瀕死で動けないモンスターは、通り道では発見できなかった。


「あ、ヨシヒトさん。見てみて。

 モンスターがピクピクしてます!」


 そこには、モールラビットの集団が横たわって居る。

 カラフルな毛をして居るので、買取金額は結構あると、昨日ミリーナが言っていた。

 モールラビット専属の冒険者だって居るそうだ。

 その肉も鳥のササミのような味らしく、結構な利回りがいい優良モンスター。


 それが、數十単位でそこにいた。


「とどめを刺すか」


 昨日と同じだ。

 

 モールラビット。その首付け根、頭。即死する場所に落下位置を決めた「ユニコーンのツノ」を排出するアイテムボックスの出口を設定。

 それは、ダンジョンの天井ぎりぎりに出口を定め、落下する重力と自重で加速させ、ツノで刺し殺す。

 

 昨日の探索で確立した、ヨシヒトの回収パターン。ルーティーンの一つ。


 そのまま、的を定めて、落とした。


「これは、大量ですね」


 そこに、カノンがいた。

 カノンは、モールラビットを一匹、自分の持っていた短剣で一突きし、それは命が途絶え光となり四散する。そして、そこにはドロップアイテムがの残るのだ。


 ドロップアイテムを拾うためにその場にしゃがんだカノン。


 上空に注意なんて向けて居るはずがない。

 下級冒険者が、ダンジョンの上から落ちてくる物体に気付けるはずがない。


「あ」


 それしか言えなかった。


 落下した、そのちょうど真下に、人がいるなんて想定していないから。

 そこがアイテムボックスの範囲内とは言えど、瞬間に回収できるほど反射神経が優れているわけではないから。

 事前に何か注意をしたこともないし、行動を起こしもしなかった。

 

 つまり、その「ユニコーンのツノ」という、尖った、鋭利な、殺傷能力が極めて高いそれは。



 カノンに深く突き刺さった。


「うごっ…………っぷ !?!?」


 


おおよそ、女性が出すようなうめき声ではないそれを、吐き出し。 

 血液が地面を濡らす。

 そのツノは、地面と体をつなぐように。

 無慈悲に。


 カノンの意識は、途切れる。

やっと。

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