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「お、お礼の品? わ、わかった。この辺りでうまい料理の店を教えろ。そこで一つ奢ってやる」

「本当ですか? やりました。言ってみるもんですね。さすが深層探検者ですね」


 やはり、その単語は煽り文句ではないだろうか。


 その店は、あまり人通りの少ない通りにあった。

 繁華街から少し込み入った細い道を少し歩いたところ。

 小さな看板があった。


「猫耳亭。こんな店がうまいのか?」


 元の世界でもそうだった。こんな路地裏の隠れた名店があるとかないとか。

 この世界は全てコンピュータ管理された街や区画かと思っていたのだが、しかし、こう言った、結構な路地裏通りが存在しているのだと少し、驚いた。


「二人入りまーーす」


 大きな声で、カノンはその店の扉を開けて中に入っていく。

 中は、あまり広くない。そして、中の店主はいずれも女性である。


「あ、いらしゃいませーー。こんな隠れた名店に入れるのはご紹介メンバーだけですよ」


 彼女は猫耳である。

 猫耳がフリルのエプロンを着て、ゴスロリのメイド服である。

 つまりは、猫耳であった。


「カノンちゃんは、ここで働く気になったのー? やっぱり冒険者よりも飲食店の方が儲かるよねー」


「そうだよぅ。こんな立地にあるけど、結構な収入のある猫耳亭が、あとは人手が足りて人通りの多い道に出店できれば、もっと儲かるのぅ」


 大きな耳が特徴の、タレ目少女。彼女がこの店の店主なのだろう。

 そして、ヨシヒトを見て


「カノンちゃんの彼氏さん? カノンちゃんあまり頭が良くないから、本気にしないでねぇ」


 彼女からはマザーの雰囲気を感じた。

 

「そんなことはどうでもいいの! 一番高いやつ頂戴!! 今回はこの人のおごりなの」


 初対面なのに、ここまで警戒心を抱かない彼女は、本当に頭が弱い子なのであろう。

 方今音痴であるし、煽ってくるし。


「はいはい。じゃあ、こっちの彼も同じでいい?」


 なんだか家族に絡まれた感じだった。



 その時間はあまりにもホームシックにかかりそうな空間であった。

 カノンはその猫耳たちと楽しそうに話している。しかし、ヨシヒトはあまり楽しいどころか、不快な気分であたった。

 さらにこの料理が普通以上に美味しかったと云うのが、もっと不快にする。


「そして、ヨシヒトさんはこれからどうするの? どうせなら今日はここで泊まって言ったらどう?」


 猫耳母が言う。しかし、あまり好きなれないこの環境に、

「いいえ。今日は帰らせてもらいます」


 ヨシヒトは、その店を出て行こうとする。しかし、それをカノンが止める。

「どこに行こうと言うんですか。深層冒険者なのに」


 それはもう関係ないだろう。

「なんなんだよ、お前は。結局今日出会って、出口まで案内してくれただけの関係じゃないか。それ以上にどんな関係を築こうと言うんだ」


 その言葉に、その早口で畳み掛ける、熱量の違いから。

 猫耳の二人は何も言えずに、ヨシヒトの腕を掴むカノンを見ていた。


「なんだよ。何をさせたいんだ」


 カノンは、ヨシヒトを見る。上目遣いに、少し涙をためて。

「……なんだよ」


「別に、ーーーー何もないですよ。そうですよ。私とヨシヒトさんは今日であっただけの関係ですね。じゃあ、あのこと言いますよ。言っちゃいますよ。あまり触れられたくないだろうと思って言ってないですけど、言っちゃいますよ」


「なにを言おうって言うんだ」


 少し寒い気配がする。少し、ヤバい気がする。これは言わせるといけない気がする。

 しかし、この空気に、毒されて、あまり頭が回らなかった。


「深層冒険者なのに、低位の装備つけてること、言っちゃいますからね」



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