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「まさか、方向音痴だったとは」


「あ、いえ。そんなわけは、無いんですが」


 彼女は赤面しながら、道を歩く。パタパタと手で仰ぎながら、「今日は暑いですね」と笑っている。そして彼女とは冒険者ギルドまで一緒に同行することになっていた。

 その道のりには、いろいろな商店や屋台が出ていることに気がついた。

 

 来た時にはあまり興味がなかったからなのか。もしかしたら、そこには前にはなかったのかもしれないが。

 綺麗に。豪華に見えるが。

 如何せん今は持ち合わせがないのだ。


「ギルドでは、ダンジョンのドロップアイテムを買い取ってもらえるのか?」

 

 カノンに問いかける。

 彼女は、「?」という顔をして、そしてフルフルと首を横に振った。


「何を言ってるんですか? なんで冒険者ギルドが? あのギルドは冒険者を管理するだけのものですし。なんというか案内所のような、そんな存在ですよ」


「じゃあ、ドロップアイテムは、どんな用途があるんだ?」


「えっとですね。あ、実物を見てもらうのが早いですね。こっちです」



 案内されたのは、人だかりだった。その中のいくつか、その「機械」は空いていた。

 ギルドの外に設置されている、自動販売機のようなものである。 


「これはですね、アイテム精算機です。ダンジョンで得たドロップアイテムをある程度をお金にするんです。こうやって」


 カノンは、自分のリュックに手を入れて、一つを取り出した。

 それは、ヨシヒトが最もお世話になった「一角狼のツノ」である。


「これは、よく手に入るコモンのドロップアイテムです。今回私が精算しますから、世lくみておいてくださいね」


 スタート画面に手を触れた。「ピロン」と音がして、機械の声が案内を始めた。

『ギルドカードをかざしてください』

「はい」

 

 取り出したカードを画面にタッチする。そして、続いて、その音声は

『精算したいアイテムを中に入れてください』

 と、その自動販売機の下半分のロックが外れたように「がこん」と開いた。


「ここにドロップアイテムを入れるんです」


 ヨシヒトにカノンは云うが、見ればわかると思う。そして、そのまま彼女はいくつかのアイテムをその中に投入して、その開いた扉を閉めるのだった。


『精算中・・・・・・全部で700Jです』

『ギルドカードをかざしてください』


 その音声のもと、作業を続けた。

 ピロン


「はい、これで終わりです。そのあとに、依頼を受けて入ればギルドのカウンターから。それ以外なら終わりです」


 これは電子マネーだと云うのか。そして、鑑定も何もかもこの機械が行うのか。これはすごい。

 なまじ機械文明な訳だ。それを疑うことなく、慣れたようにやっている。

 

「ところで、こんなことを知らないで、ヨシヒトさんはどこからきたんですか? 魔族の世界にもこんなものあるでしょうに」


「そんなことはどうでもいいんだ。一回の容量はどのくらいか決まっているのか?」


「えっと、これに入らないのであれば、やっぱりギルドが管理する大型のコレでやりますね。そんな大きなものあるんですか? やっぱり深層探検者は違いますね」


 煽っているのではないのだろう。けれどもそんな言い方しかできないのは少しムカつく。

 初対面だと云うのに、どうしてこんなに馴れ馴れしいのかもわからない。


「まぁ、いいよ。ようは使い方を知れるだけでいいんだ」


 アイテムボックスの中のアイテム。

 半透明のディスプレイが目の前に現れる。そして、その中から比較的序盤で手にれただろう幾つかをピックアップする。


「コレを押せばいいのか。ギルドカードをかざすんだろ」


 見よう見まね。しかし、現代でも慣れたもの。

 結局、それは時代の流れには逆らえない。時代についていけない老人は死んでいくべきなのだ。


 自動販売機のアイテムを入れる扉が開いた。

 その中に、ピックアップしたいくつかのアイテムを出した。

 はたから見れば、開いた扉をそのまま閉めただけに見えただろう。

 

「? ヨシヒトさん、何も入ってないですよ。使用手数料を取られてしまいますよ」


 何も入れなかったら手数料を引かれるらしい。使う前にギルドカードの提示をするのはそのためか。

 しかし、今回のヨシヒトはすでにアイテムを入れいているのだった。


「いや、入れたぞ」


『合計で89000Jです』


 ギルドカードにそれを全てチャージして、今回は終了する。


「一回の探索で、10000Jを超えるなんて。やっぱり深層探検者は違いますね。明日もついて行っていいですか?」


「いや。ついてこなくていい。ここまででいいぞ。ありがとう。今日は助かったよ」


 カノンは、少し驚いたような表情をして


「お礼の品はないんですか?」


 素っ頓狂で、厚かましいお願いをしてきたのだった。

 いや、この世界の普通はそうなのかもしれない。



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